アジア

平成26年2月19日
2月18日,三田共用会議所において,メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム第4回日メコン全体会合が開催されたところ,概要は以下のとおりです。我が国から,三ツ矢憲生外務副大臣を始めとする政府関係者,渡邊康平日本商工会議所日メコン経済委員会委員長(伊藤忠商事株式会社相談役)を代表とする民間企業関係者,また,メコン地域諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム)からソマート・ラオス公共事業運輸大臣を始めとする政府関係者,商工会議所幹部等の経済関係者及び専門家,国際機関関係者等約180名が出席しました。会議後には、議長総括(PDF)が発出されました。
 
1.全体会議の概要

(1)冒頭,三ツ矢外務副大臣が挨拶を行い,メコン5カ国からの政府・民間代表者の訪日を歓迎する旨述べるとともに,安倍政権はメコン地域を非常に重視しており、日本政府として2015年、ASEAN共同体の創設に向けて引き続きメコン連結性強化等を通じ引き続き支援を行っていく旨述べました。また,メコン地域開発支援及び日メコン協力においては政府のみならず民間セクターの力も必要であり、メコン地域における日本企業の活動を支援するために政府として取り組んでいく旨述べました。また,渡邊康平日本商工会議所日メコン経済委員会委員長(伊藤忠商事株式会社相談役)より,成長著しいアジア諸国を中心とした需要を取り込み,ともに成長していくために日本企業の海外展開を促進する必要があること,また,日本の経済は高い技術を有する中小企業が支えており,メコン地域内の産業基盤を強化していく上でも大きな可能性を持つ日本の中小企業の進出を促す環境作りを進めることをメコン諸国に望む旨述べました。
 
 ソマート・ラオス公共事業運輸大臣より,日本政府による本フォーラムの主催について歓迎の意が表され,またこれまでの日本によるメコン地域への支援に感謝の言葉が述べられました。また,ソマート大臣はラオスをはじめとするメコン地域は経済特区(SEZ)の設置をはじめとして外国からの投資を呼び込むために様々な取組を行っており、日本企業からの投資を期待する、日本政府の一層の協力もお願いしたい旨の発言(PDF)がありました。
 
(2)続いて,日本外務省及び経済産業省より、日メコン協力の現状と今後の取組方針について説明を行いました。さらに、大泉啓一郎日本総合研究所上席主任研究員より、「メコン開発を通じた日本企業の競争力強化」と題し、バンコク周辺の日本企業の集積地のネットワークをメコン地域に広げることにより、新興国・途上国市場への一層の展開が可能となるので、もっと利用すべしという内容の講演が行われました。
 
2.分科会概要 

全体会合に続き行われた3つの分科会では,メコン地域での官民連携強化に向けて,以下の内容が議論されました。
 
(1)インフラ・経済特区(SEZ)分科会
 日本の民間企業の代表者から,メコン地域でのSEZ整備に関する経緯と課題について紹介がありました。また,カンボジア、ラオス及びミャンマーの代表者から各国のSEZ及びインフラの整備状況について紹介があり、日本企業からの投資に期待する旨、呼びかけがありました。参加した日本企業からは、各国のSEZの整備状況について具体的な質問が寄せられました。日本貿易振興機構(JETRO)からはメコン地域に対する日本企業の直接投資に関する分析結果が報告され、直接投資を惹きつけるには、ソフト面を含むインフラ整備が重要であり、地域単位でのサプライチェーンを活かす戦略が重要である点が指摘されました。このほか、SEZの成功や持続可能な開発に必要な要素について議論が行われました。
 
(2)観光分科会
昨年は、日メコン間で査証緩和が行われる等、人的交流促進の機運が高まったことを受けて、観光に関する域内の現状及び取り組みを概観したほか、観光の活発化による更なる日メコン間の人的交流促進のための方策について議論が行われました。日本側からは日本政府観光局(JNTO)や日本旅行業協会の代表者、メコン側からは旅行業者や航空関係省庁関係者、日本の観光資源を紹介する活動を行う旅行業者など幅広い参加者を得て、政府、企業の取組の紹介や、観光産業における官民協力(サービスの向上、観光情報の広報、人材育成、関係機関との協力強化、航空路線乗り入れ、査証緩和等)のニーズ及び可能性について議論を行いました。 
 
(3)保健医療分科会
昨年、日本とカンボジア、ラオス、ミャンマーとの間で保健医療分野の協力覚書が署名される等、保健医療分野における協力に対する関心が高まっていることを受けて本分科会が設けられました。参加者からも熱意のある質疑応答が行われ、日メコン双方の関係省庁及び医療機関の代表は、現在行われている取組の紹介、メコン諸国のニーズの紹介、日本の保健医療分野における国際展開についての政策、メコン地域への展開を開始した日本の私立病院及び外国人医療観光客の取り込みに成功しているタイの私立病院による取組の紹介等により、日メコン双方の情報共有が行われました。双方は今回の議論を今後の協力につなげることを確認しました。
 
3.会合の成果は,本年後半に予定される日メコン外相会議及び日本・メコン地域諸国首脳会議に報告されるとともに,日メコン協力の関連枠組みでフォローアップされることになります。

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