1. 我が国政府は、FAO(国連食糧農業機関)を通じ、以下2件の事業に対する合計4億2,000万円の貧困農民支援を実施することとし、このための書簡の交換が、日本時間7月31日(火曜日)(現地時間、同日)、ローマにおいて、我が方中村雄二駐イタリア国大使と先方デヴィッド・ハチャリックFAO事務次長(Mr. David HARCHARIK, Deputy Director-General)との間で行われた。
(1)パレスチナ自治区における農業再活性化事業計画(1億9,000万円)
(2)イエメン共和国及びその周辺国における砂漠バッタ異常発生対策に対する緊急支援計画(2億3,000万円)
2. 各計画の概要は次のとおりである。
(1)パレスチナ自治区における農業再活性化事業計画
(イ)本計画の内容
パレスチナ自治区における農村地域の生計向上と経済発展を促進する。
・ 現在実施中の「パレスチナ・ヨルダン川西岸地区における露地園芸の復旧・強化事業」の補完・強化・拡大
・ 貯水槽、貯水池等の建設による水資源の有効活用促進
・ 家畜小屋や井戸の再建、モデル果樹園の造園等、家畜飼育、露地栽培関連インフラの整備
・ 栽培・飼育・マーケティング等に係る農民やその組織に対するトレーニング
(ロ)本計画の必要性
・ パレスチナ自治区では、住民の経済・社会生活において農業が主要な位置を占めているが、紛争や内部での衝突などの影響による農地の荒廃や閉鎖、人と物資の流通制限等の影響で農業生産性・雇用機会が低下している。
・ FAOはこのような状況を改善するため、パレスチナ自治区における農業を再活性する事業を策定し、我が国に対し協力を求めてきた。
(ハ)本計画の効果
・ 対象地域の脆弱な中小規模農家2,020戸、約1万2,000人に対する収入創出の促進及び生計向上の効果
・ 対象地域全般における農業生産向上、経済発展への寄与
(2)イエメン共和国及びその周辺国における砂漠バッタ異常発生対策に対する緊急支援計画
(イ)本計画の内容
深刻な砂漠バッタ被害の危機下にあるイエメン共和国、エリトリア国、スーダン共和国、エチオピア連邦民主共和国を対象に、砂漠バッタへの防除対策能力を向上・強化する。
・ 砂漠バッタの被害防除にかかる能力構築(各国農業部局のスタッフに対する調査・管理・殺虫剤取扱等に係るトレーニング、地域ワークショップの開催等)
・ 殺虫剤利用に対する観察国家チームの創設
・ 殺虫剤噴射機、防御服、各種調査用機材等砂漠バッタ防除活動関連資機材の供与
・ 殺虫剤の空き缶を回収・処理する設備の整備
(ロ)本計画の必要性
・ 紅海沿岸諸国及びアラビア半島内における2007年初頭からの異常降雨等の要因によりエリトリアで発生した砂漠バッタが、スーダンにも拡大した。これに対する防除活動が機器・設備不足などによって阻害されたこともあり、防除網をくぐり抜けた砂漠バッタが今後さらに移動・発生していくことが懸念されている。
・ イエメンにおいても広範囲にわたる砂漠バッタの異常発生が確認され、このバッタが近隣諸国(エリトリア、スーダン、エチオピア)に拡大することが深刻に懸念される。
・ FAOはこのような状況を改善するため、イエメン、エリトリア、スーダン、エチオピアにおける砂漠バッタ防除対策能力を向上・強化する事業を策定し、我が国に協力を求めてきた。
(ハ)本計画の効果
・ 対象地域における砂漠バッタへの防除対策能力の向上・強化
・ 対象国農業部局スタッフ内における砂漠バッタ防除トレーニングの普及・拡大
・ 対象国における殺虫剤の空き缶の安全処理設備の整備
・ 砂漠バッタ被害を受けた地域の農業生産能力の回復