(1)一般プロジェクト無償資金協力
「首都圏主要国立病院整備計画」(供与限度額:8億9,900万円)
(2)防災・災害復興支援無償資金協力
「熱帯低気圧スタン災害復興支援計画」(供与額:8億3,400万円)
(1)グアテマラ政府は、2004年に国家開発計画「政策指針(2004~2008年)」を策定し、当面の優先分野として、教育の向上、社会基盤整備、治安改善、保健医療サービスの改善を打ち出している。これを受け、保健省は、国家保健計画として「保健基本政策(2004~2008年)」を策定し、優先項目として、「妊産婦死亡と新生児死亡」及び「結核」を含む17項目を策定して、保健医療施設のレファレル・システム強化と近代化に取り組んでいる。
(2)グアテマラでは、貧困人口は2000年で約56%に達しており、近年は地方から首都圏でへの人口流入が増加している。このため、首都圏人口は、1994年の約180万人から2002年には250万人(総人口の約23%)と急増している。首都圏への人口の流入増加により首都圏周辺地区で極貧困層が形成され、乳幼児・妊産婦の死亡率、結核等の感染症罹患件数は高い水準にある。グアテマラ政府は、近年、地方を中心とした保健医療サービスの改善を推進してきたが、現在は、首都圏での保健医療サービスの立ち後れが顕著となっている。
(3)グアテマラの国立病院は43あるが、首都圏にあるルーズベルト病院、サン・フアン・デ・ディオス病院は 2大総合病院として、貧困層を含む市民へ医療サービスを提供しているが、小児科、産婦人科において十分な機材を有していない状況にある。
結核を含む感染症対策の病院は全国に3つあり、そのうち、サン・ビセンテ病院は、その中核的病院で重度の患者をうけいれているが、施設・機材の老朽化が著しく、専門病院としての機能を十分果たしていない状況にある。
(4)かかる状況において、グアテマラ政府は、これら3病院の問題解決に努力しているところであるが、十分な資金を有していないため、日本政府に対し、「首都圏主要国立病院整備計画」に係わる無償資金協力を要請した。
(5)本計画の実施により、首都圏における貧困層を中心とした医療サービスが改善される。
(1)2005年の9~11月、グアテマラは様々なハリケーンや熱帯低気圧におそわれたところであるが、その中でも10月にグアテマラをおそった熱帯低気圧「スタン」は、グアテマラ共和国の貧困層で先住民の居住が多い西部、南部及び北西部を中心に15県にわたる被害を及ぼした。被害概況は以下の通り。
○死者:670名、○行方不明者:844名、○被災民:約49万4,000人、○家屋崩壊:9,000戸、○家屋損壊:約2万6,000戸、○舗装道路被害:1,400キロメートル、○橋梁被害:32橋、○農地被害面積:6万1,000ヘクタール、○学校被害:712校(軽微)
○被害総額:約9億7,000万ドル(2004年のグアテマラ国GDPの役3.4%程度)
(2)「スタン災害」は、1998年の「ハリケーン・ミッチ災害」を上回るものであることから災害発生直後には、グアテマラ政府はベルシェ大統領をトップとするスタン災害閣僚会議を開催し、2005年政府予算より約9億7,000万ケッツアル(1億2,000万米ドル)、2006年政府予算より約15億ケッツアル(約1億9,000万米ドル)を緊急支援、復旧・復興に投資し、復興に努力している。また、グアテマラ政府は、2005年11月より県の当局者の参加を得て復興計画作業に着手し、2006年3月に「復興計画」を発表した。「復興計画」は、貧困緩和・人間開発を含めた計画とし、災害の復興のみならず、将来的なリスクの低減を視野に入れた計画であること、先住民や社会的弱者に配慮した計画が基本的な考え方となっており、右考え方の下で、県別に復興プロジェクトを発表されている。
(3)グアテマラ政府は、以上のように復興への努力を自助努力で行っているところであるが、依然として復興資金は十分でないために、我が国をはじめとする国際社会に支援を呼びかけていた。
(4)かかる状況において、グアテマラ政府は、我が国政府に対し、上水分野、農業灌漑分野、橋梁分野等に関して「熱帯低気圧スタン災害復興支援計画」に係わる無償資金協力を要請した。
(5)我が国は、この要請に対し、本年度より導入された「防災、災害復興支援無償」を活用し、支援を行うことを決定した。
本計画の実施により、スタン災害にて被害を受けた上水施設(ケッツアルテナンゴ市上水施設)、農業灌漑施設(サンマルコス県)、地方橋梁(サン・マルコス県)の復旧が行われる。
(参考)
グアテマラは中米5カ国の一つ。人口は1,260万人、農産品が経済の根幹となっており、特にコーヒーは日本でも有名。一人あたりの国民所得は2,174ドル(2004年、世銀)。