ミャンマー連邦共和国

平成30年1月12日
1月12日、ミャンマー連邦共和国を訪問中の河野外務大臣は、首都ネーピードーにて、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣(H.E. Ms. Aung San Suu Kyi, State Counsellor and Union Minister for Foreign Affairs of the Republic of the Union of Myanmar)との会談及び共同記者会見、並びにミン・アウン・フライン国軍司令官(H.E. Senior General Min Aung Hlaing, Commander-in-Chief of the Defense Services of the Republic of the Union of Myanmar)との会談を行ったところ、結果概要以下のとおりです。

アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣との会談及び共同記者会見

アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣との会談及び共同記者会見1
アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣との会談及び共同記者会見2
  1. 冒頭、河野外務大臣から、ミャンマー独立70周年に祝意を表する、日本は、ミャンマー政府の民主的な国造りを、官民を挙げて最大限支援していく、日本は、ティラワ経済特区や連結性強化を通じたミャンマーの安定と繁栄に貢献していく旨述べました。
  2. また、河野外務大臣から、2020年までにミャンマーの人々が生活の向上を実感できるよう、ヤンゴン都市開発、運輸、電力の分野で支援案件を進めていくと述べた上で、日本のODAによるヤンゴン環状線の整備、南北線・東西線の整備のための準備調査の実施、ヤンゴン・マンダレー鉄道の整備のほか、日本企業によるヤンゴン市内の駅前開発事業、日本企業の提案するLNGの輸入発電事業等につき、協力の方向性を確認しました。また、国内和平の実現のため、笹川陽平ミャンマー国民和解担当日本政府代表と共に最大限支援していく旨述べました。
  3. これに対し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣から、ミャンマーの民主化に対する日本の一貫した支援に感謝する、ミャンマーの安定と発展のため引き続き支援をお願いしたい、運輸と電力は最重要課題と認識している、ヤンゴンの渋滞問題を解消するには環状線の整備を含むヤンゴン都市開発が重要である、笹川政府代表と日本政府による和平のための支援に感謝している旨の発言がありました。
  4. 続いて、河野外務大臣から、ラカイン州情勢につき、(1)国連を含む人道支援アクセスの拡大、(2)安全で自発的な避難民の帰還と再定住、(3)アナン勧告の実施を通じた根本問題への対応の進捗を強く働きかけました。その上で、河野外務大臣より、ミャンマー政府の取組を最大限支えるため、既にミャンマー側に伝達した、ラカイン州での道路舗装、送電線整備、約15校の学校建設の支援に加え、新規の支援として、第一に、帰還民の受入れ・再定住に特化した緊急支援として、約300万ドル規模の物資供与を行うことを決定したこと、第二に、国会での承認が前提としつつも、住民への人道支援として、約2000万ドルの追加支援を調整中であることを伝えました。更に、今回のインディン村の件に対するミャンマー政府の対応を評価する旨述べた上で、ミャンマー政府自身による、国際的な助言を得た信頼性と透明性を伴った事実調査及び適切な措置の実施、国連やメディアの現地アクセスの確保、ロイター通信記者の問題に関する適切な対応を働きかけました。
  5. これに対し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣から、日本のラカイン州の開発に関する支援を高く評価する、支援が効果的に実施されるよう努めたい、安全で自発的な避難民の帰還受入れ実現に向け、バングラデシュとの合意に沿って進める、地元コミュニティ間の融和、報道の自由や法の支配など様々な側面を考慮しつつ取り組みたい、今回のインディン村の件に関する対応は法の支配に基づく対応として重要である旨の発言がありました。
  6. 最後に、拉致問題も含む北朝鮮情勢につき意見交換し、河野外務大臣からは、安保理決議の履行を含め、あらゆる手段により北朝鮮への圧力を最大限まで高めていくことが重要である旨述べました。これに対し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣からは、国連決議に従って取り組む、日本に協力したい旨の発言がありました。
  7. また、会談後、双方は共同記者会見を行いました。

ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談

ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談1
ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談2
  1. 冒頭、河野外務大臣から、ミャンマーの更なる安定と発展、特に少数民族との和平や国民和解実現のためには国軍の建設的な役割が非常に大きい、日本はミャンマーの民主的国造りを支えていくと述べ、これに対し、ミン・アウン・フライン国軍司令官から、民主化を進めるにあたっての日本の助言や支援に感謝する旨の発言がありました。
  2. 続いて、河野大臣から、二国間の防衛交流・協力が進展に言及した上で、日本は自由で開かれたインド太平洋戦略を推進しており、地域において戦略的に重要なミャンマーと協力していきたい旨述べました。ラカイン州情勢については、河野大臣から、今回のインディン村の件に関し、国軍が調査を実施し、適切に対応しようとしている姿勢を評価しつつ、ミャンマー政府が、法の支配に基づく治安の回復、円滑な避難民帰還の実現、避難民の安全且つ自発的な帰還・再定住を可能にする環境の確保、及び国連やメディアの現地アクセスの確保のための適切な対応をとるとともに、国際的な助言を得た信頼性と透明性を伴う事実調査の実施と、それに伴う適切な措置を働きかけました。また、ラカイン州の状況改善のための新規支援の方針を伝達しました。
  3. これに対し、ミン・アウン・フライン国軍司令官から、日本の支援に感謝する、ラカイン州の問題に関し、規則に従って対応していく、国際社会の理解が得られるよう努めていく旨の発言がありました。

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