記者会見
大鷹外務報道官会見記録
(令和2年1月29日(水曜日)17時08分 於:本省会見室)
新型コロナウイルス(チャーター機派遣)
【NHK 渡辺記者】先ほど大臣が国会での答弁の中で,昨日と同じ時間帯にチャーター機を飛ばすというご発言がございましたけれども,現時点で第2便のチャーター機の出発時間,それから現地から搭乗される日本人の方の予定されている人数,それからスケジュールとしては昨日と同じような形になるのか,運航スケジュールを含めて教えていただけますでしょうか。
【大鷹外務報道官】基本的には,先ほど茂木大臣が申し上げたことと状況は変わっておりません。茂木大臣から申し上げたように,希望される方が帰国できますようにチャーター機等の手配を調整してきております。そして今日,本日の夜,昨日の第1便と同じ時間帯に,次の第2便を派遣できるよう最終調整中です。そのようにできるように全力を尽くしてまいります。
【NHK 渡辺記者】搭乗される予定の人数の方というのは,現時点ではどれぐらいなんでしょうか。
【大鷹外務報道官】現時点ではいろいろな意味で最終調整中なんですけれども,昨日の状況と大きく変わるものにはならない。少なくとも昨日の規模のものでやりたい,という意思で私どもは引き続き最終調整を進めているとお考えください。
【朝日新聞 小野記者】今回のコロナウイルスの感染に関して,外務省の方が非常に努力されていることには敬意を表したいと思います。それを踏まえた上で質問したいのですが,今回の外務省が湖北省に在留している日本人向けに,帰国の希望調査をされたと思うんですけれども,これは具体的に現地では,だいたいいつごろから行われたものなのでしょうか。
【大鷹外務報道官】具体的な日時は私ども,私は今の時点で把握しておりませんけれども,やはり事態がどんどん盛り上がってくる,当然武漢が中心地になっているわけですから,私どもとしては邦人の安否を随時確認させいただいているということは,かなり早い段階から申し上げていると思います。ですからその中でコンタクトを取りつつ,そしてコンタクトをある意味で確立して,その後のいろいろな動きがあるときにも,各邦人の方々に今後何が起きるのかということを含めて,逐一情報が入るようにすべく努力してきたということなんだと思います。
そしてその過程で当然帰国したいというご希望があるかということもお伺いをしながら,そして集計をしながら,最終的に我々としてなるべく早いタイミングで,希望される方が全員帰国できるようにするためにどうしたらいいのかということを鋭意検討して,そしていろいろ調整を進めて,今に至っているということです。
【朝日新聞 小野記者】ホームページですと26日の午後4時半に,帰国希望調査をしていますというメッセージがアップされています。その後,同日の5時過ぎに,茂木大臣が個人のアカウントでツイッターでこれを拡散するようにメッセージ付きで流しています。そのあと6時ぐらいに,総理が公邸で記者団のぶら下がりに応じたという流れがありました。
ただ,この帰国希望調査を外務省がやっている,あるいはこういうことを検討しているという案内が報道機関向けに一切リリースされていないと,私は確認しているのですが,報道機関にはこういったことを知らせなかった理由というのは,何かあるんでしょうか。
【大鷹外務報道官】それはよく調べてみないと分かりませんけれども,報道の皆さんになるべくオープンな形で丁寧にご説明するというのは基本だと思いますので,その時々で必要な情報提供をさせていただくべきだと思いますし,そうしていなければいけないと思っております。この件については調べてみないと分かりませんけれども,相当いろいろ,いろんなものが動いていて,コロナウイルス全体の状況ですとか,地域の状況,そして大使館の人間をいろいろ,現地でどう派遣するのか,いろいろなものが動いている中ですので,今申し上げたような方針ではありますけれども,時々手が回らない場合もあるということは,私は個人として,人間ですから排除し切れない部分があるのかなという気がします。ただ姿勢としては,私ども,なるべく透明性を持って,そして我々の努力が皆さんに分かるようにしていくのは,当然なのではないかなと思います。
【朝日新聞 小野記者】当日午後9時45分過ぎから,大臣が日中の外相会談が行われたということをぶら下がりで会見する中で,今回の帰国希望調査について言及されたのですが,要は帰国希望調査を募るのは,おそらく武漢あるいは周辺にいらっしゃる方々に帰国を促す,あるいは帰国する場合の手助けを日本政府がしていることを示すためのことであったと思いますし,そのためのメッセージをおそらく広く関係する人たちに届ける必要性があったのではないかと思います。
報道機関である我々も,この事態に対して,やはり一番心配されていらっしゃったり,困っていらっしゃる方にメッセージを届けたいと思いながら報道していました。ただ,この帰国希望調査をされているということは一切リリースされませんでしたし,大臣がそこで言及されたのみでした。かつ,その当日,これはいたしかたないことだと思うんですけれども,この,まさに領事局の当事者の方々への取材というのは,非常に困難をきわめるものでした。結果的に中国にいる方々であったりとか,中国にいる方々のご家族で日本にいらっしゃる方々に,こういったことがなされている,あるいはこういう状況であるということが伝わることが阻害されてしまったのではないかなと,私なんかは反省しているんですけれども。報道官は今,鋭意努力されているとおっしゃる中で,今回の対応についてどのようにお考えでしょうか。
【大鷹外務報道官】こうあるべきだということについては,今申し上げたとおりなんですけれどもね。それで,ただ今この状況というのは,どんどんどんどん今後進展して,どれぐらいの規模になるのかどうか分からないという状況の中で,全力を尽くしているということがあるんだと思います。その意味で,今終わったわけでもなくて,これからも多分いろいろな事が出てくるし,まだどれぐらいで収束するのか分からないような状況ですので,随時当然我々は振り返って,自分たちがやってきたことが本当によかったのかということは直さなければいけないのですけれども,でも今,物事はオン・ゴーイングで相当進んでいるという状況もありますので,当然どこかで然るべく我々の反省というのはまとめなければいけないのですけれども,ただ相当いろいろ大変な状況でもあるということは事実なんだろうと思います。
ただし,今日のご指摘を踏まえて,報道担当をしている私としては,皆様が国民の皆様との関係で果たしている役割というものを改めて再認識して,このことは取り組んでいる人間の間でもしっかり共有されるようにしなければいけないなと思うところです。
【NHK 高野記者】最新の帰国希望者数,どうでしょうか。
【大鷹外務報道官】今までいろいろな数字をお出しているところなんですけれども,残っている更に希望されている方については,今でも確認作業を継続中です。そして今の感触としては,数字までは申し上げられないのですが,やはりかなり増える可能性があるのではないかと感じています。いずれ然るべきタイミング,なるべく早いタイミングでということになりますが,それについても皆様にご説明できたらと思います。
【NHK 高野記者】増える可能性があるというのは,今,帰国した人も含めて,トータルで650人ぐらいというのが数字だったと思いますが,それよりも増える可能性が高いということでしょうか。
【大鷹外務報道官】650から今回帰国された方を引いて,だいたい440という数字がいろいろこれまで言われてきましたけれども,それについては更に増える可能性があるとお考えください。
【NHK 高野記者】その理由についてどのようなことがありますでしょうか。
【大鷹外務報道官】そこは今私どもとしても確認中です。ただ,私どもが実際飛行機を派遣して,206名の方を実際に日本に帰国していただくことができたということは,一つの大きな事実として,いろいろな方に伝わってきているということも,背景にあるのかなと思っております。
【NHK 高野記者】念のため,確認なんですが,先ほど最初の質問で,規模は200人規模と同程度だということだったんですが,増える可能性も含めて考えると,大きな飛行機にするという選択肢も考えられると思うんですが,その点どうなんでしょうか。
【大鷹外務報道官】我々の方針はこれまでもずっと同じで,これからも変わらないのですけれども,帰国をご希望される方全員を,なるべく早いタイミングで帰国させたい,そういう取組だと考えてください。そのために最善の選択肢,あるいは可能な選択肢を模索しながら今でも努力して取り組んでいるということです。
【読売新聞 梁田記者】今の関連なんですけれども,帰国を希望される方の数が増えるというのは,今回,第1便を派遣した後に改めて希望する人というのが大使館なり何なりに連絡してきている状況ということでよろしいんでしょうか。
【大鷹外務報道官】詳細のプロセスについての情報は,正直言ってまだ入ってきていないんですけれども,不断の努力として皆さんの意思の確認はずっと続けてきているというふうにお考えいただいていいと思います。当然,今回の便が飛び立った前後以降の状況も含めて,今の感触を申し上げているとお考えください。
【日本経済新聞 加藤記者】今朝帰国した第1便のことで確認させていただきたいんですけれども,各国,アメリカだったりオーストラリアだったり,帰国の支援に向けて中国と交渉されていると思うんですけれども,今回,武漢に入って在留者を連れて帰国させたというのは,日本が一番最初にやったというふうに理解していいのかというのと,現時点で1機ずつ着陸するというオペレーションになっていると思うんですけれども,これは各国とも1機ずつだけ許可を得ていると理解していいんでしょうか。
【大鷹外務報道官】正直言いまして他国の動きについて,今手元に正確なデータはございませんので,あまりいい加減な答えはしたくないなというところだと思います。ただ,日本は相当早い方に入っているということは間違いないと思います。
【NHK 渡辺記者】今日,第2便ですけれども,この使われる機材というのは第1便と同じものでやるのか,あるいは別のものにするのか。それと先ほど質問がありましたけれども,人数によっては機材の変更で大きいサイズの,もう少しキャパシティのあるものに変えるのかとか,そのへんの方針というのは今どうなっているんでしょうか。
【大鷹外務報道官】それはアベイラビリティの問題等に尽きるんだと思います。その中で一番早く希望される方全員を,日本に帰国していただけるように,いろいろ選択肢を模索しているということに尽きると思います。
【NHK 渡辺記者】一応確認なんですけれども,今日の出発も羽田空港でよろしいでしょうか。
【大鷹外務報道官】そこの詳細はまだ最終調整中です。
【NHK 渡辺記者】昨日もこの確認で相当時間を,半日以上の時間が各社さんともかかっていると思うんですけれども,羽田か成田か,出発空港というのはご教示いただけないでしょうか。スタンバイ状況を含めて。
【大鷹外務報道官】まだ最終確認中という前提で申し上げると,多分私どもも含めて,新しいことをやるということではなくて,なるべく今まで経験したことも踏まえながら第2,第3のことをやっていったほうがいいという発想に,普通立つと思いますので,そういう方向で調整しているものとご理解ください。
【日経新聞 宮坂記者】昨日の第1便のときには,支援物資も一緒に日本政府として,東京都としても送っているかと思うんですけれども,第2便以降について同じようなことを検討されているのか,もし決まったものがありましたら教えてください。
【大鷹外務報道官】支援物資についても当然,検討しております。そしてそこに載せられるものはどんどん載せますし,積み下ろしのいろんなキャパシティの問題も若干あるかもしれませんし,荷物がどこにあるかということも若干関係してくるかもしれませんし,いろんな要素を考えながら,一番最適な方法を選んでやっていくということです。ですから視点としては,そういうことは引き続きできることはやっていくと,昨日の1便でやったことが全てではないと,まだこの後も続く,というふうにお考えいただいていいと思います。
【毎日新聞 田所記者】先ほど,帰国希望者が増えつつあるという点に関連してなんですけれども,湖北省に残る日本人で帰国を希望しない人々という層がいると思うんですけれども,ちょっと人数は分からないんですが,その中から当初,帰国を希望しなかったけれどもやっぱり希望すると変わると,そういうことで増えるのかなと想像するんですけど,帰国を希望しない人数って今お手持ちじゃないかもしれないですけれども,それって知ることは可能でしょうか。
【大鷹外務報道官】その数字は,私は持ち合わせておりません。そういう数字も,私が承知する限りでは今のところないというふうに思います。
【毎日新聞 田所記者】帰国を希望しないで,何人が残っているかというのは個々の企業…。
【大鷹外務報道官】それはもちろん我々としては,なるべく邦人の動きというのは把握しなければいけませんので,そういうものは把握いたしますけれども,今皆さんにご披露できるようなデータは手元に持っていないという意味です。
【毎日新聞 田所記者】はい,分かりました。
【テレビ朝日 大石記者】1点,確認させていただきたいんですが。帰国希望者数の人数なんですけれども,それは日本人だけというわけではなくて,配偶者の方含め,日本が派遣するチャーター機に乗りたいと希望されている方の人数ということでよろしいんでしょうか。また今日2機目ということですけど,1機目,日本国籍の方だけでしたが,他の国籍の方についてどういったふうに中国政府と調整が進んでますでしょうか。
【大鷹外務報道官】人数については,帰国を希望される方ということで,日本国籍を有する邦人の方ももちろん含みますけれども,それ以外の方も必ずしも排除しない形で私どもはご意向を確認しているというところです。
【テレビ朝日 大石記者】今日2機目は日本国籍の方になるのですか。
【大鷹外務報道官】それはこれからまだ最終調整というふうにお考えください。邦人以外の方については,いろいろまた中国側との調整とか要する場合もありますので,そういったことを経て,最終的に決まってくる部分もあるというふうにお考えください。
【NHK 渡辺記者】今の質問の関連なんですが,そうしますと当初の募集の方法としまして,日本国籍を持っている方とその配偶者あるいは子供の方で国籍が中国の方ということで,全員そういった方も含めて全員に募集をかけてらっしゃるんでしょうか。それとも日本国籍を持っている方だけにかけているんだけれども,配偶者の方も一緒に帰りたいというニーズがあるんで,それが後から増えてきているのか,どういう扱いになっているのかというところと,その人数が増えてきているということなんですけども,希望者の,対象はこれ武漢中心に今,湖北省の省内だけということなのか,それともその以外からも不安だということで乗っけてくれと言う人がきているから増えてるのかという,そもそものその募集の枠ということと,国籍の問題で乗りたかったけれども中国側がだめだと言っていて,手続きがまだかかっているという人がいて,後でまとめてそういう配偶者の方だけ乗っけてくるようなケースが想定されているのかどうか,そのへんをもうちょっとお願いします。
【大鷹外務報道官】今,申し上げられるのは,私ども希望を確認する上で,邦人の方という形でかなり厳密に制限しているつもりは全くございません。ですからその中には配偶者の方が,日本国籍でない方も含まれうるという前提で,皆さんに意思を確認していますので,意思を確認する段階ではそういう高い垣根を邦人の方と邦人の方以外に対して,設けるということは一切しないで確認しているというところです。
ただ配偶者が中国国籍でいらっしゃる方について,中国政府の方針を踏まえながら調整する必要がありますので,まさに何ができるのか,中国政府を含む各方面とですね,鋭意,調整をしておりますし,今後もしなければいけないという状況です。
対象地域については,武漢の周辺も含めて,かなりいろいろ声をかけなければいけないというつもりで作業しております。
【NHK 渡辺記者】そうしますと,湖北省以外の居住されている日本人にも募集をかけているのかどうか。今,武漢以外にもとおっしゃいましたよね。それとそもそもの募集は国籍に関係なく日本国籍の方と,その方の配偶者,家族含めて声をかけているけれども,中国側の制限によって今回の1便には日本国籍の方だけが乗ってきて,配偶者の関係,中国国籍の方,あるいはその他の国籍の方,例えば中国在住でも配偶者が別の国籍,中国以外の国籍の方もいますけども,そういった方は乗れてないのか。2便以降,今日の2便も含めて,始めの募集からその国籍の制限をしていないということは日本国籍以外の方も乗ってくる可能性は今回もあるのかどうか。どの辺から,中国が止めているということだと思うんですけども,その中国との折衝によっていつからそういう方々も乗れそうになってくるのかというそのへんの,家族が離散する話になると思いますので,そこは多分最大限配慮されていると思うんですけど,そこはどういうふうに考えてらっしゃるんでしょうか。
【大鷹外務報道官】最初の地理的範囲についてはですね,私も厳密なデータは今,手持ちはございませんので,湖北省以内というふうに私は理解しておりますけどれも,それが入っているのかいないのか含めて,厳密な情報はまた機会がある時に,後ほど差し上げたいと思います。
それから今回の便については,やはりリスクの高い,つまり発生源に近いところですとか,あるいは人が非常に多いところ,そういった地域を優先的にやるということで,そういった方を優先して搭乗していただくということをやった結果,今まで申し上げていますように日本国籍を持っている方ということになっているわけです。
ただし今,渡辺記者からもご指摘があったようにですね,これ人道的な側面もありますので,これによって家族が分かれるなんていうことは我々あってはいけない,そういうふうにはしてはならないようにしなければいけないということで,それがまた我々が現地で中国側といろいろ調整させていただいている部分だというふうにお考えください。そして今のところはですね,そういう今回の便は結果として,リスクの高い方々ということで,まず優先的に帰っていただいているという状況にあると思います。