
カンボジア王国に対する無償資金協力(「コンポンチャム州病院改善計画」及び「人材育成奨学計画」)に関する書簡の交換について
平成20年5月22日
- 我が国政府は、カンボジア王国政府に対し、「コンポンチャム州病院改善計画(the
Project for Improvement of Kampong Cham Hospital in Kampong Cham Province」及び「人材育成奨学計画(the
Project for Human Resource Development Scholarship)」の実施に資することを目的として、総額13億9,200万円を限度額とする無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、5月22日(木曜日)(現地時間同日)、プノンペン市において、我が方篠原 勝弘
駐カンボジア国大使と先方ハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力大臣(HOR Namhong
Deputy Prime Minister, Minister of Foreign Affairs and International Cooperation)との間で行われた。
- 各計画の概要は次のとおりである。
(1)コンポンチャム州病院改善計画
供与限度額(国庫債務負担行為) 10億3,900万円
(3か年に亘る国庫債務負担行為。平成20年度 2億1,600万円、平成21年度 4億7,100万円、平成22年度 3億5,200万円)
(イ) 本計画の内容
- コンポンチャム州病院内において、(i)外科・産婦人科病棟、外科手術棟、救急・X線検査棟、機械室棟他(延べ床面積約4,600平方メートル)の建設、(ii)必要な機材(ベッド132床、超音波診断装置1台、放射線装置1台、手術台3台等)の設置を行うための資金を供与する。
なお、本計画の詳細設計のための無償資金協力に係る書簡の交換は、平成19年12月3日に行われた。
(ロ) 本計画の必要性
- 1970年代から20年間続いた内戦の結果、カンボジアの保健医療体制は全国的に立ち後れが目立ち、人材の育成、サービスの向上、インフラの整備等全般にわたる改善・ 強化が不可欠であり、特に遅れの際だっている地方部での改善・強化が喫緊の課題となっている。
- コンポンチャム州は、首都プノンペンから北東約120kmに位置し同国で最大の人口を擁する州であり、本計画の対象であるコンポンチャム州病院は病床数260床、主な施設21棟(延べ床面積約9,400平方メートル)を有する同州内最高次の医療機関である。しかしながら、同病院の施設の多くは老朽化が進んでおり、また医療機器も老朽化と不足が顕著であるため、適切な保健医療サービスを提供することが困難な状況となっている。
- このような状況の下、カンボジア政府は我が国に対し無償資金協力を要請した。
(ハ) 本計画の効果
- 病棟の整備により、既存棟の構造的危険が回避され、廊下や屋上に病床を設置している不衛生な環境を改善できる。また、入院患者数の増加が見込まれる。
- 外科・産婦人科病棟内に分娩室及び母子感染予防活動室を整備することにより、母子感染が予防される。また、手術台の増加及び衛生環境の改善により、急増する交通事故等の救急患者診療への迅速な対応が可能となり、院内感染の防止効果も向上すると見込まれる。
- 超音波室及び心電計室をX線検査棟内に整備・統合することにより、機材の集中管理が効果的に行われ、質の高い医療サービスの実施が可能となる。
(2)人材育成奨学計画
供与限度額(国庫債務負担行為) 3億5,300万円
(4カ年に亘る国庫債務負担行為。平成20年度 3,700万円、平成21年度 1億6,000万円、平成22年度 9,100万円、平成23年度 6,500万円)
(イ)本計画の内容
- カンボジアの若手行政官等25名を対象に、日本の大学院における学位取得等を前提とした留学に対して必要な経費を支援するものである。
(ロ)本計画の必要性
- カンボジアでは、1970年代から20年にわたる内戦の結果、多くの有能な人材が喪失し、内戦後の復興・開発の中核を担うべき行政機関等の人材が不足している。また、近年の市場経済化や国際情勢に対応しうる人材の育成が必ずしも十分でない部分がある。
- このような状況の下、カンボジア政府は、人材育成において留学の果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」に対する我が国の無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ)本計画の効果
- 本計画の実施により、カンボジアの将来を担う指導者の輩出が期待され、今後の日・カンボジア両国間の友好関係の架け橋となることが期待される。
(参考) カンボジア王国は、面積約18万平方キロメートル、人口1,380万人(2005年)、人口一人あたりのGDPは454ドル(2005年)である。