記者会見

小林外務報道官会見記録

(令和5年12月6日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)

外国による情報操作についての日米間協議

【産経新聞 原川記者】先ほど署名されました、外国による情報操作に係る日米間の協力文書、これに関してお伺いしたいのですけれども、今後、日米で協力していくとは、具体的にどのような協力をしていくのでしょうか。こちらの報道発表によると、「共同して対応する能力の着実な強化を行う」とあるのですが、この共同して対応する能力というのは、具体的にどういうことなのかとか、あるいは、今後、想定される具体的な外国による情報操作とは、どういうものが想定されるのか、これらについて教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。

【小林外務報道官】偽情報を含む外国による情報操作については、本年のG7の外相会合でも、それから広島サミットにおいても、深い懸念を共有して、切迫感を持って対応すべきものという認識を共有したところです。
 こうした認識は、これまでも日・NATO、日・EU、日英、日仏、それから日米韓などの協議でも共有されたところです。
 今回の協力文書では、その情報操作に関する検知、どのようなことがなされているかといったその検知、そして分析、それからそれに対する対応という様々な段階で、対応能力を強化していくことが重要であると思っており、そのための情報交換、それから、幅広くですけれども、協力の方向性について、今回確認をしたというところです。
 共同して対応する能力は、偽情報全般については、やはり懸念を共有する諸国が協力してやっていくことで、その対応能力が、より実効的なものになると思っています。
 今、本当に様々な国が、そういった偽情報に対する脅威を感じていると思いますが、こうしたものはグローバルで非常に複雑なものですので、やはりそうした互いの情報であったり経験であったりというものを、きちんと共有して、理解を深めていくことが、対処能力にもつながっていくということだと思います。
 想定される脅威というのは、まさにそういうことも含めて、頭の体操をしていくことが大事なのかなと思っています。
 いろいろなことを想定して準備していくことが、全てにおいて大事だと思っていますので、特にこれということではなく、まさに模索しながらやっていくことかなと思っています。

【NHK 五十嵐記者】今の質問の関連ですが、今日の具体的な国務次官との協議の内容について、どういった内容で協議をされたのかというのと、先方の国務次官が、福島の処理水の話も一例に挙げていましたが、そういった話をされたのかどうか。改めて今後の偽情報に対する意気込み、今回、日米で初めて二国間の協力文書だと思いますけれども、今後、他の国とも協力文書を取り交わしていきたいかも含めて意気込みをお聞きしたいと思います。

【小林外務報道官】何か具体的に他のことがあるかというと、そういうことではないですけれども、先ほど申しましたように、様々な機会に、やはり、偽情報対策の懸念を共有する国との間で協力していくことの重要性は認識されたところですし、G7については、2018年のシャルルボワ・サミットの頃から、やはり、情報共有も含めて協力していくのが大事だという認識が共有されたところで、様々な意見交換ということは、二国間でも行ってきているというところです。

【NHK 五十嵐記者】協議内容についてお聞きしたいです。

【小林外務報道官】今回はキックオフの会合だったということもあり、そんなに長時間協議をしたということではありません。むしろ今回、協力の方向性について具体的に確認をしたという文書に署名したということもありまして、それをもとに、これからより具体的に、どのような分野について、どのような段取りをもって、様々な段階の能力強化のために具体的な協力を進めていかなくてはいけないということを確認して、もう少しじっくりと話す機会を設けて、具体的な成果につなげていこうという話をしたところです。
 内容的なことは、先ほどの質問と重なっているので、繰り返しになりますが、やはり、「検知していく」、それはそれぞれが行っていることについてきちんと情報交換していき、分析して、互いに丁寧に確認をしたり、比べたりをしながら、それに対して、どう対処すべきなのか。それはテクニカルなものもあれば、体制面もあれば、実際にどう対処していくのかということもあると思いますけれども、そういった非常に幅広いことについて、今後の方向性について協議したというものです。

多国籍部隊での商船護衛

【毎日新聞 村尾記者】話題変わります。米国のサリバン大統領補佐官が4日の会見で、フーシ派の攻撃を受けて、多国籍部隊で対応をしていくことを同盟国で検討していると。この地域については、既に自衛隊が艦船に哨戒機を派遣して、海賊対処に当たったり情報収集に当たったりして、日本としてもシーレーンとしての重要性は取り組んでいるところだと思うんですけれども、改めて、こうした米国側の呼びかけについてどう対応して、どういう問題意識を持って検討されているのか、そのあたりをお願いします。

【小林外務報道官】一般論から言いますと、日本の商船保護については今お話にもありましたように、諸外国の部隊を含む国際社会と緊密に連携しながら、部隊の安全確保に万全を期して、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動を適切に実施するということをやってきておりまして、中東地域のシーレーンの安定的な利用を確保するために外務省としても引き続き、関係省庁と連携しながら、関係国と引き続き緊密に協力してまいりたいと思います。
 お尋ねのありました、サリバン大統領補佐官の発言に関する報道についても承知していますけれども、これまで政府としても、全ての当事者に対して、船舶の自由かつ安全な方法を阻害する行為を自制するよう認めているところです。
 詳細はさし控えますけれども、今般の事案を踏まえて、航行の安全を確保するために米国を含む関係国と様々なやり取りしているところです。最初に申し上げましたとおり、この地域のシーレーンの安定的な利用は、非常に日本にとっても重要なことですので、引き続き、様々なやり取りをしながら、緊密に協力していきたいと思っています。

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