記者会見
北村外務報道官会見記録
(令和6年10月23日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)
冒頭発言
最近の外交の取組
【北村外務報道官】冒頭、私から新しい発表事項はありません。
その上で、一点だけ申し上げますと、現在、衆議院議員総選挙の選挙運動が行われているところですが、この間も、数多くの外交関連の活動が行われています。
今週に入ってからも、岩屋外務大臣が、21日月曜日に、イラン、EU、カンボジア、そして、昨日火曜日には、ベトナム、フィリピン、それぞれの外務大臣との電話会談を行ったところです。また、昨日、日豪政治家交流プログラムで、訪日中のオーストラリアの議員一行の表敬を受けたところです。
この他にも、柘植外務副大臣のG7開発大臣会合の出席、深澤外務大臣政務官の日・スペイン・シンポジウム出席。事務レベルでは、日印韓政策企画協議の開催、日・マレーシア次官級協議の開催がありました。
また、本日、この後になりますが、日中高級事務レベル海洋協議も開催される予定になっています。
外交を司る外務省としては、引き続き、しっかりと着実に外交を進めていきたいと考えているところです。
私(北村外務報道官)から、冒頭、以上です。
台湾に対する日本政府の基本的立場
【香港フェニックステレビ 李記者】昨日の夜、石破総理が、応援演説の中で、「台湾は国」というふうに発言されました。この発言内容を、外務省としては、どのように把握されていて、そして「台湾は国」だというふうに、外務省が見ているのでしょうか。今までの台湾に関する立場、変更はあったのでしょうか。お聞かせください。
【北村外務報道官】御指摘の発言は、昨日、愛知県の豊田市で、遊説の際に、石破総理が、台湾の震災対応等について例示する中で言及されたものと承知しています。
いずれにしても、この台湾に関する我が国政府の立場、これは、1972年(昭和47年)の日中共同声明にあるとおりです。台湾との関係を、非政府間の実務関係として維持していくと、そういう我が国の基本的な立場に、何ら変更はありません。
【香港フェニックステレビ 李記者】言い間違いでしたか。
【北村外務報道官】それは、私(北村外務報道官)のほうから申し上げるべきことではないと思いますが、日本政府の立場としては、今、申し上げたとおりです。
【香港フェニックスTV 李記者】もう一つ、すみません。自民党の麻生最高顧問が、この前も「台湾が国」というような発言がありました。そして、自民党内でも「台湾有事は、日本有事だ」というふうな発言もあります。この「台湾有事は、日本有事だ」ということに関しては、外務省は、どのような考えを持っているのでしょうか。
【北村外務報道官】繰り返しで恐縮ですが、台湾に関する日本政府の立場、これは、先ほどから繰り返し申し上げているとおりです。
そして、台湾をめぐる問題、これが対話により平和的に解決されることを期待するという点も、我が国の一貫した立場です。
現在、台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会の平和と安全にとっても、非常に重要ですので、この点は、先般、ラオスで開催された日中首脳会談、あるいは、その前に行われた日中外相電話会談等でも、中国側に対して直接日本の立場を伝えてきているところです。
北朝鮮部隊のロシアへの派遣
【NHK 谷井記者】韓国の国家情報院は、北朝鮮の特殊部隊、およそ1,500人が、北朝鮮からロシア極東に移送されたと発表されました。ウクライナの前線に投入されるとの見方も示していますけれども、これに対する御見解、受け止め、お願いいたします。
【北村外務報道官】御指摘の韓国国家情報院による発表、これは承知しています。
また、ウクライナの前線に投入されるという見方があることも報道で承知しています。そうした点について、日本政府として、現時点でお答えすることは差し控えたいと考えていますが、ロシアと北朝鮮、露朝間の軍事協力を含む北朝鮮をめぐる情勢については、韓国を含む関係国と緊密に意思疎通をしながら、重大な関心をもって情報収集・分析に努めているところです。
その上で、我が国の基本的な立場を、この場で改めて申し上げます。この最近の露朝軍事協力の進展の動き、これは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障にも、影響を与える、そういう観点から、深刻に憂慮すべきものと考えています。
また、そもそも、ロシアによるウクライナ侵略、これは国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。我が国としては、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であると、そういう強い問題意識の下に、この問題に取り組んできているところです。
我が国としては、引き続き、関連情報の収集・分析を行うとともに、関連する国連安保理決議の完全な履行や、あるいは、ウクライナにおける一日も早い、公正かつ永続的な平和の実現、それに向け、国際社会と緊密に連携して取り組んでまいる考えです。
日EU安全保障・防衛パートナーシップ
【テレビ朝日 飯田記者】日本とEUに関して、「安全保障・防衛パートナーシップ」の締結について、EU理事会で最終決定したと、一部報道がありました。また、EU・ボレル外交安全保障上級代表が、11月上旬に来日して、岩屋大臣と面会をするというところも報道がありました。事実関係と、その場合、狙いを教えてください。
【北村外務報道官】御指摘の報道については承知しています。
これは冒頭申し上げたように、岩屋大臣とボレルEU外交・安全保障政策上級代表、この方は、欧州委員会の副委員長も兼務されていますけれども、この方との間で、電話会談を行いました。ボレル代表の訪日につきましては、現時点では何ら決まってないところです。
その上で、日・EUの関係について、一言申し上げます。
日本とEUは、これは、法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、国際社会の共通の課題に、共に取り組んでいく戦略的なパートナーです。昨年の日・EU定期首脳協議においては、日・EU外相級戦略対話、これを通じ、安全保障面を含む幅広い分野での協力を強化し、そして、安全保障・防衛パートナーシップを発展させていく、こういうことで一致しているところです。ただ、そのための具体的な方法につきましては、現在最終調整中です。