カンボジア王国
柘植外務副大臣のカンボジア王国訪問(結果)
6月27日から29日まで、柘植芳文外務副大臣は、カンボジア王国を訪問しました。この訪問の概要は以下のとおりです。
1 政府要人等との意見交換
(1)サイ・サムオル副首相兼国土整備都市計画建設大臣への表敬


27日、柘植副大臣は、サイ・サムオル副首相兼国土整備都市計画建設大臣(H.E. Dr. SAY Samal, Deputy Prime Minister and Minister of Land Management, Urban Planning and Construction of Cambodia)を表敬しました。
柘植副大臣から、本年2月に自身が主催した夕食会以来の再会を光栄に思う旨述べた上で、昨年の日カンボジア外交関係樹立70周年の機会に、両国の関係が「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げされたことに触れ、安全保障やデジタル等様々な分野での二国間協力が拡大していることを心強く思う旨述べました。また、柘植副大臣から、サイ・サムオル副首相の訪日を契機として、カンボジア国土整備都市計画建設省との間で幅広い協力が進展していることを歓迎する旨述べました。これに対し、サイ・サムオル副首相は、これまでの日本政府による支援及び技術協力への謝意を表明しました。
両者は、長年の協力を通じて強固な信頼関係を構築してきた重要なパートナーである両国間で、特にデジタル・測量分野及び衛星分野での協力を一層強化していくことで一致しました。

(2)ソック・チェンダ・サオピア副首相兼外務国際協力大臣への表敬


28日、柘植副大臣は、ソック・チェンダ・サオピア副首相兼外務国際協力大臣(H.E. Mr. Sok Chenda Sophea, Deputy Prime Minister, Minister of Foreign Affairs and International Cooperation of the Kingdom of Cambodia)を表敬しました。
柘植副大臣から、昨年「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げされた両国間の協力は、経済に加え、安全保障やデジタル・サイバー分野にも広がっているとして、今後の両国の連携について確認したい旨述べた上で、今回の自身の訪問を含む要人往来が日本とカンボジアの関係を更に進展させる機会となることを期待する旨述べました。
これに対し、ソック・チェンダ・サオピア副首相兼外相から、カンボジアの和平・復興・発展における日本からの支援に対して謝意を表明しました。両者は、カンボジアの民主的発展についても議論するとともに、今後とも、安全保障、経済、デジタル・サイバー、地雷除去などの幅広い分野で日・カンボジア関係を強化していくことで一致しました。
(3)チア・バンデート郵便通信電気大臣への表敬


28日、柘植副大臣は、チア・バンデート郵便電気通信大臣(H.E. Dr. Chea Vandeth, Minister of Post and Telecommunications of the Kingdom of Cambodia)を表敬しました。
柘植副大臣から、昨年12月の両国間の首脳会談でデジタル分野におけるオファー型協力メニューにつき合意に至ったことは喜ばしいとした上、デジタル経済社会の発展に向けた当局間の協力の進展に触れつつ、引き続きこの分野における二国間協力が進むことを期待する旨述べました。また、柘植副大臣から、郵便は、「人と人とのつながり」を支えて地域の人々の暮らしに寄り添い、「ラスト・ワン・マイル」という重要な責務を担う大切な行政分野である旨述べた上で、これまで行われたカンボジアの郵便品質改善に向けた日本の協力も礎に、この分野での協力を通じ、引き続き、二国間の「人と人とのつながり」が強化されることを期待する旨述べました。
これに対し、チア・バンデート郵便電気通信大臣は、これまでの日本の協力に謝意を表明するとともに、日本はカンボジアのデジタル・トランスフォーメーションを実現する上で重要なパートナーである旨述べました。また、チア・バンデート大臣は、カンボジアにおける郵便事業をめぐる課題について説明があり、郵便分野における協力の強化に対する期待が示されました。両者は、カンボジアのデジタル経済社会の発展や郵便事業の改善に向け、日本の知見の共有や技術協力により、これらの分野における両国間の協力を一層推進していくことを確認しました。
その後、柘植副大臣は、チア・バンデート郵便電気通信大臣及びテーン・サムビソット・カンボジアポスト総裁の案内により、中央郵便局を視察しました。
2 アセアン元日本留学生評議会(ASCOJA) 関連行事への出席


(1)28日、柘植副大臣は、アセアン元日本留学生評議会(ASCOJA)(注)主催の第22回シンポジウム開会式に出席し、コラ・カンボジア元日本留学生同窓会会長及びマンゴンASCOJA理事代理の挨拶に続いて挨拶を行い、その中で、自身とASEANとの関わりについて触れながら、今次シンポジウムの開催は、昨年の日ASEAN特別首脳会議で採択され、日本とASEANが「世代を超えた心と心のパートナー」であることを確認した共同ビジョン・ステートメントに基づく新たな協力のビジョンの着実な実施に資するものである旨述べるとともに、同シンポジウムにおける示唆に富んだ議論を通じて、日本とASEANとの世代を超えた「絆」や「一体感」が更に深まることを期待する旨述べました。また、柘植副大臣は、日本との留学交流に情熱を持って取り組む出席者に心からの敬意を表するとともに、ASCOJAが大切にする「心と心」の精神が、将来の日本留学生にも受け継がれていくことを期待する旨述べました。
また、柘植副大臣は、この機会に、元日本留学生であるヘン・スオ労働職業訓練大臣及びトーン・ワタナ上院議員それぞれと懇談を行い、皇室とカンボジア王室との間の伝統的な友好関係を礎にして築かれた良好な二国間関係の一層の発展に向けて共に取り組むことを確認したほか、ASEANの元日本留学生との交流を通じた人的交流の一層の活発化について意見交換を行いました。なお、同シンポジウムでは、ASEAN各国から約150名の元日本留学生が出席し、「日ASEAN間の越境電子商取引」をテーマに活発な議論が行われました。


(2)それに先立ち、柘植副大臣は、27日に同シンポジウム出席者を招いて開催された駐カンボジア大使主催レセプションに出席し、植野駐カンボジア大使の挨拶に続いて挨拶を行い、その中で、カンボジアでASEAN各国の元日本留学生の方々にお目に掛かれることを楽しみにしてきた旨述べた上で、日本への留学によって、日本に関する知見を深めつつ、互いの文化の違いを受け入れ、相手を理解することの大切さを肌で経験した元留学生の方々のネットワークは日本外交にとってかけがえのない財産である旨述べました。さらに、柘植副大臣は、翌日のシンポジウムに向けて出席者を激励するとともに、今回のカンボジア滞在を通し、頼もしいチームメイトである出席者との友情を更に深めたい旨述べました。


(3)また、柘植副大臣は、28日に開催されたカンボジア元日本留学生同窓会主催ガラ・ディナーに出席し、コラ・カンボジア元日本留学生同窓会会長の挨拶に続いて挨拶を行い、その中で、シンポジウムが盛会のうちに幕を閉じて活発な議論が行われたことに祝意を示した上で、多様な民族、文化、言語から成るASEAN各国の元日本留学生が一堂に集まり、議論を交わすと同時に、元日本留学生としてのネットワークを強化されていることに感銘を受けた旨述べました。さらに、柘植副大臣は、今回、一連の行事に出席し、ASCOJAが、日本留学の経験を通して育まれた友情、親善、学びを、それぞれの国と日本との間の「線」としてだけでなく、ASEAN全体という「面」に広げていく大きな役割を果たしていること、日本にとってとても心強い存在であることを改めて強く認識した旨述べ、今後とも、ASCOJAの取組を力強く後押しすることで、日本とASEANの方々との友情を一層深めていきたい旨述べました。その後、柘植副大臣は、出席したASEAN各国の元日本留学生と歓談し、留学の経験を活かしたそれぞれの活躍の様子を聞くとともに、引き続き、ASEANの元日本留学生のネットワークを一層大切にしてほしい旨伝えました。
(注)アセアン元日本留学生評議会
アセアン元日本留学生評議会(ASCOJA: ASEAN Council of Japan Alumni)は、1977年に設立されたASEAN10か国の元日本留学生会の連合体組織。会員数は5万人を超え、各国の著名人が多数所属し、毎年、アスジャ・インターナショナルとの共催で、日ASEAN関係強化を議論するシンポジウムを開催している。
3 その他
(1)建築材料試験機器引渡し式典

27日、柘植副大臣は、サイ・サムオル副首相兼国土整備都市計画建設大臣(H.E.Dr.SAY Samal, Deputy Prime Minister and Minister of Land Management, Urban Planning and Construction of Cambodia)とともに、令和3年度経済社会開発計画で供与した、材料試験機材の引渡し式典に出席しました。
柘植副大臣は、同式典において、日本が供与した機材が設置されている国立建設試験場のニョーヘイン所長の挨拶に続いて挨拶を行い、その中で、日本はこれまでカンボジアの経済社会発展のため幅広い分野で支援を行ってきており、その中でも、日々の生活や産業の発展に欠かせないインフラの整備は、日本が最も重視してきた分野の一つであると述べました。また、柘植副大臣は、今般日本が供与する建設資材の実験等を行うための機材の運用が国立建設試験場で開始されることをうれしく思う旨述べた上で、同機材が適切に運用され、今後カンボジア国内の建築物やインフラの安全性の確保、ひいてはカンボジア国民の安全な暮らしに貢献することを期待する旨述べました。
その後、柘植副大臣は、サイ・サムオル副首相兼国土整備都市計画建設大臣及びニョーヘイン国立建設試験場所長の案内により、日本が供与した機材が運用されている様子を視察しました。


(2)日系企業関係者との意見交換


28日、柘植副大臣は、昼食会を主催し、カンボジアに進出する日系企業関係者との懇談を行いました。懇談において、各企業の事業の状況や事業において抱える課題等について聴取するとともに、カンボジアにおけるビジネス環境の更なる改善のために必要な取組などについて意見交換を行い、長年カンボジアで現地に溶け込みつつ両国の関係を支える存在となっている出席者を激励しました。
(3)慰霊碑への献花


27日及び28日、柘植副大臣は、1992年から93年にかけてのカンボジアにおける国連平和維持活動の中で命を落とされた故高田晴行警視(国連カンボジア暫定機構・文民警察官)及び故中田厚仁氏(国連ボランティア)の慰霊碑に献花しました。