報道発表
アフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合(一日目:開会式、セッション1、セッション2)
令和6年8月24日
8月24日、上川陽子外務大臣は、ホテルニューオータニにおいて開催されているアフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合の共同議長として、午後2時から約25分間、深澤陽一外務大臣政務官と共に開会式に出席しました。また、午後2時35分から約1時間半実施されたセッション1には上川大臣及び深澤政務官が、午後4時30分から約1時間35分実施されたセッション2には深澤政務官が出席しました。今回のTICAD閣僚会合には、アフリカ47か国が参加したほか、国際機関、民間企業、国会議員、市民団体の代表等が出席しました。
1 開会式
- 上川大臣は、開会式において、日本は30年以上の歴史を持つTICADプロセスを通じ、アフリカ自身のオーナーシップ及び国際社会とのパートナーシップを基本概念に据え、とりわけ人材育成を重視しながらアフリカの発展を支えてきた旨述べました。また、上川大臣は、今回の閣僚会合では、これまで積み上げてきた成果を土台とし、人々が輝く世界の成長センターとしての未来のアフリカの姿を見据えながら議論を行い、その成果を来年のTICAD 9に留まらず、国連未来サミットや南アフリカが議長を務める来年のG20などにつなげていきたい旨述べました。さらに、上川大臣は、今回の閣僚会合のテーマは「革新的解決の共創、アフリカと共に」であり、様々なアクターが生み出した革新的な解決策を結集し、好事例をアフリカ大陸内に展開し、来年のTICAD 9の具体的な成果につなげていきたい旨述べるとともに、未来志向の課題解決、若者と女性、連結性と知のプラットフォームの3つの視点を意識し、社会、平和と安定、経済の3つのセッションで議論の幅を広げることへの期待を表明しました。その上で、上川大臣は、閣僚会合と同時に、市民社会や国際機関による6つのテーマ別イベントが開催されることに関し、政府を超えた多様な参加者との協力がTICADの誇るべき特徴であると述べました。最後に、上川大臣から、参加者のアイディアや経験を積極的に発信し、アフリカの未来像を共に描きながら、議論が行われることへの期待を表明しました。
- 続いて、AU議長国のモーリタニアのモハメド・サレム・ウルド・メルズーグ外務・アフリカ協力・在外モーリタニア人大臣(H.E. Dr. Mohamed Salem Ould MERZOUG, Minister of Foreign Affairs, Cooperation and Mauritanians Abroad of the Islamic Republic of Mauritania)から、アフリカには豊かな人的資源と天然資源があり、重要なパートナーであるが、開発資金が限られており、デジタルインフラ、通信、連結性強化、教育、保健、人材開発、女性のエンパワーメントなどの解決のため、国際的な協力が必要である、またアフリカの声が正当に国際社会に反映されるよう国連安保理や国際金融機関改革を進めていく必要がある旨発言がありました。
- また、ンサンザバガンワAUC副委員長より、日本とアフリカは対話を通じてアジェンダ2063を含むアフリカのニーズに答えている、また日本の企業の投資にも期待する旨述べました。さらに、革新的な解決策をともに作っていくため、AUCはコミットメントを持ってTICADプロセスに貢献していく旨述べました
2 セッション1(社会:「持続可能な未来の実現」)
- 上川大臣は社会をテーマとしたセッション1において、「持続可能な未来の実現」に向けて、アフリカの将来を担う若者を育成し、日本とアフリカの若者による諸課題解決策の共創を促進するために人的・知的・文化的交流を進めていく旨表明しました。また、上川大臣は、母子保健、環境・気候変動の分野を含む社会課題に対する日・アフリカ発の解決策の具体例を挙げながら、科学技術を活用した協力の重要性を指摘しました。さらに、アフリカの課題への解決策を日本とアフリカで共に創り上げるために、日本の地方の技術や若者のアイディアを活用しながら、革新的な方法でアフリカの課題解決策に貢献する“Made with Japan”の協力の可能性を提起しました。
- 続いて、共催者である世界銀行のアンドリュー・ダバレン・アフリカ地域チーフエコノミスト(Mr. Andrew Dabalen, Chief Economist, Africa, World Bank)から冒頭発言がありました。その後、ゲストスピーカー2名(チリツィ・マルワラ国連大学学長(Prof. Tshilidzi Marwala, the Rector of the United Nations University; Under-Secretary-General of the United Nations)、マグダ・ロバロUHC2030共同議長(Dr. Magda Robalo, Co-chair of the UHC2030 Steering Committee))、リードスピーカー3名(マラウイ、ジンバブエ、カーボベルデ首席代表)から発表があった後、アフリカ各国参加者から発言があり、若者と女性の活躍促進、SDGs促進、保健、教育・人材育成、環境・気候変動、農業、エネルギー、産業化、ファイナンス、デジタル技術を含む科学技術の活用などの分野における各国の取組や課題解決策の共創についての議論が行われました。最後に共催者である国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UNOSAA)のジャン・ポール・アダム政策・モニタリング・アドボカシー課長(Mr. Jean-Paul Adam, Director for Policy, Monitoring and Advocacy in the Office of the Special Advisor on Africa to the United Nations Secretary General) から総括発言がありました。
3 セッション2(平和と安定:「人間の尊厳と人間の安全保障の確保」)
- 冒頭、深澤政務官から、「人間の尊厳と人間の安全保障の確保」に向けた三つの視点が示されました。一つ目として、平和と安定に向けたWPSの主流化を挙げ、女性参画による持続的な平和の実現に向けて、新たに政府間開発機構(IGAD)を拠点とする「アフリカの角における女性平和人材育成イニシアティブ」を立ち上げる旨発表しました。二つ目として、イノベーションを活用した人道・開発・平和の連携を挙げ、地雷対策の技術やノウハウを提供する地雷・不発弾対策プラットフォームをアフリカに展開にしていく旨発表しました。三つ目として、アフリカ自身による平和と安定に向けた取組を挙げ、アフリカ自身によるグッド・ガバナンス、法の支配強化はアフリカの平和と安定の実現のみならず、社会課題の解決や経済成長の実現にも欠かせないこと、アフリカの平和と安定に向けて、アフリカの声をよりよく反映するためにも国連安保理改革が重要であり、共に取り組んでいくことを呼びかけました。
- 続いて、共催者であるアフリカ連合委員会(AUC)のバンコレ・アデオエ政治・平和安全保障担当委員からの冒頭発言及びゲストスピーカー(ビネタ・ディオップWPS担当AU特使)による発表の後、リードスピーカー3名(エジプト、ナイジェリア、モーリシャス首席代表)から発言があり、WPS推進の重要性、海洋安全保障、人間の安全保障、テロ、紛争の予防と根本原因への対処、組織犯罪、違法資金などの分野における取組や、女性や若者のリーダーの育成、平和構築や復興等の意思決定への参画対話、知見の共有などの各国の取組、アフリカのオーナーシップや、人道・開発・平和の連携、コミュニティーの役割、経済成長の前提としての平和の確保や人への投資の重要性などの視点についての議論が行われました。最後に共催者である国連開発計画(UNDP)のアフナ・エザコンワ総裁補兼アフリカ局長(Ms. Ahunna Eziakonwa, Assistant Administrator and Regional Director for Africa, UNDP)から総括発言がありました。