記者会見

北村外務報道官会見記録

(令和6年8月28日(水曜日)15時46分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)アフガニスタン情勢

【北村外務報道官】冒頭、私(北村外務報道官)の方から2点ございます。
 一つ目はアフガニスタンです。昨27日、アフガニスタンにおける人権状況についての懸念を表明する外務報道官談話を発出しました。その内容は、ここでは繰り返しませんが、政府としては、今後とも国際社会と連携しながら、女性・女児の権利制限を始めとする抑圧的な措置を撤回するよう、タリバーンに対して要請していくとともに、アフガニスタンの平和と安定のための努力を継続していきます。

(2)中東情勢

 二点目は中東情勢です。昨日の外務大臣会見でも、上川大臣から発言がありましたように、現下の中東の情勢は、予断を許さない状況が続いています。政府としては、引き続き、在留邦人の安全確保に万全を期すとともに、事態の更なる悪化を防ぐため、各国とも緊密に連携しながら、外交努力を重ねてまいります。
 そうした努力の一環として、先ほど上川外務大臣とイランのアラグチ外務大臣との間で電話会談を行いました。そして、これ以上地域の緊張を高めることがないよう、イランの自制を求めるとともに、イランが影響力を有するヒズボッラーやホーシー派を始めとする関係勢力への自制を、イランから強く働きかけるよう求めたところです。
 私(北村外務報道官)の方からは、以上2点です。

ロシアによる歴史に関する一方的な発信への対応

【読売新聞 大藪記者】ロシアに関してお伺いいたします。ロシアが、最近、第二次世界大戦に絡む文脈で日本を批判したり、あるいは、大戦中の原爆投下に関して独自の歴史観を示したり、あるいは、最近の日本が「軍国化」しているという批判を強めています。ロシアは、9月3日に、軍国主義の日本に勝った記念日であるとして、記念行事を行うとも聞いておりますが、日本政府としての御所感をお聞かせください。

【北村外務報道官】御質問いただきましたとおり、ロシア側が過去の歴史に関連して、様々な一方的な発言を繰り返していることは承知しています。そうした発言の逐一について、政府として、コメントすることはしませんけれども、この機会に4点申し上げます。
 第一に、戦後日本の平和国家としての歩みは、今後も変わりません。我が国として、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないことを、安全保障に関する基本的な原則として、しっかりと堅持してきています。我が国が、再軍国主義化しているような主張は全く当たりません。我が国は、戦後一貫して、自由、民主主義、法の支配を擁護し、アジアのみならず世界の繁栄に貢献してきたと考えています。
 第二に、広島と長崎に原爆が投下されて79年間、核兵器が使用されていない歴史を、ないがしろにすることがあってはならないと考えています。ロシアが核兵器の使用を示唆していることは、極めて憂慮すべき事態であり、唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや、使用もあってはならないとの立場は変わりません。
 第三に、ロシアに対しては、過去の戦争をめぐって、日露両国民の間の無用な感情的な対立を煽ることのないよう、適切に対応することを求めてきています。昨年6月に、今、御指摘がありました、9月3日を「第二次世界大戦終了の日」から、「軍国主義日本に対する勝利及び第二次世界大戦終了の日」に改称したこともその一例です。
 最後に、四点目ですが、ロシアは日本が「軍国化」を進めていると非難していますが、現在、まさに、ロシアがウクライナで行っていることは、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法に深刻に違反するものです。国際秩序の根幹を揺るがす暴挙を許してはなりません。
 改めて、ロシアに対しては、侵略を一刻も早くやめ、ウクライナから直ちに全ての部隊を撤収するよう強く求めてまいります。

ゼレンスキー大統領の発言

【NHK 瀧川記者】ウクライナ情勢についてお聞きします。ウクライナのゼレンスキー大統領が、米国のバイデン大統領に対して、戦争を終わらせるための計画案を示すという考えを発表していまして、同計画を民主・共和両党の大統領候補にも示すという考えを示していますが、これに対する政府の見解をお聞かせいただけますでしょうか。

【北村外務報道官】今、御質問の昨日27日に、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が記者会見で発表した内容というものは承知しています。
 国際社会においては、現在、ウクライをめぐり、様々な動きがありますが、本件のような第三国間の動きの一つ一つについて、政府としてコメントすることは差し控えたいと考えます。
 政府としては、ウクライナに寄り添った対応を継続していく、こういう一貫した立場は変わりません。引き続き、ウクライナ情勢をめぐる国際社会の動きをしっかりと注視し、適切に対応してまいりたいと考えています。

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