記者会見
小林外務報道官会見記録
(令和6年6月26日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)
日本が支援したガザの野外病院の活動状況
【読売新聞 大藪記者】中東に関連しまして、日本などからのドナーで、ガザ地区に設置された野外病院が、開設から1か月ぐらいたったかと思うんですが、これまでどのぐらいの負傷者を受け入れたのかといった実績を含め、現在の活動状況をお聞かせください。
【小林外務報道官】ガザで戦闘が長期化する中で、医療ニーズも高く、危機的な人道状況が更に深刻さを増していることを深く憂慮しています。ガザ南部では、ガザ南部の患者だけではなく、国内避難民や北部から避難してきた患者が多数おられまして、ガザ南部での保健サービスの確保・拡充が喫緊の課題であったという状況です。
このため、令和5年度の補正予算で、赤十字国際委員会を通じた支援というものをしております。その一環で、5月9日に、赤十字国際委員会が、ガザ南部のラファハに開設した野外病院を支援しています。これは、他のドナーとともに支援した形になっています。
つい昨日ですが、外務省X(旧Twitter)の方に、この赤十字国際委員会が投稿したものをリポストする形で出していますけれども、この病院は、5月9日に設立しましたけれども、60床の病床と緊急外来、それから産科・婦人科、新生児・小児科等を有している病院です。開設から1か月となる6月9日までに、約5,700人への外来・救急診療、約240人の入院、約160人への手術、約40人への出産に対応しています。
現地の情勢は極めて流動的ですが、我が国として、今後とも、現地のニーズに沿った支援を行うべく、関係諸国、それから国際機関と連携して、必要としている人々に支援を届けていくという所存です。
在沖縄米兵起訴
【時事通信 村上記者】沖縄で、昨年12月に、米兵が少女に性的暴行をし、今年3月に起訴されていた件でお伺いします。沖縄県の玉城知事は、昨日、外務省沖縄事務所が、米兵が起訴された3月27日の同日付で、岡野次官がエマニュエル大使に対し、抗議し、再発防止を求めたことを、昨日25日まで、沖縄県側に伝えていなかったと明らかにしました。外務省が、約3か月にわたって、事件の情報を沖縄県に伝えていなかった理由をお伺いします。
【小林外務報道官】御質問と重なる前提からお話しさせていただきますけれども、本件事案については、沖縄県警、それから那覇地検におきまして、所要の捜査が実施された後に、3月27日に、那覇地検により、米軍の被疑者が起訴されたと承知しています。このような事案が発生したことは、極めて遺憾です。本年3月の起訴を受けまして、今お話がありましたように、岡野外務次官からエマニュエル駐日大使に対して、遺憾の意を申し上げるとともに、綱紀粛正及び再発防止の徹底について申し入れたことは、他の会見等でも説明したとおりです。
米側も、本件につきましては深刻に受け止めており、地元の捜査当局の捜査及び同被疑者への取り調べに対しても、協力がなされたものと承知しています。
お尋ねの情報伝達の件ですが、事件に関する情報の伝達につきましては、捜査機関の活動内容に関わる事柄ですので、外務省からお答えすることは差し控えたいと思います。
検察当局においては、刑事訴訟法第47条の趣旨を踏まえて、個別の事案ごとに、公益上の必要性とともに、関係者の名誉・プライバシーへの影響、将来のものも含めた捜査・公判への影響の有無・程度等を考慮し、公表するか否かや、その程度及び方法について、慎重に判断しているものと承知しています。
外務省としても、こうした検察当局の判断を前提として対応しているものです。
いずれにしても、米軍人等による事件・事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものですし、あってはならないものだということです。外務省としても、米側に対し、引き続き様々な機会に、事件・事故防止の徹底を求めていく所存です。
【朝日新聞 斉藤記者】今の件で、煎じ詰めて言うと、捜査当局がそうなんで、外務省としての主体的判断じゃなくて、捜査当局の意向に従って伝えなかった、そういうことでいいですか。
【小林外務報道官】今申し上げたとおりですが、事件に関する情報の伝達については、捜査機関の活動内容に関わる事柄ですので、お答えすることは差し控えたいと考えています。
【朝日新聞 斉藤記者】外務省は。
【小林外務報道官】そこのところについては、お答えを差し控えさせていただくということです。
【沖縄タイムス 新垣記者】一点だけ。情報伝達の在り方で、今、縷々ご説明ありましたけれども、今回の伝達の在り方については、外務省として、適切かどうかという点については、どういうふうな見解をお持ちでしょうか。
【小林外務報道官】今の御質問は、日米合同委員会の合意に基づく情報伝達、通報手続きの運用ということだと思いますけれども、個別具体的な事案の内容に応じて、適切に判断して対応しています。特に、本件のように、被害者のプライバシーに関わるような事案につきましては、慎重な対応が求められるところだと考えています。したがいまして、常に関係各所へ、漏れなく通報が必要であるとは考えておりません。