報道発表

エチオピア連邦民主共和国に対する無償資金協力「国道一号線アワシュ橋架け替え計画」「第四次幹線道路改修計画」「アムハラ州中学校建設計画」に関する書簡の交換

平成23年6月9日
  1. 6月9日(木曜日)(現地時間同日),エチオピアの首都アディスアベバ市において,我が方岸野博之駐エチオピア国大使と先方スフィアン・アーメド財務・経済開発大臣(Mr. Sufian Ahmed, Minister of Finance and Economic Development)との間で,一般プロジェクト無償資金協力「国道一号線アワシュ橋架け替え計画」(供与限度額12.01億円)及び「第四次幹線道路改修計画」(供与限度額41.58億円),並びにコミュニティ開発支援無償資金協力「アムハラ州中学校建設計画」(供与額12.08億円)に関する書簡の交換が行われました。
  2. エチオピアの一人当たりの国民総所得(GNI)は330ドルと世界でも非常に低い水準であり,また,頻発する干ばつにより,国民の食料,衛生事情等も困難な状況にあります。我が国は,対エチオピア国別援助計画に基づき,食料安全保障の確立を主な目標として,生活用水の管理及び農業・農村開発を最重点分野に,また,社会経済インフラ,教育,保健を重点分野として,無償資金協力及び技術協力を実施しています。
    エチオピアは,ソマリア等の政治的に不安定な国のある東部アフリカのいわゆる「アフリカの角」地域に位置しています。エチオピアに対する我が国の支援は,同国の発展のみならず,地域全体の経済・社会の安定・発展に寄与するものです。
  3. (1)「国道一号線アワシュ橋架け替え計画」
    内陸国であるエチオピアでは,輸送,交通の大部分が道路輸送となっています。国道一号線は,首都アディスアベバと,エチオピアにとって唯一の安定した外港であり,エチオピアの輸出入の90%を占める隣国ジブチのジブチ港とを結ぶ国際幹線道路です。この国道一号線上にあるアワシュ橋は,建設から40年を経過し,損傷が激しいため,走行を一度に一車両のみとする通行制限を実施しています。仮に同橋が落下した場合,近くに適当な迂回路が存在しないことから,ジブチとの物流が停止し,エチオピア・ジブチ両国の経済及び国民生活に多大な影響が及ぶことが懸念されます。
    本計画の実施を通じて両国間の円滑な物流を確保することにより,地域全体の安定・発展に寄与することが期待されます。

    (2)「第四次幹線道路改修計画」
    国道三号線は,首都アディスアベバから,エチオピアの食料の約40%を生産する穀倉地帯であるアムハラ州を縦断し,隣国のスーダンに至る国際幹線道路です。エチオピアは原油輸入の多くをスーダンに依存し,その原油輸入の約80%が国道三号線を通じて輸送されます。このため,国道三号線は,エチオピアの経済発展及び食料安全保障の基盤を成す重要な道路です。
    我が国はこれまで国道三号線のアディスアベバからデジェンまでの約220kmの整備事業に対し,無償資金協力を実施してきました。今回対象となるデジェンからデブレマルコスまでの未舗装区間の一部(30.5km)は,雨期に度々道路が冠水し,道路交通に支障をきたしています。この区間には道路建設に高度な土木技術を要する黒灰土土壌が広く分布しているため,我が国の高い技術力への期待が寄せられています。

    (3)「アムハラ州中学校建設計画」
    エチオピアは2015年までの初等教育の完全普及を目指し,我が国を含むドナーからの支援も受けて取り組んできた結果,初等教育(1~4年生)就学率は全国平均で94%にまで上昇しました。しかし,初等教育の普及に伴い,中等教育への進学を希望する生徒が増えて,中学校の不足,教室数の不足,教室の過密化,質の高い教員の不足等の新たな課題が生じています。アムハラ州の場合,初等教育就学率98.4%に対し,前期中等教育(5~6年生)就学率は38.4%にとどまっています。
    本計画では,アムハラ州の中でも特に教室数の不足が著しい地域を対象とし,中学校8校(256教室)の新設及び既存の中学校9校について各4教室(36教室)を増設します。これにより,約1万人の生徒が新たに就学機会を得ることができます。特に,中学校新設により通学距離が短縮されることで,これまで安全上の理由により長距離通学を断念していた女子生徒や,寄宿のための経済的余裕がない生徒達が,教育を受ける機会を得ることができます。
  4. 我が国は,2008年5月,横浜で開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)において,アフリカにおける広域インフラ整備及び教育分野での取組みを強化することを表明しており,本件協力はこれを具体化するものです。また,中学校建設を通じて,ミレニアム開発目標の達成にも貢献します。

    【参考】
    エチオピアは,面積110.4万平方キロメートル,人口8,282万人(2009年,世銀),人口1人当たりのGNI(国民総所得)330米ドル(2009年,世銀)。
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