記者会見

小林外務報道官会見記録

(令和5年12月13日(水曜日)15時46分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)日ASEAN友好協力50周年(東京タワーライトアップ)

【小林外務報道官】私(小林外務報道官)からは、冒頭2点ございます。
 本年は、日ASEAN友好協力50周年であり、1年を通じて様々な閣僚級会議等がありました。12月16日から18日に、特別首脳会議及び関連行事を東京で開催いたします。「心と心」のつながる信頼関係を基礎に、ASEAN各国首脳と共に、将来のための新たなビジョンを示す共同声明と、幅広い具体的協力を示す実施計画を成果文書として採択し、日ASEANの関係を、更に強化する考えです。
 17日夕刻から24時までの間、お迎えするASEAN各国首脳への敬意を表するとともに、友好協力50周年を記念して、東京タワーをASEAN旗、ASEANの旗の色であり、また今回の首脳会議のロゴマークの色でもある赤、青、黄の3色にライトアップをする予定です。

(2)ALPS処理水

【小林外務報道官】2点目ですが、一部のメディアが、北海道で確認されている、いわし類の漂着とALPS処理水の海洋放出を、関連があるかのように報じていると承知しています。
 本件に関しては、水産庁は、いわし類の漂着は、決して珍しい現象ではなく、今回の件について、ALPS処理水の海洋放出を理由付ける根拠はないと理解している旨説明しています。
また、そもそもALPS処理水の海洋放出後、水産庁では水産物の、環境省では海水のモニタリングを行っていますが、一切異常な数字は検出されておらず、放出が安全に行われていることが科学的に確認されています。
 ALPS処理水の海洋放出の安全性については、政府として、高い透明性をもって、科学的根拠に基づき、丁寧に説明して、国際社会の理解が一層深まるように引き続き取り組んでいく考えです。
 私(小林外務報道官)からは以上です。

ロシアによる歴史に関する一方的な発信への対応

【読売新聞 工藤記者】ロシアについてお伺いいたします。ロシアのプーチン大統領は、14日に、国民対話、それから内外大型記者会見を予定しています。最近、ロシアは、日本の第2次世界大戦に絡めて、日本の軍国主義化が進んでいると、日本の立場とは異なる見解を強調していますが、14日のこうした国民対話記者会見でも、またこうした主張を繰り返してくるということが予想されますけれども、日本政府として、こうしたロシア側の主張に、どのように対応されるお考えかお聞かせください。

【小林外務報道官】最近、ロシアが様々な一方的な発信を繰り返していることは承知しています。そうした発言の逐一について政府としてコメントすることはいたしませんが、この機会に、三つの点を改めて明確に申し上げます。
 まず第一に、我が国が再軍国主義化しているかのような、そうした主張は全く当たりません。戦後日本の平和国家としての歩みは今後も変わりません。我が国は、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならないことを、安全保障に関する基本的な原則としてしっかりと堅持してきていますし、昨年策定した国家安全保障戦略でも、その旨を明記しています。
 また第二に、我が国は戦後一貫して、自由、民主主義、法の支配を擁護し、そして、アジア、世界の繁栄に貢献してまいりました。ロシアは、ウクライナ侵略という明確な国連憲章上の違反行為をなお続けていますが、我が国は、国際社会を分断や対立でなく、協調に導くことが重要と考えています。そして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、人間の尊厳を確保するための連携を各国と確認してきています。
 第三に、ロシアに対しては、過去の戦争等をめぐって日露国民の間の無用な感情的対立を煽るような発言、そうしたことがないように適切な対応をすることを求めていますし、また、自らが現在ウクライナで行っている明らかな国際法違反である侵略行為を一刻も早くやめ、ウクライナから直ちに全ての部隊を撤収するように強く求めてまいります。
 こうした考え方については、ロシア側に対しても明らかにしてきていますし、今後もしていく予定です。

ALPS処理水

【共同通信 林記者】先ほど言及があった、いわしの情報の件ですが、これは、どこか直接、日本政府の立場というか、先ほどおっしゃったようなことを伝えられているのかというのが1点と、あと、これに限らず、今後、偽情報対策というか、正確な情報発信を今後どういうふうに努めていくか、その辺りのお考えを改めてお伺いできればと思います。

【小林外務報道官】まず、本件報道を行った海外メディアに対しては、既に在外公館からは申入れを行っています。また、本件のように科学的根拠に基づかず、あたかも、いわし類の漂着とALPS処理水の放出に関連があるかのような報道を行っていることは不適切であると思っており、今後とも政府としては誤解が生じかねないような事態に対しては、きちんと説明の上、対処してまいりたいと思っています。

【北海道新聞 荒谷記者】関連で伺いますけれども、申入れは、いつして、どのような先方から返事があったのかということと、これに伴う、何か風評被害みたいなことは起きているのか、外務省として確認していることがあれば教えてください。

【小林外務報道官】既に申入れをしていますが、先方からの反応が来ているということは、今の時点ではないと承知しています。現時点で、これによる風評被害と言いますか、これに基づいて何かが起きているということは承知しておりません。
 こうしたことが、誤解が広がらないように、様々なルートで、日本がこれまでも、きちんと科学的根拠に基づいて実施してきていることを、改めて繰り返し説明をしていく所存です。

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