記者会見
吉田外務報道官会見記録
(令和3年9月8日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)
アフガニスタン情勢(現地職員等の出国支援)
【NHK 渡辺記者】アフガニスタンの関係で質問させていただきます。その後、まだアフガスタンの国内には、日本大使館ですとかJICAとかに勤務されていた、アフガニスタンの現地の職員の方々がいらっしゃると思いますけれども、そうした方々の現状、何かコンタクトは取れているのかとか、引き続きその退避を希望している方というのはまだいて、どういうふうに状況を把握されているのか、その辺の支援の状況ですとか、それから後は、上村さんがカタールに行かれると思いますけれども、その辺の今の日本としての動きとしてはどうなっていますか、改めてお伺いします。
【吉田外務報道官】まず、アフガニスタンにおける情勢ですけれども、非常にまだ流動的な状況が続いていると認識しておりまして、タリバーンの方で暫定政権のメンバーを発表されたと承知していますけれども、私どもアフガン情勢というのは、最も今、関心の高い国際的な問題、国際課題だという認識で非常に緊張感高く、情勢を注視しています。
お尋ねいただきました、依然としてアフガニスタンの国内に残っておられる、少数ですけれども邦人の方、それから大使館の現地職員等、JICAの関係者を含めまして、そういった方々が、安全に出国できるよう、全力で取り組んでいくというのが日本政府の変わらぬ姿勢です。
お尋ねをいただいた現地職員等の方々の状況につきまして、引き続き現地とコンタクト、連絡を取っております。私どもとしては、これらの方々が出国されたいという希望を、引き続き持っておられると認識をしています。
現時点では、そういったアフガニスタン情勢が、刻々と変わる、流動的である、それから、残っておられる外国人やアフガニスタン人の方々の安全な出国については、日本のみならず、他の国々の重要関心事項でもありますので、米国をはじめとする関係諸国と連絡を取り合いながら、連携して、そういった出国が可能になるように、タリバーン側に、働きかけを継続していく考えでおります。
その一環として、上村政府代表、既に情報交換の拠点となっているカタール、ドーハに入って、タリバーンの政治事務所のしかるべき幹部、それからG7をはじめとする関係国のカウンターパートの面々と、現在、鋭意面会・情報収集をしているところです。
当然のことながら、現地職員等の出国は最重要課題ではありますけれども、それにとどまらず、アフガニスタンに関する様々な課題、これについても併せて意見交換をしながら情報収集をしていくという考えでおります。
アフガニスタン情勢(「暫定政権」の閣僚発表)
【朝日新聞 相原記者】先ほど報道官もおっしゃいましたが、7日にタリバーン政権が暫定政権のメンバーを発表しました。報道によれば、中には米国政府が指名手配している人物が入っていると言われておりますけれども、今回、この「暫定政権」メンバーに対する政府の評価についてはどうお考えでしょうか。
【吉田外務報道官】9月7日に、タリバーンが新しい「暫定政権」、「暫定内閣」を発足させ、発表をされたと承知をしています。私どもは、非常にこのタリバーンの発表について、関心を持って注目をしています。米政府は米政府の立場から、論評・コメントをされているようですけれども、今回のその発表の中でも、報道発表されたムジャヒド氏が、会見で、内閣は確定していないと、暫定であると、国内の他地域の出身者も選ぶ方針だというようなことも発言しておられると承知しておりますので、引き続き、どういったものになるのかということを注視していきたいと思っております。
その顔ぶれがどうこうということよりも、まずはそのタリバーンが、これまで対外的に言ってきている発言等々、それが実際にその行動として現れてくるのかと、まずその行動で姿勢を見ていきたいと、このように考えております。
当然のことながら、先ほど申し上げたような様々な課題がありますから、タリバーンとは実務的な協議、こういったものには関与していく必要があると認識をしていますので、上村政府代表を含め、日本としての考え方を働きかけるとともに、当面の目標である安全な出国、関係者の安全な出国というものに全力で対応していきたいと、このように考えております。
ミャンマー情勢(民主派の戦闘開始宣言)
【毎日新聞 宮島記者】ミャンマーの関係で、ミャンマーの民主派の方々が武装蜂起を呼びかけました。それに対して、日本政府としての見解と、今現在、日本人がどれぐらい残っていて、今後、退避等の検討をなさるものなのかどうなのか、その点を伺えますでしょうか。
【吉田外務報道官】7日に、ミャンマーの民主派勢力「国民統一政府(NUG)」、が、全国に緊急事態を宣言するとした上で、国軍が指導する国家統治評議会への攻撃を開始するという発表をしたと、このように承知をしています。この発表の内容につきましては、どのような、今後、事態に結びついていくのか、特に何らかの衝突が起きるとか、そういったことがないのかという観点から注視をしておりまして、情報収集の活動を高めているところです。これまでのところ、そのような衝突があったという情報に接してはおりません。
お尋ねのあった在留邦人、何名いらっしゃるかについては手元にデータがありませんので、後ほど確認します。その上で、在留邦人の方や、日系企業、被害が発生していないかといったことについては、改めて確認を急いでおりますし、現時点ではそのような情報に接しておりませんけれども、在留邦人の方々の安全確保、こういったものに万全を期したいと考えております。
現状において、そういった退避が必要なのかというと、まだそこまでの状況には至ってはないと思いますけれども、当然のことながら、現地の情勢が刻々と変わるということも十分念頭に置きながら、あらゆる事態に対応できるように、邦人の安全には全力を尽くしていく、このように考えています。
アフガニスタン情勢(「暫定政権」とのやり取り)
【NHK 渡辺記者】度々ですけど、またアフガニスタンの話なんですが、実際に今、カブールの空港で民間機の乗り入れが始まったとか、タリバーンの政権の顔ぶれも出てきましたけれども、そうした状況で安定に向かっていくのかどうなのか分かりませんが、基本的には、まだ出国を希望している方は変わらずいらっしゃるということで良いのかということと、タリバーン政権というのは出来るんでしょうか。顔ぶれが出てきましたけれども、見極めているということなんでしょうけれども、今後の交渉相手というか、そういう日本関係の方々の安全確保とか、そういった意味で、カタールとの関係もあると思いますけれども、タリバーンとの間で直接そういう交渉とかをしていくか、そういう方向性としてはどんな感じなのかと。
【吉田外務報道官】まず、冒頭お尋ねのあった空港の状況ですね。やはり安全な出国ということになると、第一に考えられるのは空路ということですから、空港がどのように管理運営をされて、運用されていくのかということは、非常に重要な材料だろうと思います。
タリバーン側は、空港の運営管理について、関係国に協力を求めているといった話にも接しておりますけれども、今後、運用が再開されて、民間航空機が離発着できるのかどうか、そういったことについては十分よく確認していきたいと思いますが、現時点において、今、定かなことを申し上げられるような段階には至っていないと思います。
当然のことながら、状況が変わることによって、引き続き、出国を希望されるのか、あるいは留まるのか、それから、先日も討論番組等で議論があったかと思いますけれども、今後のアフガニスタンの国作りにとって、やはり人材が必要であるといった場合に、そういった方々が出国することについて、どのような姿勢を取っていくのか、こういったことも念頭に置きながら、状況を常にアップデートしていく必要があろうかと思います。
他方、日本政府として、出国を希望する、少数ですけれども在留邦人、それから大使館の現地職員等については、出国を希望される限りにおいて、全力でその実現に対応していきたいと思っております。そのためには当然、タリバーンとの間で実務的な協議、やり取り、こういったものは必要になるという認識でおります。
今晩、アフガニスタンに関する拡大閣僚会合というものも予定をされています。そういったところでも、参加国との間で、出国を希望する人の安全な移動、その他の課題もありますけれども、については一つの重要課題として議論が行われると思います。従いまして、こういった場での関係国との情報共有・連携、国際社会が一致して、要するに日本のみならず、日本が直接働きかけるのみならず、国際社会と連携してタリバーン側に働きかけをしていくと、こういうことが必要だというふうに考えています。
【吉田外務報道官】先ほど宮島さんから、ミャンマーの在留邦人数についてお尋ねがありましたけれども、具体的な数字は申し上げられないですけれども、数百名いらっしゃるということのようです。