
中曽根外務大臣とヒラール・エジプト高等教育相兼科学技術研究担当国務相の会談について
平成20年10月10日
10月10日11時40分から約30分間、大臣接見室にて、中曽根外務大臣は、日本アフリカ科学技術大臣会合及びSTSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)出席のため訪日中のヒラール・エジプト高等教育相兼科学技術研究担当国務相との間で会談を行ったところ、概要以下のとおり。
- 冒頭、中曽根大臣から、「日本アフリカ科学技術大臣会合及びSTSフォーラムに出席いただき感謝。これらの会合が、エジプトを含むアフリカ諸国との科学技術分野での更なる協力につながることを期待する。」旨述べた。これに対しヒラール大臣は、「様々な分野での日本の支援に感謝する。日本アフリカ科学技術大臣会合は大変前向きな成果があった。STSフォーラムは、科学者や我々科学技術政策決定者にとってはダボス会議よりも重要な意義を持つ会議である。」旨述べた。
- 引き続き、日本・エジプト科学技術大学(E-JUST)構想に関し、ヒラール大臣より、「E-JUSTは二国間の最重要かつ象徴的な事業である。昨日のE-JUST日本側国内支援委員会において、日本側の政府・大学・産業界のパートナーが多数出席したことは、日本側の熱意が感じられた。本件についてエジプト側は、大学の用地を確保し、エジプト側の実行委員会の常勤メンバーを指名し、予算を確保する等のコミットメントを行っている。来年9月開校に向け準備が加速している。」旨述べた。これに対し中曽根大臣より、「E-JUST構想の実現に向けた協力が動き出していることは喜ばしい。本年6月、我が国は、本件を『技術協力プロジェクト』として採択した。今月にもカリキュラム作成や機材リスト作成等を支援する専門家の派遣を開始する予定である。また、本件をオールジャパンで支援すべく、民間も交えた国内支援委員会を立ち上げる等体制作りを進めている。自分は、文部大臣、科学技術庁長官の経験があり、本件には関心がある。今後とも我が国も本件実現に向け可能な限り協力したい。」旨述べた。
- 日本・エジプト科学技術年2008について、ヒラール大臣は、「科学技術年への日本の協力に感謝する。これは今年一年だけではなく、これからの科学技術分野での長い協力関係の始まりである。日本の科学技術への国際的イニシアティブに感謝しており、エジプトとしても協力していきたい。」旨述べた。これに対し中曽根大臣は、「本年が、日本・エジプト科学技術年となり、政府機関、大学等による様々なプログラムが実施されていることは喜ばしい。」旨述べた。
(参考)
○日本・エジプト科学技術大学(E-JUST:Egypt-Japan University of Science
and Technology)
(1)概要
日本が協力して、エジプトに中東及びアラブ世界における中核的拠点となりうる日本式工学教育・研究活動を行うエジプト国立の科学技術大学を設立するという構想。2009年秋に、アレキサンドリア市郊外ニュー・ボルグ・エル・アラブ市に所在するムバラク研究所の施設を借りて学生の受入開始予定。同研究所に隣接する敷地(用地はエジプト政府が既に確保済)にキャンパスを建設する予定。
(2)日本の協力
日本の協力は、大学のグランドデザイン・カリキュラム作成及び大学運営の制度・組織に係わる支援等とそのための専門家の派遣、核となる教員5~10名の派遣(10年間)、研究室の中核的機材の整備支援。本年6月、技術協力プロジェクトとして採択。また、E-JUST支援のため、関係省庁、JICA、協力大学、産業界等からなる国内支援委員会を立ち上げた(10月9日に第一回会合を開催)。
○日本・エジプト科学技術年2008
(1)エジプトは、科学技術の強化及び先進国との協力促進を図るため、2007年からの10年間を「エジプト科学技術10年間」と定め、エジプト政府の要請に応え、2008年は「日本・エジプト科学技術年2008年」とすることとなった。
(2)2008年3月8日、カイロにおいて、本オープニング・セレモニーを開催。我が国から宇野外務大臣政務官及び薬師寺泰蔵総合科学技術会議議員が出席し、記念講演を行った。5月には、岸田科学技術担当国務大臣がエジプトを訪問し、ヒラール高等教育相及びカーメル情報通信相と意見交換等を行った他、6月には東京で第一回日本エジプト科学技術国際シンポジウムが、7月にはカイロで新再生エネルギー・セミナーなど、政府関係機関、大学等による様々なプログラムが実施されている。