記者会見

小林外務報道官会見記録

(令和5年11月1日(水曜日)16時00分 於:本省会見室)

イスラエル・パレスチナ情勢(自衛隊機派遣)

【共同通信 林記者】中東情勢の邦人退避の現状についてお伺いします。松野官房長官が、昨日の記者会見で、近くイスラエルから自衛隊機で、邦人を退避させる準備を進めている旨明らかにしておりますけれども、現状の状況、あるいは退避の目途みたいなものがあれば、お伺いしたいと思います。

【小林外務報道官】イスラエル軍によるガザ地区への地上部隊による作戦が、一部開始されるなど、イスラエル・パレスチナ情勢は、刻一刻と緊張度を増している状況です。今後の推移次第では、イスラエルからの商用便の出国が困難になるということも想定しておくべき状況にあると認識しています。
 イスラエルを出発する定期商用便は、引き続き運行していますが、イスラエルのエルアル航空によれば、テルアビブ発・東京行きの直行便は、10月30日月曜日を最後に、当面の間、運行計画はないということです。こうした状況を踏まえ、自衛隊機による邦人等の輸送を再度行うことを念頭に、在留邦人の出国意向調査・搭乗希望調査というものを実施しているところです。
 これ以上の詳細につきましては、運用に関わることでもありますので、差し控えたいと思います。

イスラエル・パレスチナ情勢(在留邦人退避に向けた政府の対応)

【読売新聞 谷川記者】ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所について、ガザの負傷者の通行が認められるとの報道がありますが、政府として把握している事実関係と、ガザ地区にいる在留邦人退避に向けた、政府の今後の対応について伺います。

【小林外務報道官】政府としては、様々な情報に接しており、状況を注視しています。
 ガザ地区の状況は、深刻化の一途をたどっており、同地区の人道状況の改善が目下の優先課題と認識しています。その観点から、ラファ検問所の再開によって、邦人を含む外国人の希望者の退避が進んで、また、人道支援活動が可能な環境が確保されることを期待しています。
 邦人の退避に関しては、ガザ地区に滞在する少数の邦人とは、引き続き、緊密に連絡を取り合っているところで、これらの邦人をガザ地区から退避させるべく、関係国・機関に精力的に働きかけを行いながら、全力で取り組んでいるところです。
 我が国としては、関係国との意思疎通を、引き続き、粘り強く継続しながら、在留邦人の安全確保を万全に期し、事態の早期沈静化や、人道状況の改善に向けた我が国の立場をしっかりと伝える外交努力を、引き続き、尽くしていくという所存です。

上川外務大臣のイスラエル及びヨルダン訪問

【産経新聞 原川記者】上川大臣のイスラエル、ヨルダンの訪問については、昨晩の記者会見で、上川大臣ご自身が発表なさったところですが、今回の出張の狙い、また期待される成果について、改めて教えていただけますでしょうか。

【小林外務報道官】昨日、大臣が会見で、自らお話しされましたけれども、大臣はイスラエルとヨルダンを訪問して、その間に、パレスチナ側の要人とも会談をする方向で、最終的な調整を様々行っています。
 先ほども申しましたように、今は、特に、ガザ地区の人道状況の改善が最優先であり、人道目的の一時的な戦闘休止や、人道支援活動の可能な環境の確保が必要であると認識しています。
 そうした中で、元々ハマス等による攻撃は、テロ攻撃ということで、私どもとしても、断固として非難をした上で、これまでも述べているような三つの方針、「人質の即時解放や一般市民の安全の確保」、「当事者が国際法に従って行動すること」、そして「事態の早期沈静化」を一貫して求めてきていますので、こうした立場を踏まえて、今般、大臣が訪問される、様々な関係者・要人と意思疎通、働きかけを行い、これまでの外交努力に更に積み重ねを行っていく予定です。
 大臣からも、昨日、お話がありましたけれども、諸々の日程は最終調整中ではありますが、実際に被害に遭っている方々にも面会して、平和のメッセージを伝えたいということも言っておられまして、そういったことも含めて、全体として対処していくということです。

記者会見へ戻る