記者会見

大鷹外務報道官会見記録

(令和2年4月9日(木曜日)16時39分 於:本省会見室)

冒頭発言

【大鷹外務報道官】一言だけ。昨日予定されていました記者会見で,急遽日程変更させていただきまして,申し訳ございませんでした。都合によりそういうふうにさせていただきましたけれども,このテレワークの折に,そういうことになって非常に申し訳なかったと思っています。

新型コロナウイルス(在外公館の業務体制)

【共同通信 渡会記者】新型コロナウイルスの感染拡大を受けた,在外公館の業務体制について伺います。大臣が先日の記者会見で言及されたように,外務省本省と同様に在外公館でも,時差通勤やテレワーク等が進められていると思います。その結果として,窓口業務をはじめ,どのような見直しが在外公館で行われたのか,具体的な事例とともに紹介していただければと思います。

【大鷹外務報道官】ある意味で今回の緊急事態宣言の発出というのは,日本国内における話ではあるのですけれども,その意味では直接在外公館に影響すべきものではないと考えておりますが,それにしても,以前から世界でこの新型コロナウイルスが感染拡大している状況を踏まえて,在外公館でも公館の機能が停止するリスクを避けるためにも,逆に,各公館で本省と同様に,これまでにも手洗いとか咳エチケット等の徹底を行うこと,それからテレワークや時差出勤の活用を行うこと,それから複数のチームに分けて出勤することによる機能停止の防止等の,感染予防策を講じてきていることは,今まで申し上げたとおりです。そして,もちろんいろいろ出張等についても,真に必要なものに限るということをやってきております。
 このようにほとんどの公館において,実はテレワークはすでに導入されております。そして今後の事情に応じて取組を更に進めていきたいと思っておりますけれども,特徴的なものはやはりチーム制ですね。職員を在宅勤務と出勤組の2チームに分けてやるということは,在外公館も含めて徹底していきたいということです。
 今おっしゃった窓口については,特に外務省,在外公館において大事なものは,領事窓口と考えております。この重要な任務をしっかり継続させるためにも,一定の工夫が必要になりますけれども,例えば窓口時間を短縮するとか,あるいは予約制を導入するとか,あるいは書類処理期間を多少延長するとか,そういった措置をいろいろ組み合わせるという工夫が必要になるかもしれませんけれども,基本的には窓口を継続して,在外邦人の保護支援を継続していきたいと考えています。

新型コロナウイルス(外務省における業務体制)

【産経新聞 原川記者】今,在外公館の話が出ましたけれども,この本省においてはどういう対策をとられているんでしょうか。二つのチームに分けてやられてるとは聞いているんですけれども,何日交替でやっているのかとかですね,そしてまたそれは恐らくは,感染は,全員出て,一人仮に感染してると,全員が待機しないといけないということになるから,そういうふうに分けていらっしゃるとは思うんですが,一応分けていらっしゃるその実態とその狙いについてちょっと改めて教えてください。

【大鷹外務報道官】本省の中でも,多少部署によって違うということはあるんだと思いますけれども,先ほど申し上げましたように,この緊急事態宣言が発出される前からも,いろいろチームに分けるとか,リスク低減のため,機能がちゃんと継続できるようにチーム制を組むとかやってきたところですけれども,先日の大臣の会見でも申し上げたように,更にそういった取組を進めていくということにしております。
 今,この緊急事態宣言が発出された状況の中では,テレワークを最大限活用するということになっています。そして例えば幹部職員においても,できる限り局長と,例えば中2階の方々,参事官・審議官級の方々との間,あるいは課室長と首席事務官の間で,ちょっと交代制にして,片方は仮に何か感染するというようなことに万が一なってしまった場合にも,必ずもう一方のチームがちゃんと業務継続できるようにということは,各局課において徹底していることになっております。
 そして,そもそも人との接触を7割あるいは8割削減,低めるということですので,そもそも東京都内の方々におかれても,出勤するということについていろいろ見直しているということですので,外務省の中でも出勤する職員の数をそもそも絞り込むという努力を,この緊急事態の発出とともに改めて取り組んでいるところで,例えば資料作成とかそういった業務については,可能な限り在宅勤務の職員が行うとか,そういったことを各部局において徹底するようにしているところです。
 それから,いろいろ大人数の各種会議が,当然外務省の中にもあるのですけれども,そういったものも特に業務に支障がないというもの,逆に言いますと真に必要なものに限って,そういった会議を行って,それ以外のものを自粛する。あるいはテレビ会議とかメールでのコミュニケーションツールをなるべく活用するといったことを,今進めているところです。

【産経新聞 原川記者】細かい話ですが,例えば必ずしもみんな9時半に来なくていいよという,時差出勤みたいなものもされているんでしょうか。

【大鷹外務報道官】時差出勤については,これもやはり,各職員の感染リスクを低めるという観点から,実は,緊急事態宣言が出る前からも,一応推奨されておりました。これは更に,自宅勤務が推奨されるということで,ある意味で方向性は一致しているのですけれども,勤務の仕方について,より従来と違うフレキシブルなものにしましょうと,そういう趣旨がさらに強まったというふうにお考えいただければと思います。 そういう意味で,どうしても来なければいけない方については,当然,時差出勤で自分のリスクは低められる,自分がお使いになっている公共の交通手段について,この時間帯の方がいいという類のものがあれば,当然,そういった工夫ができるように,外務省としても考えているところです。

新型コロナウイルス(ASEAN首脳会議)

【NHK 渡辺記者】ASEAN首脳会議の,電話会議になると思いますが,調整状況を現状でどうなっているのかということをお願いします。

【大鷹外務報道官】若干一部報道に出ているということは承知しているのですけれども,いずれにしましても外交上のやりとりですので,今の時点ではお答えは差し控えたいと思っております。

新型コロナウイルス(トランプ大統領のWHO批判)

【NHK 渡辺記者】また別件なんですけれども,今回のこの新型コロナウイルスの感染拡大の関係なんですが,米国のトランプ大統領が中国に対して,なんて言ったらいいんでしょうか,中国の問題で,WHOに対するアメリカが出している拠出金を停止するということを示唆しておりますけれども,こうした発言について,日本政府としてはどういうスタンスなのか,WHOが中国寄りの対応をしているので,それに対してそういったこと言っていると思うんですけれど,そこをどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

【大鷹外務報道官】日本としては,私としてはですね,他国の首脳の一つひとつの発言については,コメントすることは差し控えたいと思っております。ただ,いずれにしましても,今の新型コロナウイルスの感染というのが,世界的な問題,つまり,エピデミックになっているという状況を踏まえると,日本としては,アメリカを含む世界の各国と協力を密にしていかなければいけないし,それから日本としてはWHOを含む国際機関ともフルに協力していかなければいけない,そういう局面にあるというふうに思っているところです。

【NHK 渡辺記者】追加でその関連なんですけども,一方で,アメリカ側の方は武漢にある研究所からが原因じゃないかと,武漢の,そもそもウイルスの出てきた起源としてですね,そういう指摘も出てるんですけど,それできちんと調査をさせてほしい,させろということを言ってるんですが,その今の中国とアメリカのですね,そうしたウイルスの出所をめぐってのいろいろ言い合いがありますけども,これは日本としてはどう見てるんでしょうか。

【大鷹外務報道官】今回の新型コロナウイルスが,どこから発生したかということについては,従来から茂木外務大臣もいろいろ述べているところですけれども,いずれにせよ,現下は,この危機をいかに乗り切るか,乗り切れるかということに,各国が専念してるところですので,そのための必要な支援を,最大限,日本を含め各国とも行っていくということなのだと思います。その意味で,世界とスクラムを組むということだと思います。
 ただ,いずれにせよこういった危機は,将来的にも人類を襲う可能性もあるということを踏まえると,やはりいろいろ教訓は得なければいけないということで,その教訓も十分に生かさなければいけないということで,必ず,いろいろ国際的に,いろいろな検証・分析をする取組というのは出てくると思いますし,それを十分に生かさなければいけないということになると思います。

【NHK 渡辺記者】そうしましたら,中国当局に対して,どこかのタイミングで,真相究明に向け,元々この,何が原因でそもそもこういうふうに世界に広がったんだろうかということを探求していく中で,日本としては,そこは中国政府に対して協力を求める場面というのは想定されていますでしょうか。

【大鷹外務報道官】今の段階では,やはり感染拡大防止ということに専念すべき時期ですので,将来のやりとりについて,今の時点で予断することは差し控えたいと思っております。

新型コロナウイルス(緊急経済対策・補正予算)

【読売新聞 大藪記者】先日閣議決定された経済対策に盛り込まれました,ソーシャルメディア等を通じた我が国の対応についての,国外向け情報発信の強化に関してお伺いします。すでに外務省としてSNS等通じて,記者会見の動画の発信等をされているところだと思いますけれども,この補正に盛り込まれた対策によって,今後,何が強化,変更されるのか,お願いいたします。

【大鷹外務報道官】ちょっと今,一部聞き取れなかったところがあるのですけれども,これは対外発信についてのご質問だというふうに理解いたしますが,今回の補正の中にも,対外発信を強化するための予算を組んでいただいているところです。もちろん日々,私ども,いろいろな報道のモニタリングから始まって,いろいろな発信の内容,発信の手段,それは今やこの時代においては,SNSを含めてのものですけれども,そういったものも含めて,どうやっていくのかということは,もうすでに課題としてあるわけですけれども,このコロナの状況を踏まえて,更に日本として対外発信を強化する必要があるのではないかということで,そういう予算を計上させていただいているところです。
 個別に,特にこういう新しいものを入れるとかということではなくて,やはりそれぞれの段階において,先ほど申し上げたような発信とか,モニタリングとかいろいろな段階がありますけれども,それぞれにおいて,相当,強化していく予算があれば強化することができる部分もありますので,そういったことを全体的に取り組んでいくものだというふうに,ご理解いただければよろしいと思います。

【読売新聞 大藪記者】関連で,先日発出されました,緊急事態宣言についてどういったものかというような趣旨の海外への発信,そういったものも考えられるんでしょうか。

【大鷹外務報道官】この補正の話というは,今後,もうちょっと時間をかけながら執行していくものであるのですけれども,日本の執っている施策,この緊急事態宣言の発出を含めてですね,日本の執っている施策について,海外に,あるいは外国メディアに正確に知ってもらうということは,もう今すぐにでもやらなければいけない,あるいはすでに行ってきていることですので,そこはやはりやるべきこととして,全く変わらないというふうにお考えください。

型コロナウイルス(在外邦人の帰国支援)

【共同通信 渡会記者】新型コロナ関連で伺います。海外に残る自国民の帰国に向けて,日本を含めて各国で,商用機の臨時便やチャーター機を共同で利用するという国際協力が進んでいますが,このような形が可能となっている背景と,共同で利用するというメリットをお聞かせください。

【大鷹外務報道官】いろいろ,海外に渡航・滞在している邦人の方々で,なかなか思うような移動ができないという方々が,多数発生しているというのがご案内のとおりです。そういった方々を支援するということは,ある意味で外務省にとって最も重要な責務の一つだというふうに考えております。これは,こういったことを,そういった支援をすることの意義云々ではなくて,責務として,必ず,当然やらなければいけないことというふうに思っております。
 その意味で,今,各地で足止めをくらっている方々がいらっしゃる中で,実際に例えば,出国を希望する方がいらっしゃる場合には,その出国に向けて,出国手段の検討とか情報提供を行ってきておりますし,航空便による出国については,現地政府あるいはチャーター便を手配する他国地域への働きかけですとか,あるいは帰国希望者の取りまとめ,空港への移動支援など,様々な形で支援が必要となってきますので,そういったことを行ってきております。
 これらの在外公館の支援もあって,これまでにも外務大臣の記者会見の場でも具体例をいくつか紹介させていただいておりますけれども,多くの邦人の方々の迅速な帰国が実現できているところです。

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