報道発表

第2回日英外相戦略対話(概要)

平成25年10月16日

 本16日午前10時から約60分間,岸田文雄外務大臣は,英国のウィリアム・ヘーグ外務・英連邦大臣(Rt. Hon William Hague MP, Secretary of State for Foreign and Commonwealth Affairs of the United Kingdom)と第2回日英外相戦略対話を行い,続いて午前11時30分から約60分間,ワーキングランチを実施したところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭発言

(1)岸田大臣から,今回のヘーグ大臣の来日は,安倍政権による安全保障体勢見直しが大詰めを迎え,またAPECとASEAN関連首脳会合が終わったばかりという,まさに戦略対話を行うにふさわしいタイミングであるとして,歓迎の意を表しました。

(2)ヘーグ大臣から,国会日程等もあるなかで貴重な時間を頂き感謝する,岸田大臣御指摘のとおり,非常に良いタイミングで今回の対話を行うことができて喜ばしい旨述べました。

2 安全保障

(1)日本の安全保障態勢の見直し

 岸田大臣から,安倍政権が「積極的平和主義」の旗の下に,NSCの設置や国家安全保障戦略の策定,集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障措置への参加等と憲法の関係についての検討を行っている現状を説明しました。特に,これらの検討は,日本として,地域と国際社会の平和と安定に一層積極的に貢献していくために行っていること,また近隣諸国を含む関係国には丁寧に説明していく旨を説明しました。
 これに対してヘーグ大臣から,御説明のあった日本の取組は,国際社会にとって真の利益をもたらすものであり,英国として明確にこれを歓迎する,また英国もキャメロン政権においてNSCを設置しており,安全保障戦略の策定において効果的に機能しているところ,こうした経験を日本と共有していきたい旨述べました。

(2)安全保障分野における日英協力の可能性

両外相は,今後の日英協力において,(ア)海洋,宇宙空間,サイバー空間といった「グローバル・コモンズ」の分野,(イ)アルジェリアやケニアの事案を踏まえた「テロ対策」の2つが重要であること,また中東・北アフリカ及び東南アジアについて,情報交換と政策協調面での協力を進めていくことについて,一致しました。特に,両外相は,アルジェリアやケニアのテロ事案及びシリア情勢をめぐる経験を踏まえ,これらの地域で重大な事態が起こった際には,日英間で遅滞なく情報交換を行うことが重要であるとの認識を共有しました。

3 アジア情勢(経済を含む)

(1)岸田大臣から,東アジアに関する日本側の戦略的情勢認識を述べ,また中国,北朝鮮,韓国をめぐる現状について,日本側の見方を説明しました。また,経済面では,APEC首脳会議の成果を紹介しつつ,アジアを中心とした新興国のビジネス環境の改善に向けて日本と欧州が連携していくことが重要と指摘しました。

(2)ヘーグ外相からも,英側から見た東アジア情勢について説明があり,両外相間で突っ込んだ議論を行い,アジアにおける日英間での更なる連携の可能性について意見交換しました。

4 中東・北アフリカ情勢

(1)両外相は,シリア,イランといった中東・北アフリカ情勢について議論しました。

(2)特にシリアについて,両外相は,9月のG20サミットや国連総会の際に,日英首脳・外相間で緊密な連携が図られたことを高く評価し,引き続き協力していくことで一致しました。

5 紛争下の性的暴力防止

(1)両外相は,英国が議長国を務めているG8のフォローアップ事項,特に,両外相が共に力を入れてきた紛争下の性的暴力防止に向けた取組について議論しました。

(2)岸田大臣からは,英国が主導して実現した,紛争下の性的暴力防止に関する国連総会サイドイベントの成功に対して祝意を表明すると共に,この問題の重要性が国際社会に一層認識され,具体的な解決へとつながるよう,日本としても,また岸田大臣個人としても英国と協力していきたいとの考えを伝えました。

(3)これに対して,ヘーグ外相からは,安倍総理が国連総会演説で述べた,女性をめぐる諸課題への取組について高く評価している,また岸田大臣は自分(ヘーグ外相)にとって,この問題に取り組んでいく上で極めて重要なパートナーである旨述べ,両外相は,引き続き協力関係を強化していくことで一致しました。


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