記者会見

大鷹外務報道官会見記録

(令和元年10月2日(水曜日)16時42分 於:本省会見室)

冒頭発言 国連と日本によるPKO要員への医療訓練の開始

【大鷹外務報道官】今日は冒頭,1件だけ申し上げたいと思います。PKOの関係ですが,今月の7日から18日にかけてウガンダのエンテベにおいて,日本が国連と一緒に,国連PKOに参加する要員20名程度に対して,野外で衛生救護の処置を補助的に行うことができるよう,訓練を行います。要するに医療の関係の訓練です。これは国連が実施するものですが,日本の自衛隊からは医官2名が教官として参加し,他の国からも教官が参加する見込みであると聞いています。
 国連の最近の最大の課題は,いろいろなミッションがあって,途上国からも新たにいろいろなPKOが派遣される中で,彼らの能力が必ずしも伴っていない場合があるのではないかという指摘があったり,それから実はこのPKOで死者がかなり増えている。これはかなり喫緊の課題として国連が意識して,日本もそこで貢献できるのではないかということで,我々の担当の方でも,国連と協力して,日本が最大限貢献できるよういろいろ調整を進めてきたということです。そして具体化したのがこれだということになります。
 いわゆる国連三角パートナーシップ・プロジェクトと言われるものです。2014年に,安倍総理がこの三角パートナーシップ・プロジェクトについて支援をしようということを表明して以来,この枠組みの旗振り役として,こういったものを積極的に推進してきているという状況にあります。
 データ的に申し上げると,これまでのこういったものを積み重ねてきた結果,PKOの早期展開に欠かせない施設部隊の能力,医療に限らず,施設部隊の能力構築に取り組んで,トータルで192名の自衛隊員らを派遣してきて,それからアフリカ,アジア各国の,訓練を受ける側として合計292名のPKO要員を育ててきたという実績があります。その中で今度は医療の訓練,特にこれは応急措置ということにポイントがあるのですが,そこにやはり日本として技術支援を教官を通じて行い,各PKOの能力を,要するに犠牲者が少なくなるように訓練をしていこうという取組でございます。私の方からは以上です。 

外務省ホームぺージの旭日旗の説明

【週刊金曜日 植松記者】2週間前にも,ホームぺージにおける旭日旗の記載について質問したのですが,その後,2週間たったのですが,外務省ホームぺージの旭日旗の説明のところに,何も変更がないです。現状ですと,そもそもなんで外務省のホームぺージに旭日旗についての説明のPDFが掲載されているのか,その理由ですとか経緯ですとかも掲載されておりません。ですからたぶん多くの国民があれを見ても,あるいは英語版を海外の人が見ても,いったい何で外務省が旭日旗について一つの見解をわざわざホームぺージに掲載しているのか,理解できる人はたぶんいないと思います。
 また,2週間前の報道官の説明でなされた掲載に至る経緯みたいなものも,その後,2週間たちましたが一切追加がありません。このままこのようなままで,全く国民に説明あるいは海外に説明する意思はなく,このままなぜか分からないけど掲載しているという状態を続けるのでしょうか。そこが質問です。

【大鷹外務報道官】以前にも御質問いただきましたけれども,このホームぺージへの掲載の仕方については,私がこれまでも繰り返し申し上げてきているのは,常に我々は不断の見直しを,全てのものについて行っている。全ての発信,あるいはホームぺージを含めてですが,そういったものについては,状況もいろいろ変わっていくだろうし,いろいろな国民の声もあるだろうし,あるいは海外からのいろいろな指摘もあるし,あるいは皆さんからの指摘もあるだろうし,そういうことを踏まえながらいろいろ改善していく,あるいは細部を補足していくということはあり得ると申し上げた次第です。
 その中の一環として,当然この件についてもいろいろ見直しすることはあり得るということは申し上げましたけれども,この1,2週間の間にすぐに改めなければいけない,補足しなければいけないという事態には,私どもはなっていないと思っております。国民あるいは外国の方々の理解云々というお話がございましたけれども,これについてはご案内のとおり,いろいろ指摘あるいは問題視する方々が一部にはいらっしゃるのですね。そのことは一部で報じられていることもあって,ご存じの方はご存じだと思います。逆に言うと,日本の旭日旗についてきっちりとした説明が,今まで必ずしも政府ベースで存在しなかったという状況も踏まえて,是非ともここは,これがいかに伝統,あるいは文化に基づくものであるかということ,そこがポイントだと思うんですけれども,それについてちゃんとした資料,あるいは情報を発信しなければいけないという考え方から,今のホームぺージの掲載になったということです。

本日の北朝鮮のミサイル発射

【朝日新聞 小野記者】今日の北朝鮮のミサイルについて,現時点で外務省が把握している状況,事実関係,それからそれに向けての対応ですね,各国との協議状況であったり,そういう事実関係を教えてください。

【大鷹外務報道官】官房長官のブリーフィングで,記者会見でもいろいろ,説明させていただいているところですが,まとめて申し上げると,まず今回発射された弾道ミサイル,私ども,弾道ミサイルというように申し上げていますけれども,種類等については,現時点では詳細は分析中です。弾種については所要の情報を基に,総合的,専門的な分析を行う必要があって,現時点で確たることを申し上げることは差し控えます。また,落下地点については島根県の隠岐諸島の島後沖の北,約350キロの我が国のEEZ内に落下したものと推定されるということを発表させていただいたところです。あとは,最高高度は900キロメートル,軌道については分析中です。その他の詳細についても,現在,分析中とお考えいただければと思います。
 各国との連携については,早速,まさに今朝ですね,滝崎アジア大洋州局長とビーガン米国北朝鮮担当特別代表との間で電話会談が行われたところです。その電話会談の中では,今次の発射についてもいろいろ意見交換を行って,緊密に連携していくことを確認したところだというふうに聞いているところです。
更に申し上げると,当然,国際社会の反応ということになると,安保理の動きとか,そういったことにも関心がいくのですけれども,当然,日本の立場としては,一連の安保理決議が,北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も停止するよう求められている,そういう立場ですので,今回の北朝鮮による弾道ミサイルの発射はこれらの決議に違反するものであって,極めて遺憾であるという立場でございます。今後の安保理の対応については,予断することは今の段階では差し控えたいのですけれども,日本としては朝鮮半島の非核化に向けて,引き続き安保理決議を完全に履行すべく,米国を始めとする国際社会と緊密に連携していくという立場に変わりはございません。

安保理緊急会合の開催の要請

【読売新聞 後藤記者】今,安保理の話が出ましたけれども,日本として,安保理緊急会合の開催を要請するということは検討してらっしゃいますでしょうか。

【大鷹外務報道官】中身については今,詳細を申し上げることは差し控えたいんですけれども,関係国と当然,連携しながら,今後どうすべきかということをいろいろ議論し,検討しているところだとお考えください。

GSOMIAの役割

【毎日新聞 田所記者】この北朝鮮の問題について韓国がGSOMIAに基づく情報共有を求めているともされていますけれども,改めて,日本政府として,GSOMIAがこういう安保の重大事態の時に果たす役割や意義みたいなものをお考えがあれば教えていただけますか。

【大鷹外務報道官】GSOMIAについては,日本の立場はこれまでも繰り返し,いろんな場で述べられていると思うんですけれども,やはり,今の安全保障状況を考えると,日米韓の連携は今までになく求められているということなんだと思います。そういう中で,GSOMIAについても,韓国側の賢明な判断を日本としては期待するという状況なんだと思います。
その一方で,今日のミサイルの事案につきましては,まさに安全保障に直結する話,その最たるものですので,これについては日米韓を含めて,当然,関係国として緊密に連携してきておりますし,それはGSOMIAの有無に関わらず,関係者が最大限努力しているということは間違いないとお考えください。
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