報道発表

「平和と繁栄の回廊」構想第3回4者協議閣僚級会合の開催

平成20年7月2日

(写真) (写真)

  1. 7月2日(水曜日)、17時30分から約45分、飯倉公館において、高村外務大臣はサミール・アブダッラー・パレスチナ自治政府計画庁長官、ギデオン・エズラ・イスラエル環境保護相、サラーハッディーン・アル・バシール・ヨルダン外相の出席を得て、第3回目となる「平和と繁栄の回廊」構想4者協議閣僚級会合を開催した。
  2. 冒頭、高村大臣より、中東和平の実現のためには、イスラエルと共存共栄するパレスチナ国家の建設は不可欠であり、パレスチナ経済の開発が重要である旨発言するとともに、「平和と繁栄の回廊」構想による農産業団地の開発が経済開発に貢献する可能性を強調した。また、これまでの構想の進展を確認するとともに、今後の展望として、団地開発への民間投資誘致の重要性を指摘し、開発が進めば最大6000人の雇用を創出する可能性もある旨述べた。
  3. これを受けて、アブダッラー計画庁長官より、本構想はパレスチナ経済の開発に主要な役割を果たすもので、ヨルダン渓谷に留まらず、パレスチナ経済全体に波及効果を与えることが期待される旨述べると共に、移動の自由の確保に基づく民間企業の参加の重要性が強調された。
     続いて、エズラ環境保護相より、イスラエル・パレスチナ2国家構想が実現されなければならない旨述べるとともに、自立可能なパレスチナ経済の確立はその名の通り平和と繁栄の基礎となるものであり、イスラエルとしても最大限協力していく旨強調した。
     その後、バシール外相より、本構想は日本がアジア地域において蓄積してきた開発や繁栄の促進に関する豊かな経験に基づくもので、平和と安定だけでなく、人々の生活の改善と繁栄が極めて必要とされている時にあって、この構想は優れたモデルを提供するものである旨発言があった。また、3者より、日本が中東和平問題に果たしている役割に対する評価、及び本構想の推進に対する強い政治的コミットメントが表明された。
     各閣僚の発言後、永塚国際協力機構(JICA)理事より、農産業団地開発に向けたフィージビリティ・スタディの現状等について簡単な説明が行われた。
  4. また、今回の閣僚級会合の成果として、これまでの進展と今後の展望について4者の共通認識をプレス・ステートメントとして発出することで合意した(別添参照)。主要な点は以下のとおり。
  5. (1)農産業団地の建設は、まずジェリコ市南部のA地区から開始され、将来的には隣接地区に拡大されうることで一致した。

    (2)本年11月までに調査を終了し、可能な限り09年の早期に、団地建設関連プロジェクトの実施を開始することを確認した。

    (3)我が国は、このプロジェクトにODAを活用し支援する用意があることを表明した。

    (4)さらに、団地からヨルダンへのアクセスは、安全上の懸念だけでなく、経済的な効率性についても十分考慮して建設することで一致した。

  1. 会合の締めくくりとして、高村大臣より、1999年1月にパレスチナ自治区ラマッラを訪問した際、地域の繁栄には、ヒトやモノの自由な往来を可能にする、国境を越えた「平和の回廊」が必要であり、現実の回廊を実現するものは、「対話」の精神によって築かれ、人々の心と心をつなぐ「精神の回廊」である旨演説を行ったことを紹介しつつ、当時の考えがこのような形で具体化しつつあることは喜ばしく、今後とも、「対話」の精神に基づき「回廊」構想を着実に進め、和平関係者間の信頼醸成にも貢献していきたい旨表明した。これに対し、参加した閣僚から、日本の中東和平への取組に対する謝意が表明された。
  2. 会合後、高村大臣主催のレセプションが開催され、冒頭高村大臣より、上記プレス・ステートメントの概要について発表するとともに、各閣僚より、本構想の推進、及び中東和平実現に向けた強い決意と日本の努力に対する謝意が改めて表明された。

(参考)  「平和と繁栄の回廊」構想

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