報道発表
人間の安全保障基金を通じたマリ共和国における事業に対する支援
平成27年8月19日
- 1 8月3日,国際連合は,「マリ共和国北部における若年層及び女性に対する強靱性の構築を通じた人間の安全保障支援プロジェクト」(約215万ドル)に関して,人間の安全保障基金を通じて支援を行うことを決定しました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国の主導により国連に設置されたものです。
- 2 本事業は,国連開発計画(UNDP),国連食糧農業機関(FAO),国際労働機関(ILO),国連児童基金(UNICEF),ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women),国連人口基金(UNFPA)及び世界保健機関(WHO)によって実施されます。本事業は,同国でUNDP,UNFPA,ILO及びFAOによって実施された「マリ共和国における若年層と強靱性の共同プログラム」(PCJR)の初期フェーズから得た教訓を基に,この「若年層」のターゲットに加えて,ジェンダーの事項や,マリ共和国北部の過激派グループの進出に繋がった2012年の危機により直接的な被害を受けたにも関わらずPCJRの対象となっていなかった女性,女児及び少女の保護を考慮しています。また,PCJRの対象地域に加えて,上記の2012年の危機以来,人間の安全保障の条件が深刻に脅かされているキダル州にまで,対象地域が拡大されています。この3年間の事業の主な内容は以下のとおりです。
(1)2012年の危機で最も被害を被ったガオ州,キダル州及びトンブク州等の地域の若年層及び女性を始めとする,最も脆弱な人々の強靱性と能力の構築
(2)平和的共存,平和構築及び最も脆弱な人々の集団の保護の推進
(3)開発・復興計画における人間の安全保障の主流化
(4)最も脆弱な人々の主要な基礎的サービスへのアクセス向上
- 3 本事業への支援により,マリの社会的脆弱層である若年層及び女性の人間の安全保障が推進されることが期待されます。
(参考1)人間の安全保障基金
人間の安全保障の実践のため,我が国のイニシアティブにより1999年に国連に設置された信託基金。人間の安全保障基金に対し,我が国は現在までに総額約436億円(約4億34万ドル)を拠出している。これまでも,この基金を通じ人間の生存,生活,尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係の国際機関が行う227件のプロジェクトを支援してきている。
(参考2)人間の安全保障に関する国連総会決議と国連事務総長報告書
2012年9月10日,第66回国連総会において,我が国の主導により「人間の安全保障の共通理解」に関する国連総会決議が採択された。同決議は,国連加盟国間の長年にわたる議論を経て醸成された人間の安全保障に関する共通理解を確認するものであり,人間の安全保障の議論が大きく前進した。
同決議を受け,2014年1月21日,人間の安全保障に関する事務総長報告書が発出された。本報告書では,人間の安全保障を,平和と安全保障・開発・人権という3つの相互関連性のある国連の柱に関係する普遍的な枠組みと位置付け,人間の安全保障の利点,付加価値及び有用性が説明されている。