記者会見

北村外務報道官会見記録

(令和7年3月26日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)

冒頭発言

ルーラ・ブラジル大統領の国賓訪日

【北村外務報道官】冒頭、私(北村外務報道官)から1点です。
 御存じのとおり、3月24日から27日までの日程で、ルーラ・ブラジル連邦共和国大統領が国賓として訪日されています。本日は、石破総理との首脳会談、共同記者発表及び石破総理主催の夕食会が予定されています。
 ブラジルは、我が国にとりまして、グローバルな課題解決の責任を共有するパートナーです。二国間関係に加え、地域情勢や国際情勢など、幅広い分野について協議を行い、国際社会の諸課題における対応についても連携を図る予定です。
 私(北村外務報道官)からは、以上です。

ガザにおいて傷病を患った者の日本での治療

【日経新聞 馬場記者】ガザ情勢についてお伺いします。ガザで傷病を負った方を日本で治療する取組が始まったとの発表がありましたけれども、今の情勢下で、日本がこのような支援をする意義と今後の受入れ方針についてお伺いします。

【北村外務報道官】御指摘の点、既に中谷防衛大臣からも、今朝、発表があったかと思いますので、少し背景的なことも含めて御説明いたします。
 申し上げるまでもなく、ガザにおける人道状況は、極めて深刻な状況にあります。2013年10月から現在までの間に、5万人以上の死者、そして11万人以上の負傷者が発生している状況です。また、ガザ地区の36の病院のうちの半数が機能停止し、残りも部分的にしか機能していないという、十分に医療が提供できない状態が続いています。
 こうした状況を受け、これまでにガザから、約5,000人以上の傷病者の方々が、中東あるいは欧州の諸国に移送され、治療を受けている状況です。その上で、世界保健機関(WHO)が、1月2日の時点で、依然として、1万2,000人以上の医療避難が必要だと表明しています。また、1月16日時点で、ガザ及びヨルダン川西岸地区への対応のために、約3億ドルの保健緊急援助要請を発出し、世界各国に支援を要請している状況です。
 このようなガザにおける深刻な人道状況、これは日本としても看過できるものではありません。WHOの要請、あるいは諸外国を含む国際協力の取組、これに我が国としても、しかるべく貢献すべきではないかと考えられます。
 そうした考え方の下に、ガザで傷病を患った方のうち、現地あるいは周辺での十分な治療が困難な患者、その方々を日本で治療することができないかをこれまで検討し、調整を行ってきたところです。
 こうした中で、今般、ガザにおいて傷病を患い、エジプトで入院していたパレスチナ人女性2名を、御本人の御希望も踏まえ、日本で治療することを決定しました。具体的には、エジプト政府の協力を得まして、本日の未明に、まず1名を日本に移送し、防衛省の自衛隊中央病院において治療を開始したところです。また、近日中に、2人目のパレスチナ人の女性を日本に移送し、同様に治療を開始する予定にしています。
 これらの対象者の方々は、医学的観点から、特に日本で治療を行うことで効果的に機能改善することが見込まれる傷病者の方々で、そういう方々を選定したものです。良い結果が生まれることを我々としても心から願っているところです。
 なお、今回の傷病者受入れは、治療後は現地に戻ることが前提となっており、日本での定住を目的とするものではありません。また、御質問の今後の更なる対応、これについては決まっておりませんが、いずれにしても、日本としては、引き続き、関係国・国際機関と緊密に意思疎通を行いつつ、ガザの人道状況の改善、復興及び統治に関する国際的な努力に積極的に関与してまいる考えです。また、二国家解決及び長期的な地域の平和と安定の確立に向けた外交努力を重ねていく所存です。

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