寄稿・インタビュー

2014年1月10日付

平成26年1月10日

(問)今回のコートジボワール訪問の目的及び日コートジボワール関係の現状如何。

(総理)我が国は,西アフリカの玄関口であり,経済の牽引役であるコートジボワールとのパートナーシップを重視しています。ワタラ大統領の強い指導力の下,コートジボワールが10年にわたる政治危機を乗り越えて平和・安定を取り戻し,急速な経済成長を実現していることに敬意を表したいと思います。

両国はコートジボワール独立直後から続く長い良好な関係を享受してきました。今年は,日本がアビジャンに大使館を開設してから50周年にあたります。この間,コートジボワール独立の父である故ウフェ・ボワニ初代大統領が日本を国家建設のモデルとされるなど,友好関係を発展させてきました。

そんなコートジボワールに,今,日本企業が注目しています。国際協力機構(JICA)及び日本貿易振興機構(JETRO)が,アビジャン事務所を既に再開しており,昨年12月には,官民合同による「アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション」を派遣しました。

私は今回,日本の首相として初めて貴国を訪問しますが,今回の訪問を機に,コートジボワールの平和・安定及び経済成長に向けた努力に対する支援を一層本格化させたいと考えています。今時訪問中,日本が支援している女性職業訓練施設を視察する予定です。日本は,農業開発を通じた女性の自立支援等,貴国の女性の活躍を支援していきます。

折しも,日本とコートジボワールは,今年のワールドカップの初戦で対戦します。フェアプレイによる良い試合と両国の決勝リーグ進出を期待します。今回の訪問中,自分の名を冠した柔道大会「安倍杯」の開催が予定されています。スポーツを通じた両国の交流を拝見することを楽しみにしています。日本は,2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた国際貢献策「Sport for Tomorrow」を発表しています。貴国の協力も得ながら,スポーツの価値とオリンピック・ムーブメントを広げていきたいと思います。

(問)西アフリカ全体に対する日本の見解如何。

(総理)私は,西アフリカの地域統合に注目しています。アフリカで最も歴史ある準地域機関であり,共通パスポートを有する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)及びユーロよりも歴史ある共通通貨を有する西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)による地域統合が,着実に進展しています。

地域統合の進展が意味するのは,西アフリカは単に15の独立国家の集まりではなく,約3億人からなる一つの地域・市場となる潜在力を持つということです。この地域に,日本企業も高い関心を有しています。

確かに,西アフリカは紛争等によって,その発展の歩みが阻害されました。しかし,最近のマリ等での事例は,西アフリカが自ら,平和と安定を実現できるという,新たな希望をもたらしてくれました。特に,ウワタラ大統領が議長を務めるECOWASの,サヘル地域安定化のための努力と成果は際立っています。

私は,こうした西アフリカの,平和を自ら実現し,成長を希求する取組を後押ししていく考えです。第5回アフリカ開発会議(TICADV)で表明した10億ドルの対サヘル支援もその一環です。また,長期的な視野で,日本が真のパートナーとして,西アフリカ3億人の経済・社会の発展に寄り添っていけることを期待しています。

TICADVに参加いただいた多くの西アフリカ諸国首脳にも,この考えをお伝えし,手に手を携えて歩んでいけることを望んでいます。

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