
人間の安全保障基金を通じたネパールへの支援
平成21年4月15日
- 日本政府及び国連は、4月15日(水曜日)、国連人口基金(UNFPA)、国連児童基金(UNICEF)及び世界保健機関(WHO)がネパール連邦民主共和国で実施する「ネパールの紛争影響下における脆弱な女性及び思春期の少女に対する基礎的なリプロダクティブ・ヘルスケア、教育、心理的カウンセリングの提供」プロジェクトに対し、人間の安全保障基金を通じて116万3,203ドル(約1億3,144万円)の支援を行うことを決定しました。
- ネパールでは、社会的及び地域的な格差やリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)のための医療や教育といった基礎的社会サービスの提供が紛争後不十分であるため、紛争の影響を受けた地方の女性や思春期の少女の保健と教育の機会が脅かされています。また、性差に基づく暴力、人身取引及びHIV/エイズを含む性感染症などへのリスクにもさらされています。本プロジェクトは、これらの問題に対して包括的に取り組むことで、ネパールのダデルドゥラ、ダン、カピラバストゥ、ラウタハト、マハッタリ及びサプタリ地方の女性及び思春期の少女の保護と能力強化を目指します。主な活動は以下のとおりです。
(1)移動式リプロダクティブ・ヘルス診療所による巡回診療、移動式診療所と病院間の紹介制度の強化、医療従事者、助産師及びカウンセラーの訓練等を通じた質の高いリプロダクティブ・ヘルスケア・サービスの提供を図ります。
(2)適切なタイミングで必要な医療を受診できるように、対象とする人々の健康や教育の重要性や、性及びリプロダクティブ・ヘルスに関する権利について意識向上キャンペーンを実施します。
(3)奨学金の付与や識字教育及び生活スキルの訓練などを通じて、思春期の少女に教育の機会を提供します。
(4)あらゆるリスクに晒されている家庭、特に女性を対象に所得創出活動を実施し、生活水準の改善を図ります。
(5)公共サービスやNGOの職員を対象とした、女性に対する暴力及び早婚の予防に関するワークショップの開催や、パラリーガル委員会ネットワークの構築を通じて、人権保護システムを強化します。
- 本プロジェクトの実施により、ネパールの紛争で影響を受けた地域における保健、教育、貧困の状況改善を通じて基本的人権保護の促進が期待されます。
(参考)人間の安全保障基金は、1999年3月に日本の主導により国連に設置された信託基金であり、現在までに総額約373億円(約3億3,043万ドル)を拠出している。これまでも、この基金を通じ人間の生存、生活、尊厳に対する多様な脅威に対して人間の安全保障の視点から取り組む国連関係国際機関の190件以上のプロジェクトを支援してきている。