記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和2年9月2日(水曜日)15時47分 於:本省会見室)

日露関係(日露首脳会談)

【NHK 渡辺記者】日露関係でお伺いしたいのですが、8月31日に安倍総理とプーチン大統領の電話会談がありましたけれども、その中で「二人の間の合意も踏まえて、平和条約交渉を継続することを確認した」というふうに、外務省の資料と発表に、外務省の当日のブリーフィングも含めて、あるのですが、この「二人の間の合意」というのは具体的には何を示しているのでしょうか。

【吉田外務報道官】今、ご質問がございましたように、安倍総理はプーチン大統領と電話会談をされました、8月31日の夕方であります。ご案内のように、そのときの事後のブリーフィングにおいて、今ご指摘のあった総理とプーチン大統領の間で、「二人の間の合意も踏まえて、平和条約交渉を継続することを確認した」という紹介があったと承知しています。
 安倍総理はこれまでプーチン大統領と度重なる首脳会談をされており、27回に及ぶということです。今回の電話会談におきましても、これらの首脳会談で積み重ねてこられたプーチン大統領との間のやり取り、そういったものを踏まえて、未解決の領土問題を解決するという重要性を強調されて、今後も平和条約の交渉を継続していくことを確認されたというわけです。
 ですから、「二人の間の合意」というのは、これまでの27回に及ぶ首脳会談の間に培われてきた様々なやり取り、確認、それからその確認をしたいろいろな文書であるとか、そういったものを指していると、このように理解しています。

【NHK 渡辺記者】これも関連ですが、つまり一昨年の2018年の11月にシンガポールで行われた日露首脳会談の際の、1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉していくという、この合意も含まれているということでよろしいでしょうか。

【吉田外務報道官】今回の電話会談、約20分間行われておりますけれども、当然今回、総理はこれまでの大統領とのやり取りを振り返りつつ、今回お辞めになることに至ったことについても、二人の間でやり取りが行われています。20分間という中で、どのようにその具体的なことについて、言及があったり、やり取りがあったかということについては、首脳間のやり取りですので差し控えたいと思いますけれども、今申し上げたように、これまでの「二人の間の合意」を踏まえるという形で、その確認をしたということでありまして、そういうものとして受け止めていただきたいと、このように思います。

【NHK 渡辺記者】そうしますとですね、56年の共同宣言、日ソ共同宣言に基づくというのは、事実上、その後の受け止め、外務省、公式にはまだ方針転換したことは公式的には全然言っていませんけれども、その後の受け止めとしては、56年宣言ということはそこに書いてあるとおりの歯舞群島・色丹島の引き渡しという形での決着ということに舵を切ったというふうに、報道関係、それから世論としてはそういう受け止めが広がっておりますけども、その方針、その合意というかシンガポールでのやり取り、56年宣言に基づくというところは確認をしていないのか。
 それは今後も、例えばここで確認していなければ、引き継がれるかどうかというのがちょっと分からなくなってくるのですけども、それも踏まえたという理解でよろしいんでしょうか。事実上、二島に方針転換したと受け止められている、シンガポールの首脳会談の内容も含めた二人の間の合意ということなのかどうかと、そこをちょっとお願いしたいのですけれども。

【吉田外務報道官】一昨年のシンガポールにおける合意について、どのように受け止められているかということについて、我々の方からそれがこうだとかどうだとかということを申し上げるのは、控えたいと思います。他方において、先ほど申し上げたように「二人の間の合意」というのは、これまでの両首脳の間でのやり取り、こういったものの全体を踏まえたものだということで、ご説明を差し上げたものと理解しております。

モーリシャス沿岸への国際緊急援助隊三次隊の派遣

【NHK 渡辺記者】モーリシャスの関係ですけれども、ちょっとよく分からない報道が出ていまして、モーリシャス政府の方から日本側に何か賠償金を求めているということは、日本側の、モーリシャス側が求めている対象が、日本側というだけでちょっとはっきりしないのですが、これは日本政府としては、何らかのそうした補償を、モーリシャス政府から今回の油流出の事故に関連してですね、そういった賠償金というか、賠償してくれという申出が来ているということは、日本政府としては何かしらの省庁が窓口になって、きちんとそれを、要請を受けた形になっているのでしょうか。

【吉田外務報道官】現地の報道ですが、モーリシャスの政府から漁船の購入に充てるなどというような内容で、資金援助を求めているとか、それがその賠償であるとかないとか、何かそういった報道があるやには伺ってはおります。他方、モーリシャス政府自体との間では、これまで、昨日も派遣を決定しましたけれども、三次にわたる国際緊急援助隊の派遣を含めて、今回の事故から起きた環境の破壊、これの復旧・復興に向けて、日本としてどのような支援ができるのかということについては、様々なやり取りをさせていただいております。
 ですから、モーリシャスの環境回復であるとか、今、コロナもあって非常に社会経済情勢も厳しい中にあって、中長期的な観点から、モーリシャスのお役に立てるようなこととして、どのようなことができるのかということは、引き続きモーリシャス政府との間でやり取りをさせていただきたいと思っております。
 ただ、今、報道にあったようなものとの関係でどうなのかというのは、そういったやり取りをする中で、モーリシャス側の考え方、意図、それから何がモーリシャスにとっていいのかということを、きちんと整理していくべき話だろうと思います。

【NHK 渡辺記者】そうしますと、モーリシャス政府のほうから日本政府、どこが窓口なのか、外務省なのか、まだそうした正式な要請は来てないということでよろしいですか。

【吉田外務報道官】何をもって正式な要請に当たるのかというのは、通常、一般論でいうと、実際にどういうニーズがあるか、またそういった緊急援助隊などが行っていますので、専門家の意見等を踏まえて、先方の政府とは様々な意見交換をしていく中で、こういったことが必要ですということを確認して、その上で、正式な場合にはきちんと文書をもってご要請をいただくというのが、一般的なやり方だろうと思います。
 おそらく現時点では、そういったやり取りを継続している段階ではないかと、このように考えます。

【NHK 渡辺記者】外務省がでしょうか。

【吉田外務報道官】どこかというのは、基本的には外務省及び現地に行っている援助隊であるとか。外務省と思っていただいて結構だと思います。

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