
ネパールに対するセクター・プログラム無償資金協力について
平成18年12月15日
- 我が国政府は、ネパール政府に対し、「セクター・プログラム無償資金協力」の実施のため、11億円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、12月15日(金曜日)、カトマンズにおいて、我が方平岡邁駐ネパール国大使と先方ビッダャダール・マリック大蔵省次官(Mr. Bidhyadhar Mallik, Secretary, Ministry of Finance, the Government of Nepal)との間で行われた。
- ネパール政府は、「第10次5カ年計画」を策定し、5年間で貧困層人口を38%から30%まで削減すること等の貧困削減を国家目標に掲げている。貧困削減の国家目標の達成に向けて、ネパール政府は、「中期的財政計画」や「短期的な即時行動計画」等を策定し、「第10次5カ年計画」の実施に努めてきている。しかし、ネパールでは昨今の不安定な政治・治安情勢を受け、主要産業である観光業の不振が続いている。また、投資環境の悪化による投資の停滞とともに、国内経済の悪化にともなう税収の落ち込みを原因とする財政悪化が、極めて深刻な状況となっている。
- このような状況下において、本年4月の民主化運動に伴い下院が再開されて以降、政府がマオイスト(武装闘争を続けてきた反政府組織)との間で和平交渉を推し進め、本年11月21日には、ネパール政府とマオイストの包括的和平合意が成立した。同国は、民主主義の定着と恒久的平和の実現に向けて、貧困削減のための国内経済の緊急的な立て直しを実施していく必要に迫られ、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回のセクター・プログラム無償資金協力は、ネパールの経済構造改善努力及び貧困削減に向けた取り組みを支援するために実施されるものであり、この資金は同国における経済構造改善に必要な商品の輸入代金支払いのために使用される。また、その見返り資金は、保健、教育、地方開発・地方経済支援、地方行政及び平和構築等のネパール政府が定める開発の重点セクターのプロジェクトに対して集中的に活用されることとなっており、ネパール国における民主主義の定着と恒久的平和に向けた取り組みが進展することが期待される。
(参考)
ネパール国は約14万7,000平方キロメートルの国土と約2,530万人の人口を有し、北はヒマラヤ山脈をはさんで中国と、南はタライ平原と呼ばれる東西に広がる平坦地でインドと国境を接する内陸国である。
一人当たりのGDP(国内総生産)は約294ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が政府の最重要課題の一つである。