タイ王国
中根外務大臣政務官のタイ訪問(国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)第71回総会出席)(結果)
1.総会閣僚級会合における中根政務官のスピーチ(ポイント)(28日午後)


- (1)本総会の主要テーマである持続可能な開発に関し,持続可能な開発における経済,社会,環境という3つの側面に横断的に関係する防災に焦点を当て,日本の取組や各国への防災協力を取り上げました。まず,本年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議において今後15年の国際的な防災指針である「仙台防災枠組2015-2030」が採択されたことに言及し,安倍総理が発表した今後4年間で40億ドルの協力と4万人の防災・復興人材育成を含む「仙台防災協力イニシアティブ」を紹介しました。さらに,同会議中に発生したバヌアツのサイクロン災害や4月末に発生したネパール地震の際に日本が実施した緊急援助物資の供与や復旧・復興のための無償資金協力とともに,ESCAPの防災事業への支援について言及しました。
- (2)続いて,第3回国連防災世界会議のフォローアップとして11月5日を「世界津波の日」と制定することを提案しました。津波の問題はアジア太平洋諸国の共通課題であり,仙台防災枠組では災害への備えに加え,早期警報システムと伝統的知識や慣習の活用が言及されているとし,津波対策の重要性を述べました。1854年11月5日の大地震の際,伝統的な知識から津波が襲ってくることを察した1人の村人が,村人を避難させ命を救った日本の有名な逸話を紹介しつつ,津波の被害を抑え,一人でも多くの尊い命を守るために,「世界津波の日」制定に向けた参加各国の支持と協力を訴えました。
- (3)最後に,本年9月の国連サミットでは2015年より先の国際的開発目標(ポスト2015年開発アジェンダ)が策定予定であることを踏まえ,アジア太平洋地域における持続可能な開発を実現するため,防災を始めとしてアジア太平洋地域の実情に沿ったアジェンダの策定を目指すとともに,民間セクター及び市民社会を含むグローバルパートナーシップの下で対処する枠組みを構築することが重要である旨を述べました。
- 総会スピーチ(英文)(PDF)
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2.中根政務官とESCAP事務局長及び各国要人との会談
中根政務官は,今次総会の機会を捉え,以下のとおりバイ会談を行いました。会談の中では,津波の脅威と対策を世界に伝えるために毎年11月5日を「世界津波の日」に制定することの重要性を強調し,各国からの支持と協力を要請,好意的な反応を得ました。
(1)アクタールESCAP事務局長との会談(28日午後)


中根政務官より,第3回国連防災世界会議へのアクタール事務局長の出席と,同会議のフォローアップとなる日本主導のESCAP総会防災決議(注)への協力に謝意を表明しました。また,持続可能な開発を推進するESCAPの活動を評価する旨述べ、防災分野等における今後のお互いの協力につき確認しました。アクタール事務局長より,日本政府による統計,防災,障害者支援等の諸分野における協力に感謝の意が述べられるとともに,ポスト2015年開発目標の取組を進める上で、ESCAPの活動への更なる支援について要請がありました。
(注)日本主導の防災に関するESCAP総会決議
日本は第3回国連防災世界会議のフォローアップとして,アジア太平洋地域における仙台防災枠組の実施促進に関するESCAP総会決議案を提案しました。ESCAP加盟13カ国が共同提案国となり、総会最終日に正式採択の運びとなりました。この決議は域内の防災の促進や世界津波の日制定に言及しており,防災を通じた持続可能な開発を目指すものです。
(2)タナサック・タイ副首相兼外務大臣との会談(28日午後)

冒頭タナサック副首相兼外相より、中根政務官のタイ訪問歓迎の意が述べられ、両国が長い友好関係を有しており、様々なレベルでの人的交流が盛んであり、この関係を増進する努力を行っていきたいとの発言がありました。
これに対し、中根政務官より、プラユット首相が既に2回訪日され、さらに日メコン首脳会議出席のため訪日予定であることに謝意を述べ、様々なレベルで、外交当局間の協力を緊密にしていきたい旨述べました。
会談の中では、国際場裡での協力について意見交換が行われた他、中根政務官より、タイの国内情勢について、タイの迅速且つ円滑な民主化の取組を引き続き強く期待している旨述べました。
また,会談は終始非常に和やかな雰囲気で行われ、両国の緊密な関係の更なる強化の方向性が確認されました。
(3)リー・トゥイッ・カンボジア上級大臣との会談(28日午前)

冒頭中根政務官より,3月の第3回国連防災世界会議へのフン・セン首相及びトゥイッ上級大臣の出席への謝意を表明しました。また,今年は日カンボジア友好条約署名60周年であり,7月にもフン・セン首相が日メコン首脳会議出席のため訪日予定であることを歓迎する旨述べました。トゥイッ上級大臣からは,日本の支援により4月に開通した「つばさ橋」を始めとした社会インフラ等への日本の支援に対する謝意の表明がありました。
(4)ダスタギール・カーン・パキスタン商業大臣との会談(28日午後)

冒頭中根政務官から,本年3月にパキスタンを訪問した際のパキスタン政府・議会関係者のおもてなしに対する謝意を表しました。ダスタギール・カーン商業大臣からは,日本企業の更なる進出に期待する旨発言がありました。これに対し,中根政務官より,日本は豊富な若年層を有するパキスタンの高い潜在性に期待している旨述べるとともに,パキスタンに進出している日本企業への支援や邦人の安全確保を要請しました。
(5)サルムサイ・ラオス外務副大臣との会談(28日午後)

中根政務官から,4月のアジア・アフリカ会議以来の再開を歓迎するとともに,日本の人材育成分野などの支援に触れ,ラオスの更なる発展を期待する旨述べました。これに対し,サルムサイ外務副大臣より,日本の支援への謝意表明がありました。また,東日本大震災の際のラオスからの支援について,日本のこれまでの継続的支援に対するラオス国民の誠実性や感謝の思いであるとし,今後の相互協力への期待が表明されました。
(6)アシクバエフ・カザフスタン外務次官との会談(28日午前)

アシクバエフ外務次官から,カザフスタンと日本は重要な戦略的パートナーであり,両国間の様々な分野での協力の要請がありました。これに対し,中根政務官から,日・カザフスタン関係は経済分野をはじめ順調に発展しており,国際場裡でも更に協力していきたい旨述べました。