
インドの「ウッタール・プラディシュ州地下水開発計画」に対する無償資金協力について
平成18年1月5日
- わが国政府は、インド国政府に対し、「ウッタール・プラディシュ州地下水開発計画(the Project for the Development of Groundwater in the State of Uttar Pradesh)」の実施に資することを目的として、6億300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が1月5日(木曜日)、ニューデリーにおいて、わが方榎泰邦駐インド国大使と先方M.F.ファルーキ大蔵省局長(Mr. M F Farooqui, Joint Secretary, Ministry of Finance)との間で行われた。
- インドの北東部に位置するウッタール・プラディシュ州においては、飲料水の60~80%を地下水に依存しているが、その給水量はインドの給水基準の約半数程度と低いことから、住民は日常の生活に必要な量の飲料水の供給を受けることができず、飲料に適さない浅井戸の水を利用せざるを得ない。この結果、貧困層を始めとする同州住民の間では下痢、赤痢、黄疸などの水因性疾患が蔓延している。
また、同州の上層地下水涵養量は過剰揚水により年々減少しており、更に上層地下水は工場廃水等により汚染されている。かかる状況の改善には深井戸(350~500メートル)の開発が不可欠となっている。
しかしながら、同州水資源公社の保有する井戸掘削機は深度250メートルまでしか対応できず、開発が必要とされている350メートル~500メートルの深部地下水開発に対応する井戸掘削機材を保有していないため、これらの帯水層の開発を行うことができない状況である。
このような状況の下、インド政府は、ウッタール・プラディシュ州に深井戸を掘削するための機材を供与することを通じ、同州住民に安全かつ安定的な飲料水が供給するために必要な資金につき、わが国に無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回の協力により、ウッタール・プラディシュ州内に今後7年間で50本の深井戸が掘削され、同州内の住民のうち約130万人がこの井戸により安全な水を安定的に利用することができるようになる。これにより、インド内で3番目に悪い幼児死亡率である同州の衛生状況が改善されることが期待される。
(参考)
インドは、南西アジアに位置し、人口10億2,700万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は約538ドルである。