ベトナム社会主義共和国
タイン・ニエン紙(ベトナム)への菅総理大臣寄稿
(2020年10月19日付)
2007年、私が総務大臣に就任した際、最初に外国訪問した国はベトナムでした。悠久の歴史、特色ある文化、活力ある人々に魅了されたことを今も鮮明に記憶しています。それから現在に至るまで13年の間、日ベトナム関係は政治、経済、外交、人的交流等、様々な側面で飛躍的に発展してきました。今回、私が内閣総理大臣就任後最初の訪問国としてベトナムを訪問することにしたのも、日本とベトナムの友好関係の無限の可能性と、日本にとっての東南アジア地域の重要性を強く感じているからです。
近年、両国間の人の往来はますます活発になっています。2019年の両国間の往来は過去最高となっています。現在、日本には約41万人のベトナム人が住んでおり、技能実習生、特定技能人材、留学生、日ベトナムEPAに基づく看護師・介護福祉士等、多様な人材が日本で活躍しています。そのような中、本年9月に宮崎県を襲った台風にベトナム人技能実習生2人が巻き込まれ、グエン・ヒュー・トアンさんがお亡くなりになりました。日本国民を代表し、心からお悔やみ申し上げます。
現在、世界は新型コロナウイルス感染症という人類がこれまで経験したことのない危機に直面しています。日本とベトナムの間の人の往来も一時的に減少していますが、感染症対策と両立する形での往来の再開に向け、引き続き取り組んでいく考えです。
ベトナムは政府の徹底した対策とベトナムの皆さんの団結心により、感染拡大の封じ込めに成功しています。ベトナムで生まれたユニークで親しみやすい手洗いソング「Ghen Covy」には、「コロナに打ち勝つ」というベトナムの皆さんの力強さと頼もしさが表れ、国境を越えて世界に広がっています。日本も、ベトナムの保健・医療体制の強化のため、技術支援、医療物資・機材支援を実施しています。また、ベトナム国立衛生疫学研究所への支援を通じてベトナムの感染症拡大防止に貢献してきています。日本とベトナムで協力して、コロナを克服していきたいと思います。
2021年夏には、人類が感染症に打ち勝った証しとして、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する決意です。2016年のリオデジャネイロ大会では、射撃のホアン・スアン・ビン選手がベトナム史上初の金メダル獲得という歴史的な快挙を成し遂げました。来る東京大会でも、多くのベトナム人選手を日本にお迎えすることを楽しみにしています。
東京大会に向けて、参加国と地域住民がスポーツや文化等の相互交流を図る「ホストタウン」の取組を推進しています。先日、パラパワーリフティングのバン・コン・レ選手からベトナムのホストタウンである北海道釧路市に心温まるメッセージをいただきました。東京大会を機に、両国の人的交流が一層発展していくことを期待しています。
今回の私の訪問を契機として、2014年から始まった日ベトナム間の「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」の下、両国の友好関係が今後更に深化していくことを確信しています。
タイン・ニエン紙(ベトナム語)(10月19日付)(PDF)