
アフガニスタン・イスラム共和国に対する国連教育科学文化機関(UNESCO)を通じた無償資金協力「識字能力強化計画」に関する書簡の交換について
平成20年3月2日
- 1.我が国政府は、アフガニスタン・イスラム共和国に対し、「識字能力強化計画」(
the Programme for Enhancement of Literacy in Afghanistan)の実施のために、14億9,200万円を供与額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月2日(日曜日)(現地時間、同日)、カブール市において、我が方佐藤英夫駐アフガニスタン国大使と先方青柳茂ユネスコ在アフガニスタン事務所長(Mr.Shigeru
Aoyagi,Director,UNESCO Kabul,UNESCO Representative to Afghanistan)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- 2007年にアフガニスタン政府が策定した教育5か年計画を支援するため、ユネスコが非識字成人約30万人を対象とする「識字能力強化計画」行うために必要な資金を供与する。
(2)本計画の必要性
- アフガニスタンにおける識字率は非常に低く(男性50%、女性34%)、特に女性の識字率は世界的にも最低レベルにあり、人口の4割程度の約1,100万人が文盲であると推定されている。また、就学年齢者の半数が教育を受けておらず、識字教育体制を早急に整備する必要があり、本年、教育省から発表された教育戦略5か年計画において、識字教育が重点分野の1つとされている。
- 同国教育省識字局は、以前からカブール市で識字教育を行っており、特に2002年以降は、順次各県に識字局が設けられ、地方での識字教育も始まっている。他方、例えばカブール市では、教師数約3,000人に対して就学生が5万5,000人であるのに対し、地方では教師数約1,300名に就学生約25万人と極端な指導者不足が生じて行っている。また地方の識字教育は、字が読める人が指導しているというレベルであり、カリキュラムもなく教師に対する指導もないため、教育の質も問題となっている。
- 本件プログラムが対象18県において実施されることで、識字能力が向上した人々の職業獲得の機会が増大し、所得の向上につながる。ほか、女性については、所得を得ることによって家庭内外での地位向上にもつながる。また、アフガニスタン社会で職業獲得の機会が増大することは、潜在的に職に就けなかった人々(非合法武装集団等の一員になる可能性のあった者等)が労働に従事し、ひいては治安改善に資する貢献にもなる。
(3)本計画の効果
- 本計画の対象県である9県を中心に、合計約30万人が識字教育を受け、読み書きの能力が向上することにより、上記対象地域での所得向上、治安改善、社会参加の促進が期待される。
(参考) アフガニスタン・イスラム共和国の人口は約3,060万人(推定)と言われており、面積は65.2万平方キロメートル(日本の約1.7倍)