報道発表
日・エストニア租税条約の署名
1 本30日(現地時間同日),エストニアのタリンにおいて,栁沢陽子・駐エストニア大使とトーマス・トニステ・エストニア財務大臣(H.E. Mr. Toomas Tõniste, Minister of Finance of the Republic of Estonia)との間で,「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約」(日・エストニア租税条約)(和文(PDF)/英文(PDF)
)の署名が行われました。
2 この条約は,両国間で生ずる二重課税を除去するため,両国において課税することができる所得の範囲を定める規定等を設けています。また,この条約の締結によって,両国の税務当局間において,条約の規定に従っていない課税についての協議,租税に関する情報交換及び租税債権の徴収共助の実施が可能となります。これらにより,二重課税を除去し,国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ,両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。
3 この条約の主な内容は,以下のとおりです。
(1)事業活動によって取得する利得に対する課税
事業利得については,企業が進出先国に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合に,その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ,進出先国において課税することができる。また,恒久的施設に帰属する利得は,本支店間の内部取引を網羅的に認識し,独立企業原則を厳格に適用して計算される。
(2)投資所得に対する課税の減免
投資所得(配当,利子及び使用料)については,以下のとおり,源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が設けられ,又は課税が免除される。
配当 | 利子 | 使用料 |
免税(議決権保有割合10%以上・保有期間6月以上) 10%(その他) |
免税(政府受取等) 10%(その他) |
5% |
(3)条約の特典の濫用を防止する規定
条約の特典の濫用を防止するため,投資所得に対する免税は一定の要件を満たす適格者等である居住者に限って認められる。また,条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合については,その条約の特典は認められない。
(4)税務当局間の協議及び仲裁制度
条約の規定に従っていない課税は,税務当局間の協議による合意に基づき解決される。また,税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には,第三者から構成される仲裁委員会の決定に従って解決される。
(5)情報交換及び徴収共助
国際的な脱税及び租税回避行為に効果的に対処するため,両国間における租税に関する情報交換及び租税債権の徴収に関する相互支援が導入される。
(1)課税年度に基づいて課される租税に関しては,この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
(2)課税年度に基づかないで課される租税に関しては,この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税