ミャンマー連邦共和国

平成30年8月6日
ウィン・ミン大統領への表敬
アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣との会談
ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談

 8月6日,ミャンマー連邦共和国を訪問中の河野外務大臣は,首都ネーピードーにて,ウィン・ミン大統領(H.E. Mr. Win Myint, President)への表敬,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣(H.E. Ms. Aung San Suu Kyi, State Counsellor and Union Minister for Foreign Affairs)との会談及び共同記者会見,チョウ・ティン国際協力大臣(H.E. Mr. Kyaw Tin, Union Minister for International Cooperation)主催昼食会,ミン・アウン・フライン国軍司令官(H.E. Senior General Min Aung Hlaing, Commander-in-Chief of the Defense Services)との会談並びにチョウ・ティン・スエ国家最高顧問府大臣(H.E. Mr. Kyaw Tint Swe, Union Minister for the Office of the State Counsellor)との会談を行ったところ,結果概要以下のとおりです。

1 ウィン・ミン大統領への表敬

(1)(ア)冒頭,ウィン・ミン大統領から,河野大臣のご訪問を歓迎する,2回目となる今次訪問が成功することを期待する,日ミャンマーの二国間関係は友好かつ親密であり,国民間の友好協力関係も発展してきている,との発言がありました。
(イ)これに対し,河野外務大臣から,西日本豪雨被害へのお見舞を頂き感謝する,ミャンマー南部で水害により影響を受けた国民の皆様にお見舞い申し上げる,今般,日本政府は,ミャンマー政府の要請を受け,水タンクとテントを供与することを決定した,貴大統領は,汚職撲滅,法の支配確立に向け先頭にたって指揮されていると承知している,日本としてもミャンマーの民主的国造りを引き続き最大限支援していく,また,ラカイン州の平和と安定はミャンマーの国造りを前に進めるためにも大切であり,日本としてミャンマーの取組を引き続き支えていく旨を述べました。

(2)河野外務大臣から,日本は,ミャンマーの民主的国造りを支えるため,ヤンゴン都市開発,道路整備,電力の分野で,ミャンマーの人々が生活の向上を実感できるよう支援を進めている,日本は,民間投資を更に呼び込むための環境整備についての協力も継続していく旨述べました。
(ア)河野外務大臣から,ラカイン州情勢につき,今後数ヶ月間のミャンマー政府による取組が鍵である旨述べた上で,独立調査団による透明性のある調査の着実な実施,ラカイン州シットウェ周辺の国内避難民(IDP)キャンプの適切な閉鎖,避難民の早期の帰還実現のため,国連機関の現地での活動開始を始めとした国連機関との協力,再定住環境整備の進展等が重要である旨述べました。また,日本としても,避難民の再定住予定地で,ニーズを踏まえて支援を行いたい旨伝達しました。
(イ)これに対し,ウィン・ミン大統領より,独立調査団は透明性をもって活動できる,政権発足以来,法の支配の確立に取り組んでおり,全ての国民が法の下で公平に扱われる必要がある,国連機関と協力していく用意がある旨述べるとともに,日本がミャンマーの取組に対して理解してくれていることについて感謝が述べられました。

2 アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣との会談及び共同記者会見

(1)(ア)冒頭,河野外務大臣から,西日本豪雨被害へのお見舞を頂き感謝する,ミャンマー南部で水害により影響を受けた国民の皆様にお見舞い申し上げる,今般,日本政府は,ミャンマー政府の要請を受け,水タンクとテントの供与を決定した,ヤンゴン都市開発,運輸,電力を中心とした支援案件を着実に実施していきたい,本年10月8日及び9日に東京で開催予定の日メコン首脳会議での訪日を楽しみにしている旨述べました。
(イ)これに対し,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣から,ミャンマー及び日本の双方が水害被害に直面しているが,両国は互いに理解と思いやりをもっている,日本からの支援に感謝したい,ヤンゴンの発展はミャンマーの発展にとって重要である,10月の日メコン首脳会議参加のため日本を訪問することを楽しみにしているとの発言がありました。

(2)(ア)河野外務大臣から,今後数ヶ月間のミャンマー政府による取組が鍵である旨述べました。その上で,(i)外国人委員を含む独立調査団の設置を歓迎すると共に,同調査団が透明性と信頼性のある調査を着実に実施することを期待する,(ii)ラカイン州シットウェ周辺の国内避難民(IDP)キャンプの適切な閉鎖を進めるとともに,IDPのうちまずはミャンマー国籍を有する者の再定住をしっかり進めることが重要である,(iii)ミャンマー政府とUNHCR,UNDPとの覚書締結を高く評価するとともに,これら国連機関との協力が重要,(iv)再定住環境整備を進めるにあたり,住宅建設を迅速に行ってほしい,日本としても避難民の再定住予定地で,各世帯に必要な物資を提供する用意がある,(v)バングラデシュのキャンプにおける避難民に対する帰還準備状況についての説明会を継続してほしい旨伝えました。また,日本のラカイン州における電力・送電網整備,小学校建設等の支援の実施状況につき説明し,これをラカイン州の他の地域でも実施できるよう調整したい旨伝えました。
(イ)これに対し,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣から,ミャンマー政府として独立調査団の活動に協力する用意がある,シットウェ周辺のIDPキャンプの適切な閉鎖を進めるにあたり,再定住先の安全確保を行った上で進める必要がある,国際機関との連携については,UNHCR,UNDPとの間で締結した覚書に従って双方が行動することが重要であり,ミャンマー政府としてこれを進めていく,河野大臣の提案事項について迅速に実施する重要性を理解し,実施していきたい旨の反応がありました。

(3)また,会談後,双方は共同記者会見を行いました。

3 チョウ・ティン国際協力大臣主催昼食会

 河野外務大臣は,チョウ・ティン国際協力大臣,ソー・ウィン計画財務大臣(H.E. Mr. Soe Win, Union Minister for Planning and Finance)及びウィン・ミャッ・エー社会福祉救済復興大臣(H.E. Dr. Win Myat Aye, Union Minister for Social Welfare, Relief and Resettlement)との間で,ラカイン州情勢等につき,率直な意見交換を行いました。

4 ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談

(1)冒頭,ミン・アウン・フライン国軍司令官から,再会をうれしく思う,友好国である日本との関係を重視している旨述べました。

(2)河野外務大臣から,日本は,ミャンマーの民主的国造りを最大限支援している,ラカイン州の平和と安定は,ミャンマーの国造りを前に進めるためにも重要,日本政府は,同州の状況改善のためのミャンマー政府の取組を,最大限支援していきた旨述べました。これに対し,ミン・アウン・フライン国軍司令官から,ミャンマーの国造りは民意に沿そってしっかり進めていく,ラカイン州の問題に関する日本の支援に感謝する旨発言がありました。

(3)続いて,河野外務大臣から,ラカイン州の問題に関し,ミャンマー政府による今後数ヶ月間の取組が鍵であると述べた上で,独立調査団による信頼性と透明性のある調査実施,ラカイン州シットウェ周辺の国内避難民(IDP)キャンプの適切な閉鎖,国連機関との協力,安全の確保を初めとした再定住環境整備の進展等を働きかけました。これに対し,ミン・アウン・フライン国軍司令官から,国軍として独立調査団の活動をできる限り支援したい旨の反応がありました。

(4)更に,河野外務大臣から,少数民族和平につき,停戦が実現した地域での開発支援をしっかり行っていくとともに,停戦合意未署名組織の早期署名を期待している,笹川政府代表と共に,国内和平の取組を引き続き支援していく旨述べました。また,防衛交流・協力につき,日本語教育,能力構築支援等を継続する旨伝えました。これに対し,ミン・アウン・フライン国軍司令官から,笹川政府代表からの協力に感謝,国内和平の一日も早い実現を目指す旨の反応がありました。

5 チョウ・ティン・スエ国家最高顧問府大臣との会談

 河野外務大臣は,チョウ・ティン・スエ国家最高顧問府大臣との間で,ラカイン州情勢につき,同日午前,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相に伝達した諸点を共有した上で,独立調査団,避難民帰還のための再定住環境の整備,国連との協力等に関し,率直な意見交換を行いました。


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