
タジキスタン共和国に対する一般プロジェクト無償資金協力 (「ハトロン州ハマドニ地区給水改善計画」)に関する書簡の交換について
平成20年8月5日
- 我が国政府は、タジキスタン共和国政府に対し、ハトロン州ハマドニ地区給水改善計画」(The
Project for the Improvement of Water Supply in Mir Saiid Alii Khamadoni
District of Khatlon Region)の実施に資することを目的として、9億5,500万円(3か年に亘る国庫債務負担行為。平成20年度:4,200万円、平成21年度:5億8,100万円、平成22年度:3億3,200万円)を限度とする一般プロジェクト無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月5日(火曜日)(現地時間、同日)、同国の首都ドゥシャンベにおいて、我が方中山喜弘在タジキスタン共和国日本大使館臨時代理大使と先方ハムラーハン・ザリフィ外務大臣(H.E.
Mr.Hamrokhon ZARIFI, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Tajikistan)との間で行われた。
- 計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- タジキスタン非常事態省が、同国南部のハトロン州ハマドニ地区モスクワ町及び農村部の給水状況を改善するため、給水施設の建設、井戸掘削機及び関連機材(発電機、トラック、水タンク車、配管工事用機材等)を調達する、「ハトロン州ハマドニ地区給水改善計画」を実施するための資金を供与する。
- なお、本計画の詳細設計のための無償資金協力に係る書簡の交換は、平成19年12月21日に行われている。
(2)本計画の必要性
- タジキスタンは、世界でも有数な水資源保有国であるにも拘わらず、全国に699ある給水施設のうち、113か所で給水が停止し、358か所で同国の水質基準を満たしておらず、全人口の59%程度にしか安全な飲料水の供給が行われていない状況であり、中央アジア・コーカサス諸国の中で最も低い水準となっている。また、貧困層の大半は、本計画の対象州であるハトロン州を含む地方の農業従事者であり、地方村落の農民に対する貧困対策は同国における重要課題の一つとなっている。同国における村落給水率は20%未満と低く、多くの村では安全な水の供給が得られず、水源を農薬や家畜の糞尿に汚染された表流水(灌漑水路の水)や浅井戸に頼らざるを得ない状況にある。一方、首都ドゥシャンベにおいてさえも、適切な上水管理がなされないまま河川の原水が直接給水されるなど給水事情は劣悪であり、これが原因で下痢などの水因性疾病が住民に広がるなど、生活に悪影響を及ぼしている。
- このような状況の下、同国政府は、同国南部に位置する最も厳しい給水状況にあるハトロン州ハマドニ地区モスクワ町及び農村部(メハナタバッド・ジャモアットのグロボット村及びナヴァバッド村)の給水状況を改善するために必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、ハトロン州ハマドニ地区モスクワ町に給水施設建設において、現在52%の給水率を2010年までに100%に改善し、新たに1万1,500人に給水することができ、また1日あたりの給水時間が現在12時間のところ24時間給水が可能となり、2万2,230人の全町民に安全で安定的な給水が提供できる。農村部(グロボット村、ナヴァバッド村)においても、6,640人の全村民に安全で安定的な給水が提供できる。
- また、安全な水が供給されることによって、不衛生な灌漑水等に依存する人口が減少し、健康被害(皮膚炎、下痢等の疾病率)が軽減されるとともに、女性や子供が担う水汲み労働の軽減が期待される。
(参考) タジキスタン共和国は、中央アジアに位置する内陸国であり、人口は約670万人(2007年:国連人口基金)、一人当たりGDP(国民総所得)は426.5ドル(2006年:EBRD)の国である。