報道発表
日・ジョージア租税条約の署名
令和3年1月29日
- この条約は、1986年に発効した現行の租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約)の内容を日本国とジョージアの間で全面的に改正するものであり、具体的には、投資所得に対する課税の更なる軽減のほか、条約の濫用防止措置及び租税債権の徴収共助の導入並びに租税に関する情報交換の拡充を行うものです。これらにより、二重課税を除去し、国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。
- この条約の主な内容は、以下のとおりです。
- (1)事業利得に対する課税
事業利得については、企業が進出先国に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合に、その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ、進出先国において課税することができます。 - (2)投資所得に対する課税
投資所得(配当、利子及び使用料)については、以下のとおり、源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が引き下げられ、又は課税が免除されます。
現行条約 改正後 配当 15% 5% 利子 免税(政府受取等)
10%(その他)免税(政府受取等)
5%(その他)使用料 免税(著作権)
10%(その他)免税 - (3)条約の特典の濫用防止
条約の特典の濫用を防止するため、使用料に対する免税は一定の要件を満たす適格者等である居住者に限って認められます。また、条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合には、条約の特典は認められません。 - (4)相互協議手続
条約の規定に従っていない課税は、両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決されます。 - (5)情報交換及び徴収共助
国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため、両国間における租税に関する情報交換の対象となる租税及び事案が拡大されるとともに、両国間における租税債権の徴収に関する相互支援が導入されます。
- この条約は、両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後、その承認を通知する外交上の公文の交換の日の後30日目の日に効力を生じ、次のものについて適用されることとなります。
- (1)我が国においては、
- ア 課税年度に基づいて課される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
- イ 課税年度に基づかないで課される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税
- (2)ジョージアにおいては、
- ア 源泉徴収される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に取得される所得
- イ その他の租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度について課される租税
- (3) 情報交換及び徴収共助に関する規定は、対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず、この条約が効力を生ずる日から適用されます。
(参考1)
新条約は、我が国とジョージア以外の一部の旧ソ連諸国との間で適用されている現行の租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約)に影響することはありません。
(参考2)