報道発表

アフガニスタン、特に同国国境地域の安定化のための人道復興支援について

平成20年3月21日
  1. 今般、日本政府は、アフガニスタン、特に同国国境地域安定化のための人道復興支援として、関連国際機関に対して総額約103億円(8,500万ドル及び300万ユーロ)を拠出した。
  2. 復興が開始して6年が経過しているアフガニスタンにおいては、統治機構整備、インフラ整備、基礎生活分野等で一定の進展がみられているが、タリバーンをはじめとする反政府勢力による自爆テロや外国人の誘拐等のテロ事件が増加しており、復興を継続する上でもテロ・治安対策のための支援が急務となっている。特に、テロとの闘いの最前線であるアフガニスタン・パキスタン国境はテロの温床となっているほか、アフガニスタンとパキスタン及びイランそれぞれとの国境地域は、難民・避難民の流入、麻薬取引などにより引き続き不安定である。
  3. 今回の支援は、安定と復興の正念場を迎えているアフガニスタン、特に同国国境地域に対して、(1)アフガン難民・避難民に対する支援及びコミュニティ能力強化支援、(2)武器弾薬管理支援、(3)警察強化支援、(4)ガバナンス強化支援を行うことを通じて、同国の安定と治安改善を促し、可能な限り早期の復興を実現するために行うものである。また、同支援は、アフガニスタンとパキスタンの協力・対話を支援するためのG8の取組の推進に資するものである。
  4. 支援の内容は次のとおりである。

    (1)アフガニスタンとパキスタン及びイランそれぞれとの国境地域におけるアフガン難民・避難民に対する支援及びコミュニティ能力強化支援

    (イ)3月17日、アフガン難民・避難民の帰還支援として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対して1,000万ドルを拠出。移送支援やシェルター支援等に使用される。

    (ロ)3月12日、帰還民の社会復帰支援として、国際移住機関(IOM)に対して900万ドルを拠出。職業訓練、起業支援等に使用される。

    (ハ)3月5日、帰還民の生計支援として、国連世界食糧計画(WFP)に対して500万ドルを拠出。食糧不足解消、農村インフラ建設、職業訓練等に使用される。

    (ニ)3月17日、平和構築のためのコミュニティ能力強化・開発支援として、国連人間居住計画(UN-HABITAT)に対して1,200万ドルを拠出。生活インフラを中心として、集落レベルの小規模コミュニティ支援等に使用される。

    (ホ)3月12日、国家広域開発計画(NABDP)フェーズ2を通じたコミュニティ開発支援として、国連開発計画(UNDP)に対して1,500万ドルを拠出。地方道路修復や医療施設等の中規模コミュニティ支援に使用される。

    (ヘ)3月17日、学校を中心とした教育・衛生支援として、国連児童基金(UNICEF)に対して600万ドルを拠出。学校修復、教員訓練、井戸掘削等に使用される。

    (ト)3月14日、地雷・不発弾対策支援として、アフガニスタン地雷対策プログラム(MAPA)に応えるべく、国連PKO局地雷対策部(UNMAS)に対して1,000万ドルを拠出。地雷及び不発弾の調査・除去活動に使用される。

    (チ)3月12日、同国南西部ニムルーズ県における国境管理支援として、国際移住機関(IOM)に対して200万ドルを拠出。国境管理施設建設、警察訓練等に使用される。

    (2)武器弾薬管理に対する支援
     3月10日、NATO平和のためのパートナーシップ信託基金に対して300万ユーロを拠出。武装解除等を通じて集積された武器弾薬の管理体制強化に使用される。

    (3)警察強化に対する支援
     3月12日、アフガニスタン法秩序信託基金(LOTFA)を通じた警察強化への支援として、国連開発計画(UNDP)に対して1,000万ドルを拠出。警察官給与や警察施設修復等に使用される。

    (4)ガバナンス強化に対する支援
     3月18日、2008年夏に予定されている国勢調査への準備支援として、国連人口基金(UNFPA)に対して600万ドルを拠出。調査実施要員訓練や各県事務所開設等に使用される。

  5. 我が国は、アフガニスタンを「テロと麻薬の温床」にしないとの決意の下、アフガニスタンの政治プロセス、治安改善、復興の全ての分野で支援を行ってきており、これまで各種国際会議の機会に14億5,000万ドルの支援表明を行い、そのうち今回の支援を含めて13億6,000万ドルの支援を決定・実施してきている。我が国は、今後も同国の安定と復興のために積極的に支援を行っていく考えである。
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