12月4日、御法川政務官はルワンダを訪問し、ムリガンデ官房長官(元外務・協力大臣)と意見交換を行いました。また、これに先立つ11月30日、ムセミナリ・ルワンダ外務・協力大臣とカタールにて意見交換を行いました。これらの会談の概要は以下のとおりです。
1.ムリガンデ官房長官との会談(於:ルワンダ、4日)
(1)御法川政務官より、概要以下のとおり述べ、コンゴ(民)東部情勢への懸念を伝え、政治的解決に向けた努力を促しました。
(イ)我が国は、アフリカの平和と安定に積極的な役割を果たしたいと考えている。本年我が国は、G8議長国であり来年は安保理非常任理事国ともなる。是非コンゴ(民)東部情勢の安定に貢献したい。
(ロ)貴国は、(コンゴ(民)反政府勢力の中心である)人民防衛国民会議(CNDP)とも関係を有しているとの見方もあるがどうか。
(ハ)ゴマ合意とナイロビ・コミュニケの実施、コンゴ(民)との直接対話、オバサンジョ国連事務総長特使らの調停への協力、天然資源の管理などが重要である。
(ニ)日本はコンゴ(民)政府にもメッセージを伝えることができる。必要があれば教えて欲しい。
(2)これに対し、ムリガンデ官房長官より以下のとおり応答しました。
(イ)コンゴ(民)東部情勢はルワンダにとって安全保障上の脅威。コンゴ(民)東部で活動するルワンダ反政府勢力の武装解除、動員解除、社会復帰(DDR)が重要。
(ロ)CNDPはルワンダとは無関係。
(ハ)ゴマ合意とナイロビ・コミュニケの実施が重要である点に同意する。特にコンゴ(民)の国内実施が重要である。オバサンジョ特使の活動を支持するが、コンゴ(民)政府がCNDPとルワンダ反政府勢力に対しきちんと対応することが重要。
(ニ)これまでもカガメ・ルワンダ大統領はカビラ・コンゴ(民)大統領に協力してきている。今回の事態は残念であるが、今後も協力していきたい。コンゴ(民)との直接対話について実施する用意がある。
(ホ)今後も、日本と情報を共有し、協力していきたい。
2.ムセミナリ外務・協力大臣との会談(於:カタール、11月30日)
(1)ムセミナリ外務・協力大臣より、東部情勢について以下の説明がありました。
(イ)ルワンダは地域の不安定化を望んでおらず、話し合いによる解決を欲しているが、民族分布や国境線の問題があり、人々の感情を解きほぐすのは容易ではない。コンゴ(民)国内で話し合いを通じて解決すべきである。
(ロ)ルワンダとコンゴ(民)は既に国交正常化に合意しており、その実施が重要。
(ハ)今必要なのは、コンゴ(民)が国家を再建し、行政を立て直すこと。貴政務官からも、コンゴ(民)がこれまでの合意を実施に移すよう依頼してほしい。
(2)これに対し、御法川政務官より、概要以下のとおり述べました。
我が国は大湖地域の平和と安定がアフリカ全体の平和と安定の土台となる重要な問題と認識し、可能な限りの支援を行ってきた。我が国は、コンゴ(民)東部で発生している人道状況を深く懸念しており、貴国とコンゴ(民)が対話を通じた紛争解決に取り組むよう慫慂したい。
【参考】 国連コンゴ(民)ミッション(MONUC)
1999年のルサカ合意(98年のコンゴ紛争解決のためコンゴ(民)と周辺6カ国の間で署名された和平協定)を受け、停戦監視の目的で設立される。その後マンデートを難民等の帰還支援、武装解除支援、選挙プロセス支援等まで拡大。現在1万6,475名(2008年10月現在)の要員を抱え、世界最大規模の国連PKO。現在はその要員の大半が南北キブ州を中心とする東部に展開している。北キブ州に5,000名(うちゴマ周辺に1,000名)が配備されている。11月20日、安保理はバン事務総長の要請を受け、3,000名のMONUC増員を決定。
【参考】 ゴマ合意
2008年1月にコンゴ(民)東部北キブ州ゴマに於いて開催された「キブ州の平和・安全・開発に関する会議」の際に政府と全てのコンゴ(民)反政府武装勢力との間で署名された和平合意。即時停戦、武装勢力国軍への統合及びDDR、市民の人権尊重、政治的・司法的保障(特赦)につき合意が形成された。
【参考】 ナイロビ・コミュニケ
2007年11月にコンゴ(民)政府とルワンダ政府との間で署名された。コンゴ(民)東部(特に南北キブ州)に潜伏しているルワンダ反政府勢力(ルワンダ解放民主戦線(FDLR)、主に、94年のルワンダ大虐殺に加担した旧ルワンダ国軍(Ex-FAR)やフツ族過激派民兵インテラハムウェで構成)の武装解除及び帰還を二国間で協力しつつ実施していく旨の合意。