報道発表

新日・露租税条約の署名

平成29年9月7日
1.本7日(現地時間同日)、ロシアのウラジオストクにおいて、上月豊久・駐ロシア大使とイリヤ・ヴャチェスラヴォヴィチ・トルーニン露財務次官(Mr. Ilya Vyacheslavovich Trunin, Deputy Minister of Finance of the Russian Federation)との間で、「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約」(新日・露租税条約)(和文(PDF)別ウィンドウで開く / 英文(PDF)別ウィンドウで開くの署名が行われました。

2.この条約は、1986年に発効した現行の租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約)を全面的に改正するものであり、具体的には、投資所得に対する課税の更なる軽減のほか、条約の濫用防止措置及び租税債権の徴収共助の導入並びに租税に関する情報交換の拡充を行うものです。これらにより、二重課税を除去し、国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。

3.新日・露租税条約の主な内容は、以下のとおりです。
(1)事業利得に対する課税
事業利得については、企業が進出先国に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合に、その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ、進出先国において課税することができる。
 
(2)投資所得に対する課税の更なる軽減
投資所得(配当、利子及び使用料)については、以下のとおり、源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が引き下げられ、又は課税が免除される。
  現行条約 改正後
配当 15% 免税(年金基金受取)
5%(議決権保有割合15%以上・
保有期間365日以上)
15%(不動産化体株式)
10%(その他)
利子 免税(政府受取等)
10%(その他)
免税
使用料 免税(著作権の使用等)
10%(特許権または設備の使用等)
免税
 
(3)条約の特典の濫用防止
 条約の特典の濫用を防止するため、投資所得に対する免税は一定の要件を満たす適格者等である居住者に限って認められる。また、条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合及び第三国に存在する恒久的施設に帰属する一定の所得については、その条約の特典は認められない。
 
(4)相互協議手続
条約の規定に従っていない課税は、両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決される。
 
(5)情報交換及び徴収共助の導入
  国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため、両国間における租税に関する情報交換の対象となる租税及び事案が拡大されるとともに、両国間における租税債権の徴収に関する相互支援が導入される。

4.この条約は、それぞれの国内手続(我が国の場合は国会承認を得ること)に従って承認された後、その承認を通知する外交上の公文の交換の日の後30日目の日に効力を生じ、次のものに適用されることとなります。
(1)課税年度に基づいて課される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
(2)課税年度に基づかないで課される租税に関しては、この条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税
(3)情報交換及び徴収共助に関する規定は、対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず、この条約が効力を生ずる日から適用される。

(注)新条約は、ロシア連邦以外の国と我が国との間で適用されている現行の租税条約に影響することはありません。

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