世界が報じた日本

10月22日~10月29日

平成25年10月29日
 最近の海外主要メディアにおける日本関連報道の中からいくつか紹介いたします。メディア側から予め承認が得られたものの中から選んで掲載しています。転載・複製を禁じます。詳細はリンクから原文にあたって下さい。

掲載日

25日付

紙面(国名)

CNN.com(米)

執筆者・掲載欄・発信地

レイミー・イノセンチオ記者

 10月16日,日本外務省は,同省の公式YouTubeチャンネルにおいてMOFAchannelのユーザーネームで,近隣諸国と論争中の島々をめぐる2本の動画を投稿し,領有権主張を強化している。

掲載日

25日付

紙面(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)

執筆者・掲載欄・発信地

マーティン・ファクラー東京支局長,田淵広子記者(東京発)

 最近行った科学者らのインタビューによると,彼らは,福島沖海底に広がる,新たに発見されたホットスポットなどの汚染が,最近の汚染水漏れによるものか事故当初のものによるのか判断しかねている。しかし,彼らと東電が収集したデータは,懸念すべき傾向を示している。最新の太平洋への汚染水流出は,以前よりも量が多いように見られ,凍土障壁が完成する2015年まで流出が止まらない可能性がある。その上,同原発からの放射性物質の大気中への放出は止まったと多くの日本人が見なしているにもかかわらず,依然として,毎時1,000万ベクレルの放出が続いている。しかし,インタビューした中で最も強い懸念を抱く科学者でさえ,新たな汚染水の流出が人体に影響を及ぼすとは見なしていない。とはいえ,大気中と海への放射性物質の流出は事故当初よりも少なくなっているものの,依然として稼動可能な原発の基準値よりもはるかに多い。ホットスポットの拡散が新たに発見されただけでなく,水産庁は,福島沖海底で捕れた魚の数種では,依然として1割以上が政府の安全基準を超える放射性セシウムで汚染されていると発表した。大気中と海への放射性物質放出が続く限り,福島原発が徐々に与えている環境への被害は終わることがないだろう。

掲載日

25日付

紙面(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)

執筆者・掲載欄・発信地

田淵広子記者(福島沖発)

 福島第1原発の12マイル沖に浮かぶ巨大な風力タービンは,日本の最も野心的なクリーンエネルギー開発の始まりを示している。来月から稼動される風車は1700世帯に電力を提供する。2020年までに風力タービン140基で1ギガワット超の電力を供給する目標であり,これは,原発1基の発電規模に相当する。このプロジェクトの支援者らは,洋上風力発電は,エネルギー資源の乏しい国における突破口となる可能性があると述べる。米国より長い海岸線という豊富な資源を利用できるためだ。日本は福島原発事故を受けて,再生可能エネルギーをより真剣に検討する必要に迫られている。石油とガスの輸入コストの上昇は,日本のエネルギーに対する依存性を浮き彫りにしただけでなく,再生可能エネルギー開発に遅れをとっていることも明らかにした。プロジェクトの最大の難関は,原発事故以来漁を中止しており,プロジェクトによって漁場が奪われるのではないかと懸念する地元漁民の反対である。また,来月から稼動する3基の建設費は,地上の風力タービン建設費の約8倍である。さらに,耐久性も問題となる。それでもなお,エネルギー供給の問題の面からだけでなく,洋上風力発電に対する機運が盛り上がっている。洋上風力発電は,造船から重機,建設,電池,電子機器,最先端素材までの活性化を切に必要としている多様な業界が関与しているためだ。

掲載日

23日付

紙面(国名)

リベラシオン紙(仏)

執筆者・掲載欄・発信地

アルノー・ヴォルラン記者(京都発)

 安倍総理は12月の政権復帰以来,女性の雇用促進重視を繰り返し強調しており,9月の国連総会でも,女性が活躍する日本社会を築く意向を表明した。総理はアベノミクスによる経済再生の中心に女性の雇用を据える意欲を10月15日の国会演説でも明示した。しかし,抜本的な変化に慣れておらず,職場では男性が支配的な日本という国で,この政策はメンタリティーの大変革を要求するものだ。総理は既に産後の職場復帰支援,女性管理職の任命増加を呼びかけ,託児所の増設,育休の3年への延長など,一連の政策を示唆しているが,働く女性の側からは,産休・育休の延長が職場復帰を遅らせるマイナス面や,また,大企業では導入可能でも中小企業では難しいという批判的意見も出ている。島岡まな大阪大学教授(法学)は,職場での女性差別がひどいことに加えて,母親は家庭で育児に専念し父親が働くという伝統的家族構造へのこだわりが家族,学校,企業,メディアにより根強く維持されていることを指摘する。一部の大手企業が最近になって女性取締役を任命したとはいえ,変化は遅く,妊娠した女性を退職させようとする圧力も強い上に,男女の賃金格差も大きい。不安定雇用の大半は女性が占めている。他方では,政府の調査によると,若い女性の間での専業主婦願望も強く,また,国民の大半が女性は家事や育児に携わるべきだと考え,女性の労働には反対しているという現実があり,安倍総理の考えはまだ国民の間に浸透していない。世代交代を待たないと本格的な変化は望めないとの意見も聞かれる。

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