(1)本計画の内容
ネパール公共事業省道路局が、ネパールの首都カトマンズからバクタプールまでの道路約9.1kmを2車線から4車線に拡幅する「カトマンズ-バクタプール間道路改修計画」(約9.1kmの4車線化、交差点(5箇所)の改良、バス停(14箇所)の整備、マノハラ橋及びハヌマンディ橋の整備等)を実施するために必要な資金を供与する。
なお、本計画の詳細設計のための無償資金協力に係る書簡の交換は、平成19年9月5日に行われている。
(2)本計画の必要性
近年、ネパールの政治・経済・行政の中心であるカトマンズ盆地には人口集中が顕著になっている(総人口2,530万人のうち、カトマンズ盆地176万人)。カトマンズ-バクタプール間道路は、首都カトマンズ市と観光都市バクタプール市を結んでおり、ネパール国内において非常に交通量の多い道路(上下線合計:カトマンズ側約50,000台/日、バクタプール側約15,000台/日)であり、既に交通容量が超過しており、渋滞が恒常化している。さらに、大型車両と、歩行者、バイク等が混在して通行しているため、交通混雑だけでなく、交通事故の要因にもなっている(事故車両台数340台/年)。
また、カトマンズ-バクタプール間道路は、中国と首都カトマンズを結ぶアジア・ハイウェイ42号線の一部をなしていることに加え、現在建設中のシンズリ道路が開通した後には東部テライ平原から首都カトマンズ市に向かうための通過道路になることが予定されている。そのため、今後、更なる交通量の増加が見込まれており、現在の交通事情の問題を解消することにより、農産物等の物流の効率化、道路周辺住民の生活環境の改善が必要な状況になっている。
このような状況の下、ネパール政府は、現在2車線であるカトマンズ-バクタプール間道路約9.1kmを4車線に拡幅するための改修について、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
今回の改修工事等が実施されれば、カトマンズ-バクタプール間の交通量が約2倍(現在:約4万台/日→2021年:約8万台/日)に増加するとともに、交通渋滞の緩和により、カトマンズ-バクタプール間の所要時間が約半分(現在:48分(渋滞時)→2021年:23分)に短縮されることが期待される。また、道路拡幅と交差点改良及びバス停整備により、大型車両と歩行者、バイク、自動三輪車等が区分けされ、交通事故の減少が期待される。
(参考) ネパールは、面積約14.7万平方キロメートル、人口約2,589万人(平成16/17年度)、人口1人当たりのGNI約290米ドル(平成18年)である。