記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和3年2月10日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)

日米豪印首脳会議の予定

【朝日新聞 北見記者】一部の報道で、日米豪印、クワッドの枠組みで、首脳会議が調整されているという報道があったと思います。現在の調整状況を教えてください。

【吉田外務報道官】そのような報道がなされていたと、確かワシントン発の報道ではなかったかと思います。それについては承知していますけれども、現時点で、そういった会合を調整しているということはございません、というのがお答えになります。

中国海警法

【時事通信 小松記者】海警法に対する日本政府の見解なんですが、昨日の大臣会見で、日本の領海内に入っての海警局の船の活動というのは、国際法違反であるというふうに、初めて明言されたというふうに伝えられていますけれども、これは外務省として、何か見解を、認識を変えたということなんでしょうか。ということが一つと、もう一つお聞きしたいのは、無害通航に当たらないということで、国際法違反だということですが、この無害通航に当たらないという判断というのは、海警局の船が領海に入ってきた時点で、外務省としてそういう認識、日本政府としてそういう認識なのか、あるいは日本の漁船を追尾した時点で、これは無害通航に当たらないという認識なのか、もしくは先般のいわゆる海警法というものが制定されたことによって、向こうの意思が明確になったので、無害通航に当たらないというふうに判断するに至ったのか。この辺の解釈を教えていただきたいです。

【吉田外務報道官】お尋ねの、茂木外務大臣の昨日の会見でのご説明は、次のようにおっしゃったかと思います。まず海警の船舶が、繰り返し尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入して、日本漁船に接近したり追跡したりしていることに対するご認識を言われた流れで、こうした尖閣諸島周辺の我が国領海内で、独自の主張をするといった海警の活動は国際法違反であると。これまで中国側に厳重に抗議してきているということをおっしゃられたかと思います。
 加えて、こうした中で、2月1日に中国海警法が制定されたことを深刻に懸念をしているという次第です。
 中国の海警法については、いろいろなところで議論をされているかと思いますけれども、適用海域が曖昧であるということ、そうした中で武器使用の権限についても規定されていること。こういったことについては、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含んでいると、このように考えます。
 そうした中で、日本を含む関係国の正当な権益、これを損なうことがあってはならないと考えておりまして、こういった日本の考え方、懸念については、中国にこれまでも伝えてきていますし、これからもそのようにしてまいります。
 したがいまして、基本的な認識が変わったということではございませんで、そういった懸念であるとかは、これまでも中国側には伝えてきているということです。
 非常にブレイクダウンして、詳細のお尋ねがございましたけれども、今申し上げたのが日本政府の立場ですので、海洋法条約であるとか、あるいは海洋に関する一般国際法に基づいて、日本の主権がその海警の行為によってどのように侵害されているかということは、その個別を具体的に見ていく必要がありますので、どの時点かということを区切ってというよりは、その行為全般を、その個別具体的に判断していく必要があるものだと考えています。

ミャンマー情勢

【TBS 樫元記者】ミャンマー情勢のその後をちょっとお聞きしたいんですけれども、経済支援を今後の状況によっては、見直すのかどうかも含めてですね、先行きとそれから様々な太いパイプがあると思うんですが、軍に対してもパイプがあると思うんですが、それに対して働きかけを行っていくということは、これまでも繰り返し大臣も述べられていますけれども、現状はどういうふうな状況なのか、難しいでしょうけれど、分かる範囲でお願いします。

【吉田外務報道官】ミャンマー情勢につきましては、外務大臣談話を発出させていただいておりますし、茂木大臣からも幾度か説明をしていただいているかと思います。日本政府としては、国軍に対して、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問含め、関係者、拘束されている方の解放、それからミャンマーが民主的な政治体制に早期に回復すること、これを強く求めていくということで、先般もお話しさせていただいたかと思いますけれども、国軍を含むミャンマーの関係のパイプに対して、接触を既に開始をしております。現状は、そういった状況が継続していると、ご認識をしていただいたらよろしいかと思いますけれども、引き続き、そういった努力を継続していきたいと思っております。
 また、ミャンマー情勢、刻々と状況は変わってきているかと思いますけれども、現地において大規模な抗議活動がずっと続いているわけですけれども、昨日来、首都ネピドーにおいて、デモ隊に対して実弾を使った発砲が行われたということで、男女2名の方が重篤な状態にあると承知しております。銃を用いて、平和的な抗議活動に対して実力行使がなされることは、許されるものではないということを申し上げたいと思いますし、ミャンマー当局に対して、民間人への暴力を直ちに停止するよう求めるということも、引き続き呼びかけていきたいと、このように考えます。

【共同通信 浅田記者】関連でですね、ミャンマー国軍や、アウン・サン・スー・チー氏側とのパイプを生かしてですね、欧米とですね、ミャンマーとの間の橋渡しみたいな役割を、今、日本としては果たしているのかどうかという、そういう取組をしているのかということと、今後そういう取組をする方針があるのかどうかを含めてお願いします。

【吉田外務報道官】どのように表現するかは、いろいろ考え方があるかもしれませんけれども、日本側としては、長いお付き合いのあるミャンマー、それから民主化プロセスを支援してきたという経験に鑑みて、ミャンマーの関係方面に対する働きかけは継続していきたいと思っておりますし、また、ミャンマー情勢は、国際社会の重大な関心事項でありますから、米国、それからその他の東南アジアの国々も含めて、関係国との間で連携をして、意見交換、情報交換を継続していく考えであります。そういった形で、各国の問題、関心、懸念等も承知しながら、日本としての独自の外交活動、働きかけ、これを継続していくのが日本の役割かなと、このように考えます。

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