記者会見
大鷹外務報道官会見記録
(令和2年4月16日(木曜日)15時45分 於:本省会見室)
冒頭発言
外交に関する国内世論調査
【大鷹外務報道官】冒頭1点,私の方からございます。すでに資料をお配りしていると思いますが,外務省としては毎年度,外交政策についての国内世論調査を実施しておりまして,全国の18歳以上の男女約1,000人に,電話で意見を聞くという形のものです。令和元年度は,令和2年3月に調査を行って,その結果がまとまったところです。
内容の詳細についてはホームページでも公開いたしますけれども,結果の主なポイントとしては,例えば東アジアの安全保障環境は一層厳しさを増しているということについては,85%の人はそのように考えていることが示されていますし,安倍総理の「地球儀を俯瞰する外交」については74.8%の方々が「評価できる」という形で,非常に高い数字が出ております。
トランプ政権が発足して3年たちますけれども,今後日米間で関係強化を期待する分野は何かということについても,「安全保障」とか,「人や文化の交流」,「経済・貿易・金融」,「エネルギー・環境」がいずれも7割以上を占めて,幅広い分野での関係強化に期待が持たれているということが窺えました。
緊張の高まりが続く中東情勢については,約7割の方が,日本として「緊張緩和に向けて関与していくべき」と回答していますし,開発協力や地球規模課題への取組では,日本が優先的に取り組むべきSDGsの主要課題として,「教育」,「防災」,「環境」が,いずれも75%以上の高い割合で挙げられたというところです。
外交に関する国内世論調査(「地球儀を俯瞰する外交」,中東外交)
【朝日新聞 佐藤記者】世論調査の件で,どういった捉え方をこの回答に対して,この結果に対して持っておられるかということをお聞きしたいんですけれども,「地球儀を俯瞰する外交」について「評価できる」と答えた人が全体の74.8%を占めたと。それで,平成30年度も29年度も,75%,79%というふうに支持があったようですけれども,今年も高い数字が出たということへの捉え方について教えていただきたいのが一つ目と,あと,11番目の中東地域の高まりを受けて云々というふうに質問があるんですけども,これ,イラン情勢とかを受けた中東地域の緊張を受けて,緊張の高まりを受けてというふうに捉えればよろしいですかね。その確認が2点目です。お願いします。
【大鷹外務報道官】「地球儀を俯瞰して」については,過去3回,実は共通の項目として質問してきているところです。毎年度の調査において高い水準の数字が出ているということですので,日本外交として「地球儀を俯瞰する外交」というものを,この数年来,実行してきているところですけれども,それに対する国民の支持が,改めて確認できたと私どもは捉えています。
中東外交については,おっしゃるように,やはり緊張が高まっている。これは当然イランの状況も含めて,そして日本も自衛隊のアセットを派遣しているような状況ですから,全体としてやはり世の中の注目が集まっている。そして,安倍総理も最近の外国への訪問においても,中東3か国に行かれているということもあるし,それだけ重要な問題であるという認識が政府側にも強いのですけれども,そのことが国民の間でもかなり共有されていることが確認されたと考えております。
韓国国会議員総選挙
【産経新聞 力武記者】昨日の15日投開票の韓国の総選挙で,政権与党が圧勝しました。日韓間の旧朝鮮半島出身労働者の問題では,今後,日本企業の資産の現金化ということが,日韓間の最大の懸案となってくると思いますけれども,今回の選挙結果を受けて,韓国側がどのように対応してくると分析されているか,そこら辺についてお願いいたします。
【大鷹外務報道官】一義的には,他国の内政に関する事項ですので,あまり政府としてコメントすることは差し控えたいと思っております。その意味でどういうことが予想されるのか云々ということについても,今の段階では政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
ただ,いずれにせよ,日韓関係は厳しい状況が続いておりますので,日本として,我が国としては,日韓間の様々な懸案について,引き続き韓国側に適切な対応を求めていく方針である,ということは変わらないとお考えください。
外交に関する国内世論調査(日米関係,日米安保)
【読売新聞 森藤記者】世論調査のことにまた戻るんですけれども,日米安保についての評価を尋ねる質問があるかと思うんですけれども,これで「評価する」が「どちらかといえば」を含めて68.9%と。この受け止めをどう考えていらっしゃるかということと,日米の関係強化を期待することがどの分野かという質問に対して,「安全保障」が78.8%で,2年前に2018年の調査のときに「安全保障」が60%だったのに比べると,類似の質問でかなり「安全保障」を挙げた方が多くなっているかと思うんですけれども,それをどう分析されているのか。トランプ政権が続く中で,少し日米の安全保障に対する不安というようなものもあるのかどうか,受け止めをお願いします。
【大鷹外務報道官】まず日米の話ですけれども,日米については,ご案内のとおり,今年は安保条約の署名発効60周年に当たるという記念すべき時ですけれども,1960年にその条約が締結されてから,日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化してきていたわけです。その中で日米安全保障体制というのは,我が国の外交・安全保障の基軸であるということはずっと意識してきたし,今もそういう考え方の下で外交を進めるということです。そのことも含めて,安全保障についての日米の間の安保の協力というものが非常に重要であるという認識が,引き続き高いということが今回確認されたわけですけれども,ある意味で、いろいろな分析があるとは思うのですけれども,今申し上げたように,東アジアの安全保障環境は一層厳しさを増しているということも,当然一つの背景として関わってくるという考え方があり得るわけです。
特に,我が国を取り巻く安全保障環境ということで言えば,北朝鮮の核・ミサイル開発ですとか,あるいは中国の透明性を欠いた軍事力の強化等,それから大量破壊兵器等の拡散とか,深刻化するテロの脅威,そういったものもどんどん出てきていますし,更に言えば,いろいろな技術の発展等を通じて,サイバー,それから宇宙空間などにおける新たな領域での活動の活発化,そういったものもいろいろ起きているわけですので,日本全体として,やはり安全保障環境が厳しさを増している。このことは,日本自身の認識だけではなくて,米国も含めたこの地域の各国の認識というふうに考えるべきなのではないかと思います。そのことが国民の間でも,やはり共有されているということを,私ども,考えております。
緊急経済対策(補正予算)
【共同通信 小野塚記者】補正予算のことでお伺いします。外務省分の中で,情報発信の拡充ということで24億円ついています。これは,その感染症をめぐるネガティブな対日認識を払拭するため,ネットとかで情報発信を拡充するということなんですけれども,これをされる狙いと,具体的にどういったことをお考えでしょうか。
【大鷹外務報道官】今のコロナをめぐる状況におきまして,日本のとってきているその考え方ですとか,政策というものを,やはり世界に正しく発信していく必要がある。そして,状況が許せば,来年,当然オリンピックが予定されているわけですから,それに向けたいろいろな発信というものが必要になってくると思います。これは非常に大きな課題で,ある意味で,きっちり国際的な世論がどういう状況にあるのか,どういういうことがいろいろ報道されているのかということを可能な限り把握した上で,しっかりとしたコンテンツ,広報すべき内容について,いろいろ考えて,そして,そういったものを作成して,それをしっかり発信していくことが必要になります。発信という中には,当然いろいろ広告媒体を通じたものも含まれるわけですけれども,そういったものを,やはりこの現下の状況を踏まえて,今後とも相当力を入れてやってく必要があるのではないかという認識を反映しての予算計上と考えてください。
【共同通信 小野塚記者】今の話だと具体性に欠けるんですけれども,24億円,どういう発信の仕方に充てるのかという点と,あとネガティブの対日認識の払拭ということがあるんですけれども,これは何をするか念頭に置かれているかといったら,クルーズ船対応ですとか,あとPCRの検査,日本は少ないと指摘されているんですけれども,そういったところが念頭に置かれているんでしょうか。
【大鷹外務報道官】どういったものが具体的なものとして想定されているか,今の段階で絞り込むつもりは全くありません。いろいろな意味で,世界の中で,日本についてのいろいろな報道ですとか,イメージが出回っているわけですから,その時の状況に応じて,必要な内容のものを日本として発信していくということになります。
外交に関する国内世論調査(中東情勢)
【毎日新聞 加藤記者】世論調査に戻るんですが,中東に関する設問のところで,2年前にも中東地域の関与という質問がありまして,その時は「関与を強化すべきでない」というのが14.8%だったんですけども,今回は関与に否定的な回答というのが25%ぐらいになっているんですが,これは,自衛隊の中東派遣などがあって,より国民が慎重になっているという認識でしょうか。
【大鷹外務報道官】今すぐ手元に資料がないんですけれども,全体としては,これは1,000人の方々に対するアンケートですので,それぞれ人によってその時の情勢とか,いろいろお持ちなのだと思うのですけれども,諸般のいろいろな出来事等踏まえて,そういう認識を持っているということなのではないかというふうに思います。
茂木大臣記者会見のストリーミング配信
【共同通信 小野塚記者】別件なんですけれども,明日の大臣会見から,会見がネット中継されるそうなんですけれども,その狙いをお願いします。
【大鷹外務報道官】詳細は,また茂木大臣の方から,明日ご説明させていただくことになると思いますけれども,簡単に申し上げると,今の緊急事態宣言が出ている中で,テレワーク等が積極的に推奨されている中で,あるいは新型コロナウイルスへの対策ということで,世界が一丸となって,今取り組んでいるという中で,日本としてしっかりと発信する必要性が増してしているのではないか。そして,今やSNS等のオンラインの発信というものが,非常に大きな割合を占めることになっている中で,外務省として,外務大臣として,積極的に発信していくという趣旨だというふうにお考えください。