(1)食糧援助(供与額:7億1,000万円)
(2)貧困削減戦略支援無償(供与額:6億3,000万円)
(1)食糧援助
タンザニアは、政治的には安定した国であるが、国連開発計画(UNDP)の人間開発指標(HDI)(2006年)では177か国中162位にランクされる最貧国の一つで、国民の36%が貧困ライン以下で生活している。人口のおよそ80%が農業で生計を立てており、農業はGDPの46%を占めている。
食糧は、需要が供給をはるかに上回る米を除いて、基本的には自給可能であるが、穀物生産が全国的に良好な年であっても、国内インフラの整備が不十分であることや高い輸送コストを反映しほぼ慢性的に食糧不足に悩まされる地域が多い。また、天水に依存している農業のため、干魃や洪水等の不安定な天候の影響を非常に受けやすく、2006年2月には約376万人が食糧不足となったように、国民生活はしばしば食糧不足に脅かされている。
このため同国政府は、我が国政府に対し、食糧不足を改善するために必要な資金につき無償資金協力を要請してきたものである。今回の食糧援助により、タンザニアの食糧不足の緩和につながることが期待される。
(2)貧困削減戦略支援無償
タンザニアは、第2次貧困削減戦略で掲げられている目標達成に向け、農業、インフラ、教育、保健等のセクターごとに中長期的な戦略・計画を策定し、コモンファンドにより資金を確保し、実施している。また、貧困削減戦略全体の進捗状況を監督するために、貧困モニタリング・システムが機能している他、国家行政の4大改革プログラム(公共財政管理、地方行政、公共サービス(公務員)、司法)を実施している。同国政府は、我が国に対してもこうした貧困削減戦略に対する財政支援を要請したものである。
我が国は、今回財政支援を行う各セクターにおいて、これまでも政府開発援助による支援事業を積極的に実施してきている。具体的には、農業分野では、開発調査や技術協力プロジェクト等を通じて主要作物の生産性の向上、関係省庁の事業実施能力の向上等に貢献している。貧困モニタリング分野では、統計管理能力向上のための技術協力支援を実施してきており、公共財政管理改革分野では、開発調査の成果を含めた政策策定支援を行っている。また、地方行政改革では、専門家派遣や研修を通じて協力を行っている。
タンザニアに対する今次財政支援を通じて、我が国がこれまで支援を強化してきたこれらのセクターにおける、二国間支援と相互補完的な形での支援効果の拡大が期待される。
(参考) タンザニア連合共和国はアフリカ東岸に位置し、面積が日本の約2.5倍(94.5万平方キロメートル)、総人口は3,830万人であり、1人あたりGNI(国民総所得)は340ドルである。