(2)2004年8月に就任したフェルナンデス大統領は、2003年以降の急激な経済状況の悪化からの回復を急務として、最優先課題を「マクロ経済安定化」を揚げて努力している。
一方、ドミニカ共和国は、周辺国との自由貿易協定を積極的に交渉、締結している。WTO加盟により、2009年には自由貿易地区の特恵関税措置は廃止となる。従って、自由貿易地区依存から脱却するために国内産業の国際競争力強化に向けた政策及び体制造りが急務となっている。これらを補強すべく、2002年に貿易投資促進のための国家競争力強化審議会が設置され、2003年に投資振興庁及び輸出促進センターが統合されて、貿易投資促進センターが設立された。
(3)ドミニカ共和国の企業の大半が中小零細企業であり、国際市場に参入するための知識、情報等を必要としている。そのため、同センターは、貿易・投資促進支援のために、国内輸出企業等へのコンサルティング、研修の実施による人材の育成、海外投資家への情報発信に重心を置いている。しかしながら、現在の同センターの施設では、活動の幅が限られており、増大するニーズに適切に対応するためのスペースが十分でなく、同スペース確保が課題の一つとなっている。
(4)このような状況の下、ドミニカ共和国政府から、同センターが持つ機能のうち、輸出振興及び外国直接投資及び国内企業の競争力強化のために緊急性が高く、かつ同センター既存施設では充分な活動が出来ていない研修機能、技術支援・情報提供機能、展示・イベント機能を有した「貿易投資促進人材育成センター」を上記センターに付属して建設する「貿易投資促進人材育成センター建設計画」を策定した。しかしながら、ドミニカ共和国政府は、経済状況悪化のために資金が充分手当できないために、我が国政府に無償資金協力を要請した。