記者会見

大鷹外務報道官会見記録

(令和2年2月12日(水曜日)16時30分 於:本省会見室)

冒頭発言

新型コロナウイルス関連

【大鷹外務報道官】冒頭,コロナウイルスに関連して1点だけ。数時間前にもう発表されたばかりのことですが,ここに控えるものです。中国各地では,交通規制や外出制限が行われており,また,日系航空会社を含む各国の航空会社も相次いで中国との航空便の運休・減便を発表しており,現在在留邦人及び海外渡航者の方の移動に大きな影響が出ることが見込まれています。
 浙江省においては,1万人当たりの感染者数が湖北省に次ぐ水準となっているほか,同省の主要都市である温州市,杭州市,寧波(ねいは)市等で,移動を一部制限する等の措置がとられていまして,これらの地域においては,人の移動などに対して今後さらに厳しい規制措置が講じられる可能性があります。そのほか,他の地域よりも感染拡大の封じ込めに時間を要することが懸念されます。
 本12日には,我が国は,日本への上陸の申請日前14日以内に浙江省における滞在歴がある外国人等についても入国を制限することとしました。
 こうした状況を踏まえ,在留邦人及び海外渡航者の安全確保の観点から,日本への早期の一時帰国や中国への渡航延期の至急の検討を要請する旨の感染症スポット情報を発出いたしました。
 引き続き,現地政府及び関係機関と連携し情報収集を行い,在留邦人及び海外渡航者に適時適切な注意喚起を行っていきたいと考えています。

新型コロナウイルス(浙江省の感染症危険情報)

【読売新聞 後藤記者】湖北省だけじゃなくて浙江省にも入国制限が広がりましたけれども,それを受けて感染症危険レベルを今の湖北省と同じ「レベル3」に引き上げるご予定はありますでしょうか。

【大鷹外務報道官】中国における新型コロナウイルス感染症の拡大に関する感染症危険情報の発出については,感染の拡大状況,移動制限の状況,医療体制,在留邦人渡航者数,主要国地域の対応ぶりなどを,総合的に勘案した上で判断を行っております。浙江省においては1万人あたりの感染者数が湖北省に次ぐ水準となっている他,同省の主要都市である温州市,杭州市等で移動を制限する等の措置がとられておりますので,状況を注視しております。政府としては,在留邦人及び海外渡航者の方に対して,日本への早期の一時帰国や中国への渡航延期を含む安全確保について,先ほど申し上げましたように,至急の検討を要請しているところですが,在留邦人及び海外渡航者の安全確保に向け,引き続き万全の対応をとっていく考えです。

新型コロナウイルス(中国からの情報提供)

【NHK 渡辺記者】国会でもいろいろ議論になっていましたけれども,今後感染の拡大が広がっているという現状に限らず,全面的に渡航というか中国からの入国を止めるとか,あるいはもう少しレベルを上げて,中国にいる滞在している日本人を含めて退避を呼びかける,全面的にとかですね,そういった状況を取り得るということが今後あるのかということと,状況次第で例えば他の国の状況というものもありますけれども,日本として例えば率先して何かそういったことをやる考えはあるかどうかということとですね,外交ルートでいろいろネット上ではいろんな噂が出ていますけれども,そもそもこの新型コロナウイルスというものが何が発生源で,市場とかという話はありますけれども,では本当に中国当局として,それを何なんだと特定しているのかどうか,WHOも含めてそういったところで日本に対して,今,クルーズ船が留め置かれているせいで各国からの関心がすごく高まっていますけれども,日本に対して,納得を得られるような説明,原因がそもそもなんなのかと,一部では人為的な点もあるのではないかとか,いろいろなことが情報が渦巻いていますけれども,何か説得力のある説明というのは受けているんでしょうか。中国当局から。

【大鷹外務報道官】質問は主に二つかなと思って今お伺いしているんですけれども。1点目は今後の対応についてはですね,今の段階でこうすることを念頭に置いて,あるいはこれはしない,そういったことについて予断するつもりは全くございません。先ほど申し上げましたように,あるいはこれまで繰り返し申し上げているように,現地あるいは各国の状況,常に情報収集しながら日本の体制として,感染拡大防止が最大の優先課題でありますけれども,それについての体制の不断の見直しというのは当然行っていかなければいけないですし,必要に応じて,いろいろな見直し,あるいは追加を行っていくということになるんだと思います。そういった方針に基づいて,これまでにこの数週間の間にも日本政府としてとるべき措置をしっかりとってきているのかな,というふうに思っております。
 それから発生源についてのお話ですけれども,これも当然政府として情報収集を全力を挙げてやりつつ,WHOを含む関係国際機関との情報交換等を緊密に行いながら,いろいろ状況の把握に努めているところです。当然対策をいろいろ行っていく上で,実際にどういう発生源だったのかということは大きな関心事の一つですので,これは日本に限らず各国とも高い関心を持って,いろいろ情報収集等をしているところなんだというふうに思っております。

【NHK 渡辺記者】追加で,そうしますと,中国政府から説得力のある説明,というか情報公開は適切に行われていると考えていらっしゃいますでしょうか。発生源についての対外的な説明とかですね。やはり今回,クルーズ船でも検疫官までも,今回感染されているということで,かなりそういった立場,注意していたであろう立場の人までこうなってくると,いろいろまた変わってくると思うんですけど,受け止め方が,世論のですね。中国が果たしてそういった国際的にきちんと説明しているのかどうかというのは,中国の姿勢も含めてどう評価されているんでしょうか。

【大鷹外務報道官】日本としては,中国との間では緊密に連携してきておりますので,これまでにも必要な意思疎通というのは,十分に行ってきているというふうに考えております。そういった中で,詳細を申し上げることはできませんけれども,当然,我々の関心事項についてもいろいろ中国からの情報提供をいただいているし,あるいはこれはある意味で世界の知見を結集させなければいけない問題だと思いますので,そういった立場からも,広く日本として可能な限り役割を果たせるようにというつもりで取り組んでいるところだと思います。

新型コロナウイルス(スポット情報の発出)

【共同通信 渡会記者】今日,スポット情報を出して,「至急」という表現で帰国への検討を促していましたけれども,今後も更に強い表現でスポット情報を発出していくという対応になっていくんでしょうか。

【大鷹外務報道官】スポット情報は,その時々の状況に応じて,その時々の状況をなるべく正確に国民の皆様に伝えるようにということで,その都度,表現を考えながら,工夫しているところなんだと思います。今回発出されたものについても,現状認識を踏まえて,各邦人の皆様に考えていただきたいことについて発出しているものですので,今後の状況に応じて,また更にどういうものがありえるのか,それを今の段階で予断するつもりは全くありませんけれども,そういうものだというふうにお考えいただければと思います。

新型コロナウイルス(チャーター機第5便の時期)

【共同通信 渡会記者】チャーター機の第5便についての時期について,どのように検討されている状況でしょうか。第5便の時期について,今の検討状況を教えてください。

【大鷹外務報道官】先日,茂木外務大臣から発表させていただきましたように,湖北省に在住して帰国を希望する邦人の帰国について,チャーター機の派遣等あらゆる手段を追求し,希望される邦人全員が帰国できるよう各方面との調整を進めてきており,その方針というのは変わりないということは繰り返し申し上げているところです。第5便の派遣に向けて,今,調整中という状況で,その状況は今も続いているというふうにお考えください。

新型コロナウイルス(海外への情報発信)

【読売新聞 後藤記者】海外への情報発信についてなんですけれども,クルーズ船の感染者数は日本国内での感染者数として集計されないんだということとかですね,クルーズ船での感染,日本の検疫を通る前の感染だとかですね,日本として水際対策をしっかりやっているので安全性は確保されているとかですね,そういった説明というのは外国に対して外務省のほうから行うんでしょうか。

【大鷹外務報道官】当然,今,おっしゃったようなことというのは,日本で起きていることの現実についての話なんだと思いますけれども,日本としても国内の皆様に現状をしっかり知ってもらうということ以外にも,海外の方々に日本のことをしっかり正確に知ってもらう努力はしなければいけないというふうに思っております。
 その関係では,今,クルーズ船の問題も出てきておりますけれども,外国プレスの皆様に対してもブリーフィングを行ったり,あるいは鍵となる関係省庁の情報も,逐一なるべく素早く,そういった外国のメディアの方々の手元に届くように,いろいろ政府内でも意思疎通させていただきながら,そういう方向にいくように取り組んでいるところです。

【読売新聞 後藤記者】具体的に情報発信というのは,外国プレスへの説明以外に,例えば,在外公館で各国に対して説明するですとか,どういった形で発信されるでしょうか。

【大鷹外務報道官】日本で起きていることは,在外公館に広く素早く共有しておりますので,必要に応じて,日本の状況を説明するような場面がある場合,そうすべきと考えられる場合に,そういった最新情報に基づいて,日本のことを説明できるようにするという形にしておりますので,ある意味でそれも発信の一環かなというふうに考えられます。

新型コロナウイルス(感染症危険情報とスポット情報)

【朝日新聞 楢崎記者】先ほどの関連なんですけれども,感染症危険情報とこのスポット情報の使い分けとか関連性については,どのように考えればよろしいんですかね。

【大鷹外務報道官】スポット情報は,もうちょっときめ細く,その時の状況について発信しているものなんですけれども,渡航情報はレベル1から4がありますけれども,全体として,外務省として推奨される,邦人の方々の行動について,包括的に示したものとお考えください。ある意味で,両者が密接に関連しあって,お互いに齟齬のない形に当然しているわけなんですけれども,このような事態が日々進展するような状況においては,日々変わる情報を提供させていただくスポット情報というのが,更に重要性を増しているとお考えいただければいいと思います。いずれにせよ,両方とも重要です。

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