報道発表

イラク(ムサンナー県)における草の根・人間の安全保障無償資金協力について

平成17年6月27日
  1. わが国政府は、イラク南部のムサンナー県における草の根・人間の安全保障無償資金協力として、(1)サマーワ市道路修復機材整備計画、(2)ルメイサ市内道路整備計画、(3)ムタワグ・アル・チバシ道路整備計画の3計画の実施に必要な草の根・人間の安全保障無償資金協力を行うことを決定し、6月26日にサマーワ自衛隊宿営地において、サマーワ市民生局長代行、ルメイサ市民生局長、ムサンナー県道路橋梁局長がそれぞれ贈与契約に署名した。

 具体的な支援内容は以下のとおり。

(1)サマーワ市道路修復機材整備計画:86万2,000ドル(約9,200万円)

 ムサンナー県の中心都市であるサマーワ市は、イラク南部の主要幹線道路である国道8号線が通っているため、交通量が多く、道路損傷が激しいが、サマーワ市民生局はこれら破損した道路の改修を長期にわたって実施するために必要な道路建機等が不足しており、道路改修が遅れ、交通渋滞などの原因となっている。
 今回の支援により、サマーワ市民生局が道路の改修を長期にわたって実施することができ、サマーワ市内の道路の改修が加速される。サマーワ市内では道路分野や電力分野などを始めとする各分野での復興活動が進んでおり、市内道路の改修が進めば、交通渋滞の緩和など道路交通事情が改善され、サマーワ市民の社会・経済活動がこれまで以上に活発化することが期待される。

(2)ルメイサ市内道路改修計画:84万2,837ドル(約9,000万円)

 ルメイサ市(サマーワの北北西約25km)は、約10万人の住民が生活するムサンナー県の中核地域の一つであるが、その生活道路の多くは未舗装である等粗末な仕様であり、街の中心部においても郊外同様、未舗装又は舗装されていても補修が必要な状態のままとなっている。このため、雨期には救急車、給水車を含む車両や通学児童などの住民の通行が困難となり、周辺地区における給水、医療、教育等の最低限の生活水準の維持や生活用品・食糧品の運搬等の経済社会活動に極めて深刻な影響をもたらしている。
 ルメイサ市中心部の道路のうち、もっとも状況が深刻な地域の道路(計10.57km)を改修する今回の支援により、ルメイサ市民の生活改善、地域社会の厚生と安定に資することが期待される。

(3)ムタワグ・アル・チバシ道路改修計画:70万6,000ドル(約7,500万円)

 ムサンナー県のスウェイル(サマーワの東約15km)の北側に位置するムタワグ・アル・チバシ道路は、道路周辺地域住民約44,000人の生活道路として利用されているが、その大部分が単に簡易に盛土しただけの粗末な仕様であるため、周辺地区における給水、医療、教育等の最低限の生活水準の維持や生活用品・食糧品の運搬等の経済社会活動に極めて深刻な影響をもたらしている。
 本道路の一部(約6.7km)の改修(アスファルト舗装)を緊急に行う今回の支援により、周辺住民の生活改善、地域社会の構成と安定に資することが期待される。

  1. ムサンナー県は、旧政権下の圧制や、イランとの戦争による経済的疲弊、湾岸戦争後の経済制裁等により、イラク国内でも特に基礎的インフラの整備が取り残されていたことから、道路・橋梁事情は極めて劣悪である。このような状況から、住民の日常生活に直結する給水車の通行や、緊急時の救急車両の通行にも支障をきたしているほか、児童の通学のための道路整備も不十分な状況である。今回の一連の支援により、ムサンナー県の道路交通事情が改善され、地域住民に対する給水、医療、教育等の行政サービスの向上が図られることが期待される。
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