記者会見
吉田外務報道官会見記録
(令和3年6月23日(水曜日)15時47分 於:本省会見室)
東京オリンピック・パラリンピック(海外要人の接遇)
【共同通信 中田記者】東京オリンピック・パラリンピックに伴う、外国の要人の来日の接遇について伺います。
現在、外務省として、海外の首脳級の要人がどれぐらい来日するかという見通しが立っていますかというお話と、あとは新型コロナウイルスの感染拡大防止乃至、抑止の観点から、どのように接遇の要員を制限していただくとか、そういった見通しについてありましたら、お願いいたします。
【吉田外務報道官】東京オリンピック・パラリンピック大会に、各国から要人がお越しになるということを前提に、これまでどのような対策・対応をするか、お願いをするかについては、随時何回か在京の外交団を通じてご説明をしてきています。
まず、質問の一つ目ですが、どのような国からどの程度要人が来られるかと。もちろん現時点で、内容については、随時アップデートして掌握しています。ただ、まだ確定的な通報に接してない部分も多々ありますので、現時点でどれぐらいの国かということを申し上げるのは差し支えがありますので、ご理解いただきたいと思っております。
ただ、参考までに申し上げれば、直近の大会、リオ、それからロンドンの実績、数字がありますけれども、それを超えるような感じにはならないだろうと思います。超えるというか、それには至らないだろうと、現時点では想定しています。
他方、オリンピック・パラリンピック大会に、ご参加いただく外国要人に適用される、特にコロナ対策の観点から、防疫措置については、国内外の感染状況を踏まえながら、引き続きどのような形で行うのがベストであるかということは、検討が継続している状況ですので、これまでご説明していること以上に、確定しているということはありませんけれども、基本的に、政府の方から各国に対しては、同行者人数を極力絞り込んでいただきたいと強く要請してきています。それから要人一行に対しては、訪日前にはワクチンを接種することを推奨しています。
それから、まず到着される時点で検査を受けていただくこと、それから到着後の検査をまた引き続きお願いするといったようなこと。更には、国内での移動手段については、公共交通機関を原則として使わないで欲しいということを申し上げています。
基本的には車列で移動されることを想定していますけれども、どうしても航空機等の使用が避けられない場合には、専用機であるとか、あるいはそれに準ずるようなアレンジをする必要があるという形で、他の乗客との接触を極力回避するような、そのようなことも要請をしているところです。
今後は大会、特に開会式が7月23日ですから、それに向けて、ちょうど1か月になりましたので、最新の内外の感染状況を踏まえて、更に外交団に対しては、どのような形で置いていただくのかということについては、説明を付け加えていくことになろうかと思います。
【共同通信 中田記者】関連で伺います。そうしますと、国内外の感染状況を勘案してというお話ですが、外国の要人に来日していただくのを、感染状況によって、お断りするケースも想定されるということなのでしょうか。
【吉田外務報道官】基本的には、感染状況を踏まえて対応するということでありますけれども、どのような形で、安全・安心、かつ快適にお過ごしいただくかという観点から、検討を加えてご説明申し上げていますので、感染状況よっておいでいただくことをお断りするということが、現在想定されて検討しているということはありません。
外務省幹部人事(森事務次官の就任)
【朝日新聞 安倍記者】昨日、森次官が就任されまして、森次官は職員に対して「今後の国際環境の変化は、戦後の日本が経験したことない激しさと深さで到来する」という発言をされています。具体的には、これは何を念頭に置いたご発言なんでしょうか。また、吉田外務報道官としても同様のご認識をお持ちでしょうか。
【吉田外務報道官】昨日、外務省幹部、事務次官が交代、人事異動がございまして、新たに就任された森次官から省員に対して、交代式において、国際環境の変化、これが過去の変化の流れを超えるような勢いで変わっていっていると、こういったことに省員は対応していかなければいけないということをお話しいただきました。
私どもの実感としても、やはり過去10年・20年と比べて、国際情勢、極めて複雑かつ多様化しておると、更に電気通信技術をはじめとする科学技術の進歩、インターネットの普及、そういったことによって各国を取り巻く状況そのものが劇的に変化してきていると認識しています。
そういったことを踏まえまして、我々の行う外交活動、この外交活動には各国との外交関係の対応においての変化ということもあると考えますし、加えてそういったことを推進していくに当たっての、私どもが活用すべきツールであるとか手段についても大きな変化があろうかと思います。こういったことについては、省員・外務省・在外公館一体となって、新しい状況に対応していかなくてはいけない、このように認識しております。
森次官が、何か具体的に念頭に置いておられたことがあったとしたら、それはちょっと私の方から憶測するのは控えたいと思います。
近隣国に対する外交姿勢
【朝日新聞 安倍記者】少し話題が変わりますけど、中国や韓国、近隣国への向き合い方について伺ってみたいと思いますが、安倍前首相は「日本側の対話のドアは常にオープンだ」という言い方をされていた時期がありました。問題があるからこそ、胸襟を開いて直接対話するということで、外交青書にも、こうした言い方が含まれていたことがありましたけれども、現在も、この対話のドアは常にオープンだという考え方は維持されているのでしょうか。
【吉田外務報道官】近隣国について特にお尋ねがございましたけれども、外交の基本、これは対話によって、武力あるいは実力行使によらずに、物事を、懸案を一つひとつ解決していくこと、これが外交関係の基本だろうと考えます。
従いまして、そのベースにある対話を行うというのは我々、外交活動に携わる者の当然の基本、出発点になろうかと思います。安倍前総理が強調されたこと、これは日本という、外交によって、我が国の国益、それからこの地域の平和と繁栄、これを追求していく国にとっては、変わらず維持していく、あるいは強化していく、そういった考え方であろうかと、このように考えます。
従いまして、引き続き対話のドアはオープンにする、胸襟を開いて意思疎通を図っていくと、こういった考え方に変わりはないと、このように考えます。
日韓関係
【朝日新聞 安倍記者】関連してもう一つお伺いしたいんですけど、日韓関係についてですが、先週の吉田外務報道官の会見の中で、韓国側との外交当局間の意思疎通は維持していくという考えを示されておられましたが、一方で、残念ながら韓国に求めてきているような対話は得られてないと、日韓関係を改善したいという意思をお持ちであれば、現実に意味のある形でお応えいただく、これが先決だと思うというようなご発言があります。
実際にG7でも日韓首脳会談は実現しなかったわけですけども、この今おっしゃった対話のドアというのは、現在韓国に対しては条件付きで開かれているというようなイメージなのでしょうか。
【吉田外務報道官】従来から、私の会見の場のみならず、茂木外務大臣も常に日韓関係についてお尋ねがある場合に、必ず言及しておられると思いますけれども、外交当局間の意思疎通を維持していくということをおっしゃっています。
確か昨日ですか、ソウルで行われました日韓局長協議についてご質問があったところでも、茂木大臣はそのことに言及されたと、このように記憶しております。
日韓関係については、ご案内のような状況ですから、日本が韓国に対して求めていること、これを明らかにしておりますけれども、そういった中でも、仮に韓国側の立場が、日本側が求めていることと、現状において齟齬がある、日本側が韓国にしてもらわなくてはいけないと考えていることが、なかなか実現できていないと、こういう状況にあっても、外交当局自体は意思疎通を継続していくということは明らかにしているわけですから、このことをもって、対話のドアに前提条件をつけているということではないと、このように考えます。