(1) 食糧援助 2億円
(2) セクター・プログラム無償資金協力 8億円
モンゴルは年間約60万トンを生産する小麦輸出国であったが、市場経済移行後、国営農場の民営化が同国政府から支援の代替措置を欠いたまま急激に行われたために、農場、農業機械、技術者等の生産体制が無秩序に分散し、小麦の生産面積は社会主義時代と比較して7分の1程度にまで減少した。さらに、2000~2003年の雪害、2004年夏の干ばつ被害により、小麦の自給率は30%前後となっている。モンゴル政府は、生産技術導入等を重視する食糧農業政策を策定しているが、自給体制の整備にはさらなる取り組みが必要である。このような状況下、モンゴル政府は小麦の購入に必要な資金として、我が国政府に食糧援助を要請した。
また、モンゴルは、世界銀行・国際通貨基金(IMF)との連携・協調の下、着実に経済構造改善努力を行っているが、同国経済はカシミヤ、金、銅等の一次産品に依存した産業構造で、国際市場価格の動向に大きく左右されるなど依然として経済基盤は脆弱である。高い失業率と貧困層の拡大も大きな問題である。このため、モンゴル政府は我が国政府に対し、経済的困難からの脱却を図るため必要とされる物品を購入するためのセクター・プロジェクト無償資金協力を要請した。なお、モンゴル政府により積み立てられる見返り資金については、同国の教育及びエネルギーセクターにおける社会・経済開発事業のために使用される。
(参考)
モンゴルは、国土面積は156万4,100平方キロ(日本の約4倍)、総人口約253万人、一人当たりGNI(国民総所得)が690ドル(2005年)の低所得国(世銀ランク)である。