
玄葉外務大臣とエル・オトマニ・モロッコ外務・協力大臣との会談
平成24年3月5日
本5日(月曜日)午後6時30分より約50分間,玄葉光一郎外務大臣は,外務省賓客として来日中のサアド・ディン・エル・オトマニ・モロッコ王国外務・協力大臣(H.E. Dr. Saad Dine El Otmani, Minister of Foreign Affairs and Cooperation of the Kingdom of Morocco)と会談を行いました。また,会談に引き続き,日本国及びモロッコ王国の外務大臣による共同声明(日本語文
,仏語文
)の署名式及び3億円のノン・プロジェクト無償資金協力「途上国の要望を踏まえた工業用品等の供与」に関する書簡の交換が行われました。会談の概要は以下のとおりです。
- 冒頭
玄葉大臣より,エル・オトマニ大臣の来日を歓迎するとともに,東日本大震災に際したモロッコからの支援に対して,感謝の意を述べました。また,玄葉大臣は,今回発出する共同声明を一つのステップとして,二国間関係の強化につなげていきたい旨述べました。
これに対し,エル・オトマニ大臣は,震災の犠牲者に対して哀悼の意を表明するとともに,震災に際したモロッコの支援は友好国に対して果たすべき義務である旨述べました。
- 二国間関係
(1)政治関係
玄葉大臣は,憲法改正や衆議院選挙の実施等,モロッコの改革努力を評価し,モロッコが,政治分野のみならず経済社会分野での改革に引き続き取り組むことを期待する旨述べました。
エル・オトマニ大臣は,モロッコの新政権としても日本との二国間関係及び国際場裡における協力を深化させていきたい旨述べるとともに,モロッコは,地域における政治改革や民主化プロセスを推進していくべく,リーダーシップを発揮していきたい旨表明しました。
(2)経済関係
玄葉大臣とエル・オトマニ大臣は,日・モロッコ経済関係について意見交換を行い,特に,太陽エネルギー分野における二国間協力を一層推進していくことで一致しました。
また,両大臣は,モロッコにおける投資・貿易環境の整備が重要であることで一致し,エル・オトマニ大臣は,既に取り組んでいる各種改革を今後一層推進していく旨表明しました。
(3)経済協力関係
玄葉大臣は,ドーヴィル・パートナーシップの下,モロッコを含む中東・北アフリカ地域の改革・民主化努力を後押しする旨述べ,モロッコにおける経済社会開発努力支援のために,国連開発計画(UNDP)への100万ドルの拠出及び総額3億円のノン・プロジェクト無償資金協力の実施を決定した旨述べました。また,玄葉大臣は,地方9都市を対象とした「下水道整備計画(Ⅲ)」に対して円借款を供与する意向を表明しました。
これに対し,エル・オトマニ大臣は,これまでの長年にわたる日本の支援に深い感謝の意を表明するとともに,今後も案件の効果的実施のために尽力する旨述べました。
玄葉大臣とエル・オトマニ大臣は,アフリカ諸国に対する三角協力においてモロッコが果たす役割の重要性について一致し,引き続き,三角協力を推進していくことで一致しました。
- 中東・北アフリカ情勢
玄葉大臣とエル・オトマニ大臣は,中東・北アフリカ地域で民主化プロセスが進展していることを歓迎する一方,シリア情勢の緊迫化に対する懸念を共有し,同問題の解決に向けて両国間で政治的対話を行うこと,また国際社会が協調していくことの重要性について,一致しました。
エル・オトマニ大臣は,モロッコとして,マグレブ諸国の統合を重視しており,そのために努力を続けている旨述べ,玄葉大臣からは,マグレブ地域の安定に果たすモロッコの重要な役割に言及しました。
- 国際場裡における協力
エル・オトマニ大臣は,安保理改革の早期実現の必要性と国際場裡における日本の役割の重要性に言及し,2015年の安保理非常任理事国選挙における日本への支持を表明しました。
また,玄葉大臣とエル・オトマニ大臣は,2012年5月にモロッコで開催予定の第4回アフリカ開発会議(TICAD)閣僚級フォローアップ会合の成功に向け,連携していくことを確認しました。玄葉大臣からは,2013年6月に横浜で開催予定の第5回アフリカ開発会議(TICADⅤ)に,モロッコから首脳レベルの参加が得られることを期待する旨述べました。