談話
イラクに関する新たな国連安保理決議の採択について(外務報道官談話)
我が国は,6月27日(現地時間同日),国連安全保障理事会において,1990/91年の湾岸危機後に採択されたイラクによるクウェート人行方不明者等の帰還及び逸失財産・公文書の返還に関し安保理決議で課された義務的な規定の終了を決定した安保理決議第2107号が採択されたことを歓迎します。また,こうした動きを1990年以来のイラク・クウェート間における未解決の問題の解決に向けた前進として評価します。
我が国は,イラク・クウェート両国政府が一貫して平和的な外交努力を通じて関係改善を図っていることを歓迎します。また我が国は,2003年以降のイラクにおける政治・民主化プロセスの進展や周辺諸国との関係改善を踏まえ,イラク政府が1990年の湾岸危機以前と同様の国際的地位の回復を希望していることを従来から支持しており,今般の決議は,その実現に向けた一歩であると評価します。
我が国は,今回の安保理決議を踏まえ,引き続きイラク政府がクウェート政府との相互信頼に基づき,上記の行方不明者等の問題を含む残された問題を早期に解決し,周辺諸国との良好な関係の発展を通じ,中東地域の平和と安定に貢献していくことを期待します。
【参考】決議第2107号概要
2013年6月17日付事務総長報告,イラク・クウェートの両外相発事務総長宛書簡を歓迎。(主文1)
イラク政府に対し,決議第687号主文30で言及されている全てのクウェート国民及び第三国民の帰還を容易にするためのコミットメントを実施するため,赤十字国際委員会(ICRC)との協力を継続すること,また公文書を含む逸失したクウェートの財産を捜索する努力を継続することを要請。(主文2)
国連憲章第7章の下で、決議第686号主文2(c),同主文2(d),同主文3(c),決議第687号主文パラ30における措置及び決議第1284号主文パラ14における取決めの終了を決定。(主文3)
UNAMI事務総長特別代表がクウェート国民及び第三国民又はその遺体の帰還,公文書を含むイラクにより押収されたクウェートの財産の返還に関する努力を促進し,支援し,容易にするよう要請。また,国連事務総長に対し,UNAMIの全ての任務実施に向けた進捗状況に関する報告書において,安保理に対し個別に報告することを要請。また,事務総長がUNAMI政治問題担当の副特別代表に,これらの問題を監督し,目的に応じて必要なリソースを確保する責任を負わせることを指名することを考慮するよう要請。(主文4)
最終的にUNAMIのマンデートが終了する際には,引き続き国連の役割が必要とされる場合も考慮に入れつつ,本決議主文4にて述べられている報告のモダリティを見直す意図を表明。(主文5)